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シン・エヴァンゲリオン劇場版を見た。そして

 シン・エヴァンゲリオン劇場版を見た。ネタバレフィールド全開で行くので、読む人は注意せよ。なお俺はバカチンなので難しい考察とか一切含めず、見たまんま思ったことを述べる。

1・カチコミ作戦

 何度もネットで見た奴なので正直どうでもよかった。ところどころ「新規作画かな?」というカットが散見されたような気がするが、そういう細かいことを俺はまったく気にしないので「ないよりはマシ」程度である。
 冒頭映像の公開には副作用があるのだなぁ、と思い知らされた。

2・第三村

 ここから話が変わって、シンジ一行がQの直後から辿る足取りへ移る。赤く染まった大地、首なしのエヴァンゲリオン、何故か宙に浮いている鉄塔が映し出される。
 心に傷を負っているとはいえ、俺がシンジくんだったら「アスカあれ何で浮いてるの?」と質問せざるを得ない光景だ。しかしシンジくんの心のダメージは深刻で、何も言わない。
 でも絶対、疑問に思っていたと思う。
(質問したいけど心のダメージでかい振りして同情を誘おう)
 
とか考えていたのではないだろうか。アイツは聡いからそういうところがありそうだ。そして質問の機会を逸して「結局、あれはなんで浮いているんだろう」と後で悶々とするであろう。人生とはそんなものだ。

 その後、シンジ一行は実は生きていたケンスケに救助され、実は生きていて医者になったトウジと再会する。
 トウジと再会したシンジは一瞬、カヲルのことを忘れて「生きてたの! よかった! っていうかトウジが医者? あんなに馬鹿だったのに?」と動揺しつつも喜ぶかと思いきやそんなことはなく、相変わらず一言も発さず体育座りでしょげ込む一方である。
 でも内心では喜んでいたと思う。
(喜びたいけど心のダメージでかい振りしてもう少し同情を誘おう)
 とか考えていたのではないだろうか。アイツは聡いからそういうところがありそうだ。
 トウジは委員長と結婚してツバメなる娘を生んでいた。トウジはそこそこイケメンだが、委員長がオバサンと化していたのは何だかショックである。ソバカスも大人になったら消えるかと思ったら消えていない。彼女のアイデンティティーなのだろうか? ニア・サードインパクトの影響でスキンケア用品が手に入らなかったのかもしれない。

 ここから描写が仮称アヤナミレイに移る。トウジとケンスケの暮らす昭和初期みたいな第三村であのピチピチのプラグスーツを着たまま農業をやったり、色々と仕事をしていったり、人と触れ合う内に段々と人間性が芽生えてくる。その様子がとても愛らしい。
 もう残りの上映時間全部これでいいよ、と思えたほどだ。

 一方で、シンジはケンスケの家に引き取られ、相変わらず食事もせずに毛布に包まってうずくまっている。たまにアスカに取り付けられたDSSチョーカーを見てゲロを吐くのが映画前半の彼の仕事だ。
「こっちもいい加減しんどいんですけど」と、見ているこっちの心情を代弁するようなことを言って、アスカがロトスコープめいた動きでシンジに無理やりレーションを食わす。気持ちは分かるけどその様子がDVみたいで、何だかやりすぎだと思った。
 Qでもそうだがこのアスカは常にブチ切れていて落ち着きがない。第三村ではケンスケの家に居候しているが、よくケンスケはこんな猛獣と暮らせるなと感心してしまう。
 あとアスカは十四年食事も睡眠も摂らず水だけで生きているらしい。どうも若干人間じゃなくなってるっぽい。
 同情を引く作戦が効かないと思ったのか、シンジは若干キレ気味でケンスケの家を出て川辺へ家出する。そこには温泉ペンギンの群れがいた。
「ペ、ペンペン! お前群れまで作って………」
 と、シンジは声に出さずとも思っていたに違いない。

 そのころ仮称アヤナミレイの方は野菜を収穫したり、絵本を読んだり、赤ちゃんと触れ合ったり、アスカに「仕事しないの?」と質問したりしていた。その様子を見た俺は
 だからもう残りの上映時間全部これでいいだろ、と思った。
 ところが寝ている赤ちゃんを見守っている途中で、仮称アヤナミレイはぶっ倒れ「私はネルフを離れて生きられない」と不吉な言葉を呟きあからさまな死亡フラグを立てる。やめろぉ!

