マガジンのカバー画像

四行詩

29
今まで投稿した四行詩をまとめて置きます。
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

四行詩「待ち人は来ず」

なにかを抱えることってね、 実は偉いやうで悲しいことなんだよ。 気づかないうち私たちやっぱ…

12

四行詩「風が呼ばふ」

夏影が目を差すごとに 僕のあの日が還つてくる それはまるで欠片で 水しぶきのやうに明滅する

9

四行詩「寂しく彩色く」

緑の木陰でちらちらと 光りの粒が降りてくる それは座つた僕の肩に 手を置く君の温もりに似て

8

四行詩「悔い」

私はいつも怖気づいてしまつて 春が往くのに耐えられない 桜も君もゐなくなつてから 悔いては…

10

四行詩「不幸論」

晴ればかりだと枯れてしまうから やつぱり草木に雨は必要だ 幸福ばかり追ふ我々もきつと同んな…

11

四行詩「射し日」

温かい冬の窓辺の陽 さらさらと頬を撫でる 気がつけば微睡みのなかで 懐かしき聲を思い出す

11

四行詩「風雪懐君」

君の思ひ出に触れやうとしても いつも空しく宙を攫むだけ 曝す手指のあひだを流れる 冬風は冷たく淋しく哀しく