 入れ替わるように家出したシンジは、寿命の短いアヤナミレイに差し出されたレーションを渋々食べながら川原で生き延びていた。渋々食べるということは、渋々ウンコやオシッコをしていたという事であり、その様子を想像すると何だか情けなくなってくる。風呂も入っていない臭そうだが、清潔感は維持されている。
「どうしてみんな僕に優しいんだよ!」
 と、アヤナミレイに激昂するシンジ。でもアスカはあんまり優しくなかった気がする。
「それはみんな碇くんが好きだから」とアヤナミレイは答える。
 どうしてみんなこんなシンジが好きなのだろうと一瞬考えるが、すかさずNARUTOでカカシ先生が「理由があるのは人を嫌いになる時だけでいい 」という台詞がインターラプトしたのでまぁいいかと思った。シンジくん頑張ってるもんな。
 ちなみにアスカの台詞によると、アヤナミタイプはシンジのことが好きになるようプログラムされているようだ。でもアヤナミはそれでいいという。そう、理由はどうあれ何かを好きになるのは素晴らしいことであると彼女は理解したのである。

 というわけで愛の力で立ち直るシンジ。「アヤナミのおかげ?」とアスカに問われて「うん」と答える。若干、悔しそうなアスカだがそれは自業自得というものだ。
 それからシンジも第三村でケンスケの手伝いをするようになる。魚釣りを頼まれて「出来るわけないよ」とエヴァンゲリオンに乗る前みたいなことを言い出すが、エヴァンゲリオン操縦するよりは簡単だと思う。
 そんなわけない。釣りを舐めるな。
 結局、一匹も釣れずにケンスケに慰められながら帰路に就く。赤面するシンジがかわいいと思った。

 とケンスケはミサトと加地の子供のリョウジにシンジを合わせる。加地さんはニア・サードインパクトを止めるために犠牲となって死んだらしい。ミサトは母親なんかできないと、リョウジに合わずにヴィレを率いていて、リョウジはそのことを知らない。
 っていうか子供に父親と同じ名前を付けるな。
 あと、ミサトと加地はいつ子作りしたの? 時系列的にはどの辺?

 2つの疑問が同時に浮かんだが、賢い人がいずれ整合性を付けてくれるだろう。
 っていうか生まれたと同時に捨てて二度と会わないとか、ゲンドウより酷くない? 会っておきなよ。エンディングではすべてに決着がついて二人が会えるようになるのだろうか。

 釣りの件が悔しかったのか、ペンペンの住む川原で釣りの自主練に励むシンジ。
 魚よりもペンペンが釣れそうだな………大丈夫? 間違って釣れたら針外せる? 開き直ってペンペンを食うか?
 そう思った矢先にアヤナミレイが現れてSDAT(あのウォークマンみたいなやつ)を返しに来る。アヤナミレイは鈴原家に「さよなら」と置手紙を残していた。
 ま、まさか!
 
さよならと、黒いプラグスーツが白くなっていくアヤナミ。
(あ、そんな機能があるんだ? へぇ)
 みたいな表情で立ち尽くすシンジの前で、一歩ずつ後ろに下がっていくアヤナミレイ。
 こいつ、まさか爆風の効果範囲からシンジを離すために!
 戦々恐々とするなか、俺の脳裏にカヲルのように頭が爆散するアヤナミレイが浮かぶ。死ぬのはいいけど、せめて穏やかに死んでくれ!
 そう祈る俺の目の目で、アヤナミレイはパチャンと旧劇場版のように全身がオレンジ色のLCLと化した。
 あっ! ああ………まぁ、首が爆散するよりはいいか。
 と、ホッとする俺。空っぽのプラグスーツに縋りつくシンジくん。今度はシンジのメンタルが心配だ。またウジウジと体育座りするのだろうか。そうなってもおかしくはないけど、メンタルが超回復したシンジくんは正装(いつもの学生服)してアスカと共にウンダーに乗り込む。テーザー銃を撃たれて。

3・南極へ

 正直、ここからの記憶が若干あやふやである。ネルフの碇指令と冬月副指令がセカンドインパクトの爆心地まで本部ごと移動する。セカンドインパクトの爆心地っつーと何曲か? 前回のQで槍が二本突き刺さった13号機の再起動の目途がよく分かんないけど立ったらしい。
 でも誰が13号機に乗り込むの? お前かゲンドウ? やだなぁ、おっさんのプラグスーツ見たくないよ。
 というわけで富士山らしき山に盛大に黒き月(だっけ? あのダンベルみたいなやつ)をぶつけつつ移動するネルフ本部。

 ネルフ本部の移動を感知して、ウンダーも移動する。ウンダーの中ではシンジがサクラに泣きながらビンタされたり、アスカにマリが絡むシーンが見られる。ミサトが息子の収穫したスイカを見つめつつ、リツコがウンダーが種の保存のために作られた箱舟であること、ウンダーをそうするように計画したのが加地さんであることを、丁寧に説明してくれる。
 ん? ちょっと待って。加地さんって、そんな計画を指揮するような人物だったの? 日本政府とネルフの二重スパイだと思ったけど、この世界ではもっとすごい仕事をしていたようだ。ミサトがヴィレを加地から託されたとか、青いバンダナはネルフから離反した目印だとか、元々は加地の形見だとか、14年の間にあったことが断片的に語られる。
 いや、そういう大事な話はちゃんと映像化しろよ。会話で済ますな。ファイナルファンタジー15か。
 クルーもニア・サードインパクトはシンジくんだけの責任とは考えていないようだ。日向がそういうことを言う。
 さっさと前作で言えよ。何考えてるかわかんなくて不安になるだろ。
 しかしゆるふわ髪の子が「こっちは家族ぶっ殺されてんですけど」と納得できない模様。まぁ、わからなくもない。

 アスカとマリが出撃前にシンジくんの居室へ奇襲をかける。マリとシンジはそこで初めて自己紹介をしあい、アスカは何と「あんたが好きだった……かも」と不器用な告白をする。

4・艦隊戦

 というわけでネルフ本部、ウンダーも南極上空に到着する。南極にはナスカの地上絵みたいなのがあって、あそこでなんか儀式とかするらしい。
 白いプラグスーツを着るアスカとマリ。拘禁されるシンジくん。
 こいつ何のためにウンダーに乗ったん?
 と思わなくもないが、彼には彼の思惑があるのだろう。俺はバカチンなのでよくわからないが。

 L結界密度がどーたらこーたららしい、白い結晶みたいなのに近づくウンダー。クルーの一人が「穢れた人の身でここまで入れるのもあーだこーだとにかく加地のおかげだァ!」と加地さんがヴィレの中でどんどん神格化されていく。エゴイスト(大人げないともいう)のひしめくエヴァンゲリオンのキャラクターの中では聖人と呼んでも差し支えないので仕方あるまい。
 すると白い結晶を突き破って戦艦が現れる。ネルフの戦艦だ!
「あれは二番艦○○!」とリツコが言う。このあと三つか四つくらい戦艦が出てくるのだが、その度にリツコが「三番艦○○!」「四番艦○○!」というので面白い。
 ネルフ本部を見つけたウンダーはミサイルを発射する。ミサイルとは軍艦に噴射器を取り付け、そのまま発射するという豪快なものである。
 効かなそう。
 という俺の予想を裏切ってミサイルはネルフ本部に風穴を開けて、格納されているエヴァンゲリオン第13号機が露出する。ネルフの戦艦にバカスカ撃たれながらもウンダーからエヴァンゲリオン新二号機と八号機が射出される。
 ネルフも対抗して量産型のエヴァンゲリオンを大量に射出する。数は多いが戦闘力はマリオのクリボーといった程度だろうか。
 この数のエヴァンゲリオン出したら使徒殲滅も楽だったろうな。
 っていうか、軍艦もそうだけどゲンドウと冬月の二人でよくこういうのが作れるよな。どうやってたった二人で本部を運用しているんだろう? Qのときから思ったけどさっぱりわからん。エヴァンゲリオン作るのにも資源が必要だろうし。

5・エヴァンゲリオン戦

 新二号機と八号機がゲーム感覚で大量のネルフ製エヴァといろんな武器で戦う。最終的にネルフエヴァが固まって削岩機みたいになったところを、新二号機と八号機はくっついてATフィールドを削岩機みたいに展開して突き抜けた。
 もうATフィールド何でもありだな。でもまぁ、既に破で示俊されていたことなのであまり驚きはない。アスカもマリも成長したのだろう。
 そんでネルフ本部に降り立って、腕がくっついたカワイイ感じの異形エヴァに地味に苦戦しつつ、アスカが13号機の前に立つ。
「13号機がいかに特別だろうが、停止プラグを突き刺せば動けない」という理屈でプラグを挿そうとすると例の如くATフィールドによって阻まれる。
 13号機はATフィールドを持たないのになんで?
 疑問に思うアスカだが、そのATフィールドの出どころは新二号機からだった。何か知らんが13号機に怯えてATフィールドを出しているらしい。
 そんなに怖いならさっさと停止プラグを突き刺せよと思うが、あんまし理屈がわからん。エヴァの気持ちとかわかんねぇし。無意識のものかもしれん。
 そこでアスカがコードスリーナインを発動する。もう何だか持ちネタみたいになった二号機の変身だ!
 するとアスカが眼帯を取って、目ん玉から黒いエントリープラグみたいなのを取り出した。痛そう。絶対痛い。
 同時にウンダーが第9使徒の反応を検出する。そう、アスカは使徒になっていたのである! 自分のATフィールドで新二号機のATフィールドを中和するという強引する技で停止プラグを突き立てようとすると、13号機が起動して目からレーザーを放って停止プラグを破壊する。
 碇ゲンドウの狙いは使徒化したアスカだったのだ。
 13号機に取り込まれるアスカ。何か知らんがオリジナル・アスカという奴がプラグ内に現れて蠱惑的な誘惑を受ける。アスカのDSSチョーカーが発動するも、起爆前に取り込まれた。
 役に立たねーなおい。
 八号機は異形エヴァの攻撃で両手をもがれ、ウンダーはQでも現れた全身コアで取り付いて操作を乗っ取るエヴァンゲリオンにやられていた。
 一度食らった攻撃だろ? 対策しとけよ。

6・碇ゲンドウ、甲板に立つ

 ゲンドウがウンダーの甲板(?)に現れる。何で?
 一人にしておくのもかわいそうだと思ったのか、ゲンドウを出迎えるミサトとリツコ。特にリツコはあった直後にゲンドウの頭に拳銃をぶっ放す。なかなかのファインプレーだな、と思ったが当然この程度でくたばる男ではない。
 飛び散った自分の脳みそを拾って頭の中に収めるゲンドウ。その頭は何か十字に空洞が開いていた。ネブカドネザルの鍵を使って、既に人間を辞めてるっぽい。人間辞めても飛び散った脳は拾わなきゃならんのですか。
「ごくろうだった、葛城大佐」と、ねぎらいの言葉をかけつつゲンドウは目からビームを出してウンダーから初号機を奪還する。
「父さん!」と、コントロールの乗っ取られたのをいいことに脱走したシンジがゲンドウに声をかけるが、ゲンドウは逃げるように空を飛んで去って行く。人間辞めても息子が怖いのか………と思った。

 万策尽きたミサトに向かってシンジくんは言う。
「僕が初号機に乗ります」
 いや、初号機はいま君のお父さんに奪われたよね?
 でもシンジくんは乗るという。彼には何か考えがあるのだろうか? 俺はバカチンだから見当もつかんけど。
 そんなことはさせんと、例のゆるふわ髪のオペレーターがシンジくんに拳銃を向けた。
 シンジくんの足元に発砲される拳銃。撃ったのはサクラだった。
 サクラは「碇さんは恩人で、両親の仇で……」と泣きわめきながら銃を向ける。かなり危険な状態だと一目でわかる。隣に自分よりパニックになっている奴を見ると冷静になる心理だろうか、ゆるふわ髪のオペレーターも絶句してしまう。
「僕は初号機に乗ります」
 それでもシンジくんは意思を曲げない。この状態に陥ったシンジくんはよくも悪くも誰も止めることは出来ない!
「怪我したら操縦どころやないやろ」の精神でサクラ、発砲。
 シンジをかばって弾丸を受けるミサトさん。
「彼のやることなすことすべてに責任を持つ」というミサトさん。
 でも正直、信用できない言葉だ。責任とらなそう。
 シンジくんおプラグスーツを取って来いと命じるミサトさん。プラグスーツに着替えるシンジくん。こいつ衆人環視の中、甲板で全裸になったのだろうか? 疑問に思うが、その程度の異常事態にはもうみんな慣れてそう。アスカとか前半、ほとんど裸族だったしな。

7・初号機対13号機

 まだ生き残っていたマリと八号機が、ウンダーに憑りついた奴を食べて、腕を再生させた。便利な機能ですね。シンジくんはマリの八号機に乗って、初号機を目指す。
 2人はマイナスの宇宙へ乗り込んでゲンドウを追跡する。マイナスの宇宙とは何ぞや? 13号機は量子テレポートを繰り返して位置を攪乱しているようだ。量子テレポート? まぁ、いいや。そんでどうするのだろうか?
 シンジくんが「綾波」と呟くと八号機のプラグ内に扉が現れた。何で?
「必ず君を見つける」と約束するマリ。彼女ならシンジくんを見つけられるらしい。理屈は分からないけど頼もしい。
 一方、ウンダーでは「そもそもシンジくんシンクロ率0%だけど乗れるの?」という会話がなされた。もっと早めにそういうことは議論しようよ。だからミサトさんの「責任を取る」が軽く聞こえるんだ。
 ところが何とリツコさんによると「そうではなく限りなく0%に近い数値、すなわち無限よ」と言う。なろう小説の主人公か。
  そんでなんか知らんが初号機のエントリープラグ内に入ったシンジくん。そこには髪がボサボサに伸び切った綾波レイがいた!
「碇くんがもうエヴァに乗らなくていいようにしたかった」と彼女は言う。具体的に何をしていたのだろうか? シンジくんはどうして初号機の中に入れたのか? ここから先は具体的な言葉が一切ない。考えるな、感じろ。
 ってまたそれかよぉ!
 まぁ、初号機に乗り込んだシンジくん。対するはエヴァ13号機。何かその世界はLCLの作用によって心の中が現実化する世界らしく、初号機と13号機は特撮のセット、ミサトのマンション、教室とフィールドを変えながら戦う。ミサトのマンションで机を吹っ飛ばしながら暴れる初号機と13号機を見て、何だか名探偵エヴァンゲリオンを思い出………うっ、頭が!

「恐怖と暴力は意味をなさない」というゲンドウ。どうも戦闘は無意味だと悟ったシンジくんは槍を置く。いや、最後は派手に暴力で決着をつけて欲しかった。対話を始めるシンジくんとゲンドウ。
 ゲンドウはシンジに黒いリリスを見せる。エヴァンゲリオンイマジナリーだ! とか言って虚構を現実にするらしい。
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 現実ではウンダーが、ゲンドウが槍を二本とも使い捨てるから新しい槍を作ろうと言い出す。どうも軍艦には槍を作る力があるらしい。さっきゲンドウが黒き月を軍艦で槍にしたしいけるべ、とミサトが言い出す。正直、ロンギヌスの槍もカシウスの槍もよく説明されないのに新しい槍とか言われても。エヴァンゲリオンイマジナリーとかここにきて新しい単語バンバン出てくるし、もーわけわからん。
 一方で軍艦に乗った冬月が、マリと対峙する。マリは冬月を先生と呼び、冬月は「イスカリオテのマリア」とマリのことを言う。また新しい単語が増えた。「君の欲しがるデータまとめて置いた。持っていけ」と冬月は言って、LCLと化す。マリ、お前一体何者だよ。単語は増えても具体的な説明が一切ない。エヴァンゲリオンそういうとこだぞ。
 あと巨大綾波が下から現れた。アニメした絵じゃなくて、限りなく実写っぽいCG映像だ。怖い。進撃の巨人みたいだ。

 一方、シンジくんとゲンドウの対話は続いていた。
「父さんは何がしたいの?」と、見ている全員が感じる疑問をシンジくんが口にする。「亡くなった妻に会いたい」というのがゲンドウの願いだった。
 それには犠牲が多すぎると思うんだよね。
 ゲンドウはクドクドと、自分は他人が嫌いだった、本とピアノだけが友達だったと暗い少年時代の話をする。
「父さんピアノやってたんだ! 意外だね! 何か得意な曲あるの?」と俺なら思ってそこからなるべく明るい話題を膨らませるところだが、もちろんシンジくんはそんなことしない。
 それで大学時代にユイと出会う話に入る。でも回想シーンを見る限り、マリに弄られてるからマリと結婚しそうにも見える。でもユイと結婚したんだよな。こんな暗い男がユイと結婚出来たことがエヴァンゲリオン最大の謎かもしれない。
 で、イマジナリーな世界でユイを探すんですが見つからない。
「心の弱さを認めないからだよ」とシンジくんに言われる。息子にそんなことをいわれちゃおしまいだな。
 すると急にシンジくんの方を見て「そこにいたのか」とイマジナリー電車を降りるゲンドウ。
 ここからは案内を代わるよ、と現れる渚カヲル。

8・シンジくんのセラピー

 ウンダーは何か作業をして、乗員がミサト意外全員撤退して、ミサトが巨大綾波に特攻して死んで、引き換えに槍を生み出す。
 葛城ミサトは決して責任を取らないという予想が的中した。
 で、新しい槍でシンジくんは「ネオンジェネシス」と呟きエヴァンゲリオンのない世界を作るらしい。
「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン」
 よく分かんない台詞である。シンジくんは自分の為ではなく、みんなのために願いを使うというが、それがすべてのエヴァンゲリオンとさよならすることにどんな関係があるのだろうか? そもそも今何が起きてるの? よく分からない俺は何となくシンジくんが何とかすんのかな、としか理解できないのであった。

 で、ここからシンジくんは順番にエヴァンゲリオンに取り込まれた人をセラピーするのです。まずアスカは、実は無数のクローンの中から選ばれた一人らしい。他のクローンはどうなったんだろ? 知らん。たまにネルフって派手な人権無視をするよな。人類滅亡がかかってるんならそうせざるを得ないかもしれんけど。
 寂しい、自分を能力抜きに認めて欲しい。そういう心象風景に現れたのが何故かケンスケだった。アスカとケンスケってそういう関係なの?
 最後に旧劇場版のラストシーンみたいな場所で、エヴァの呪縛から解き放たれたのか体が一気に成長してプラグスーツがパツーンってなるアスカ。
 好きだと言ってくれてありがとう、と言うシンジの言葉に顔を赤らめる。作画もリアル調で今風でかわいい。それでアスカは心理的にも救われたのだろうか。13号機からエントリープラグが射出される。

 次はカヲルくんの番らしい。これが何かよくわかんない。同じようなことを延々と繰り返しているみたいなことを言うし、実は陰で加地リョウジと手を組んでいて「渚司令」と、ゲンドウがいつも座っている席で呼ばれていたりする。なにこれ現実? パラレルワールドの話? 映像がなんかニコニコ動画のMADのようで現実感がないんですけど。
 いや、加地一人でウンダーとかヴィレとか立ち上げるの無理だよね? っていう疑問に関するアンサーになってるし、これはこれで興味深いし、っていうか、だからこういう大事なことをちゃんと映像化してやれよ!
 
そんでカヲルが子供のシンジくんと仲良くなるおまじないと称して握手。カヲルが号泣して救われてどっか行く。
 綾波レイはさっさと第三村へ送られた。

 最後に残ったシンジくんは自分に槍を突き刺そうとして、母親に止められる。代わりに母親が身代わりになる的な描写になり、それに寄り添うゲンドウのイメージ。
「誰だ? 綾波? いや、母さん? あんたのせいで世界はめちゃくちゃ大変に………」というのは冗談である。
 世界中のエヴァンゲリオンが分解されて、無数の人間とか動物になって地上に降り注ぐ。脱出したウンダーの乗員は第三村近くに、アスカの乗っていたエントリープラグはケンスケの家の隣に落っこちた。
 最後にシンジが海辺に佇むと、アニメがどんどん下書きみたいになっていく。まだイマジナリーな世界にいるらしい。
 そこへ八号機に乗ったマリが駆け付けて、海に飛び込むとまた作画が元に戻る。八号機が破裂して消えた。おい、どうやって元の世界に帰るんだ。
 それで場面転換して、駅のホームにいる大人になったシンジ。ホームの向こう側には綾波とカヲルが談笑している。何話してんのかめっちゃ気になる。
 そこへシンジのところにマリが現れて、シンジの臭いを嗅ぐ。変態だ。大人になったね、とか言うと「君も相変わらずかわいいよ」とシンジが変なことを言う。声が違う。声変わりしている。っていうかお前らの関係性何なの? ここは何なんですか? 何が起きたんですか。
 シンジの首に着いたDSSチョーカーを外すマリ。二人はそのまま実写の駅から駆け出した。

終劇

 面白かったよ。まぁ、ハッピーエンドと言えるのかな?
 でも釈然としね~。
 結局マリは何だったのさ。ケンスケとアスカはカップルになっちゃったの? 何かよくわかんね。っていうかこの話、別にエヴァQ見なくてもだいたい繋がりそうだよな。自分のせいで世界がこうなって、第三村へ辿り着いて立ち直る………という構成でも不自然ではないような気がする。
 まぁ、わからん。今更仕方がない。また作り直されても困るし、これはこれでいいのだ。
 でも希望を言えば最後は綾波かアスカに手を引かれて駅から飛び出して欲しかった。どうしてマリなんだ? 綾波派とアスカ派で揉めるからか? 
「中途半端が一番悪いわよ!(旧劇)」
 まぁラブコメが欲しかったら他のメディアミックスを参照するべきだよね。べきなのか? 俺はエヴァンゲリオンに何を求めて鑑賞したんだ? シン・エヴァンゲリオンに何を期待したんだ? でも面白かったんだよ。こうやって感想書くぐらいには面白かったんだよ。シンジくんは立派に成長して他人を助けられるぐらいにはなったじゃないか。でも俺はシンジくんがアスカと結婚して二人ぐらい子供産んで生活しているエピローグが見たかった。綾波でもいい。ミサトと加地も生き返って欲しかった。ゲンドウがユイに小言を言われながら新聞を読む姿が見たかった。
 俺に足りないのは理解力なのか?
 最後のあの世界は何なの? 俺たちの世界ってこと? でも他のみんなは元の世界へ降り立ったよね? どういうことなんだ? よく分からねぇが、まぁいずれにせよ旧劇場版よりはマシか。旧作との関係もはっきりしないんだよな。
 俺は予告の「さよなら、すべてのエヴァンゲリオン」という台詞でメディアミックスされたあらゆるエヴァンゲリオンを消滅させる展開かと思った。その中にはもちろん名探偵………うっ、頭が。
 
とにかく、まぁ、そういう話では無かったが綾波との対話の背景にテレビシリーズの映像とサブタイトルが流れて、撮影所の風景と相まって「またメタフィクショナルな感じか」とゲンナリしたのは事実である。

 以下は少し思い出話

 俺がエヴァンゲリオンに出会ったのは1997年の深夜連続再放送からだ。あれから24年、ついにエヴァンゲリオンが完結した。
 改めて思ったのは、1995年当時にちゃんと結末を作っておけばこんなにグダグダにならずに済んだということである。
 いや、ああいう結末だったからこそブームになったというかもしれない。この新劇場版も生まれなかっただろう。経済効果もたくさんあった。
 だけど、それが最善かと言われるとあまりそうは言えない気がする。
 新劇場版の序が公開されたとき庵野監督は「エヴァンゲリオンより新しいアニメが生まれなかった」みたいなことを言っていたのを覚えている。それは「ちょっと言い過ぎだろう」と思った反面、「そうかもしれない」と思った自分がいる。だから今も印象に残っているのだろう。
 でもそれは2007年の話で、残念ながらその後、進撃の巨人が生まれてしまった。厳密にはアニメ原作じゃないけど、エヴァンゲリオンと似たようなことをしながら、物語としての完成度はこちらの方が正直遥かに優れていると思う。
 そりゃ映像技術はエヴァンゲリオンの方が凄いかもしれないけど、俺はどちらかというと物語性の方に興味がある人間なんで、そう思ってしまうのだ。
 シン・エヴァンゲリオン劇場版を見終わったとき「まだあの世界で出来たことがあるんじゃないか?」と思う自分がいる。それがもしかするとエヴァンゲリオンの狙いなのかもしれない。
 でも、もういいよ。俺はこれ以上のエヴァンゲリオンを望まない。だってキリがないじゃないか。14年近い月日をかけた新劇場版がこうなら、また作り直したって、続編を作ったって俺の頭程度では「?」となるに違いない。
 というわけでさよならだ、エヴァンゲリオン。俺としてはエヴァンゲリオンや軍艦でドンパチやるよりも、第三村で幸せに暮らすアヤナミレイの姿をもっと見ていたかったよ。

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