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2021年好きだったアルバム

お久しぶりです。虚無な時間を過ごしていました、メシロです。割と音楽が好きな部類なのですが、あんまりアルバムを通して曲を聴くことが無くて、結構つまみ食いみたいに聴くタイプです。そんな僕がアルバムとしていいなと思ったものを紹介しようと思います。あ、あと音楽のセンスはほっといてください。

Kanye West - "DONDA"

まっくろ

 まずはこれから。多分去年一番聞いたんじゃ無いかというアルバム。「聴く躁鬱」ことカニエさんです。2020年からリリース予定があったものの、二度のリスニングパーティーなどの紆余曲折を経て2021年夏に突然リリースされたアルバムです。てか自分の母親の名前をアルバムにするという発想ぶっ飛んでるな。僕の感想としては、カニエのこれまでのアルバムとしての完成度ではこれが一番では無いかと思います。いい意味で安定していて、どの曲もいい。そしてこれまでのアルバム、例えば「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」や「The Life of Pablo」、「Jesus Is King」などの系譜を受け継ぎ、いい感じにまとめ上げた印象がありますね。
 
 その中でも、特に今ノリに乗っているPlayboi CartiとFivio Foreignを客演に迎えた「Off the Grid」、The WeekndとLil Babyをフィーチャリングした「Hurricane」、Jay-Zとコラボしたオリジナルヴァージョンと、悪い意味で注目を浴びてしまったマリリンマンソンとDa Babyの二人とのコラボの2つがある「Jail」、そしてTravis ScottとBaby Keemをフィーチャリングし、イントロがTiktokで使われて人気になった「Praise God」などが話題になりましたね。

 あと先述の「Off the Grid」、幻想的でまさにここ最近カニエが目指してきた世界観を体現した「No Child Left Behind」、ダークなサウンドにVoryのヴォーカルがマッチした「God Breathed」、そしてテクノ界におけるダークホース的存在であるGesaffelsteinがプロデュースに関わった「Jesus Lord」あたりが個人的に好きでした。DONDAはもっと書きたいことがあるのですがキリがないので、さらに知りたい方はこちらに素晴らしいレビューがあるのでぜひ。

Marilyn Manson - ”The Last Tour on Earth”


 お次はこちら、見るからにクソ野郎 akaマリリンマンソンです。最近アニメ化されたジョジョ6部にスタンド名として出たことで名前を知ったという人も多いかもしれません。これは1999年のライブアルバムで、マリリンマンソンのダークで不気味な世界観を堪能できるようなアルバムです。ライブアルバムとして随一の名盤だと思います。このアルバムに入っているなかで、メジャーなところでいえばユーリズミックスの名曲をカバーした「Sweat Dreams」、「Great Big White World」、映画マトリックスのエンディングにも採用された「Rock is Dead」、「The Dope Show」、「The Beautiful People」とかオススメです。個人的にはライブの最後の曲である「The Last Day On Earth」が一番好きです。アコースティックな感じめっちゃええやん…
あとボーナストラックの「Astonishing Panorama of the Endtimes」もエレクトロニックな要素をうまく溶け込ませていてすごく良かった(語彙力)

Ty Dolla $ign - ”Featuring Ty Dolla $ign”

3つ目はこちら。LA出身R&Bシンガー兼ラッパーのTy Dolla $ignの3枚目になるアルバム「Featuring Ty Dolla $ign」です。客演が結構豪華で、Kid Cudi, Post Malone, Kanye West, Anderson.Paak, Quavo, Nicki Minaj, Kehlani, Big Sean, Roddy Ricch, Jhené Aiko, Future, Young Thug, FKA Twigs, そしてSkrillexなどと今の音楽シーンの第一線にいるような人たちが大集合した作品になっています。アルバム全体の印象としてはヒップホップ、R&B、EDMというジャンルを行き来しながらも、それが繋がりよくまとめられていて、心地よく聴ける完成度が高いアルバムになっているなという感じです。オススメは「Track 6 (feat. Kanye West, Anderson. Paak & Thundercat)」、Skrillexがプロデュースしたハウスのテイストが入った「Ego Death (feat. Kanye West, FKA twigs & Skrillex)」、そしてDJ MustardプロデュースのLAサウンドが特徴の「By Yourself (feat. Jhené Aiko & Mustard)」あたりです。個人的には「Lift Me Up (feat. Future & Young Thug)」とかも好きでしたね。

Måneskin - ”Teatro d'Ira - Vol. I”

次はイタリアのロックバンド、Måneskinからのアルバム。ヒップホップ全盛期の昨今、そんな中から久しぶりに出てきた正統派ロックバンドです。初期のアークティックモンキーズやイギーポップのような荒さを持ちながらも、曲もファッションも洗練されている印象があります。カッコいい。このアルバムは8曲中6曲がイタリア語で歌われているんですが、ラップのような歌い方をしているところもあってそれもいいんですよね。このアルバムのオススメは、「I WANANA BE YOUR SLAVE」、「ZITTI E BUONI」、「FOR YOUR LOVE」です。最後に、彼らは今年のサマソニに出演するとのことです。楽しみですね。

LIL NAS X - ”MONTERO”

そしてこれ。LIL NAS Xの「MONTERO」です。これも話題になりましたね。「Old Town Road」の大ヒット後、一発屋になるかもと言われていた彼が、過激なMVで物議を醸した「MONTERO (Call Me By Your Name)」をリードシングルとして提げたアルバムですが、1枚目のアルバムであるにもかかわらず完成度が高いです。 前半は明るい曲調が多く、反面聴き進めていくとどんどん暗くなっていく。「THATS WHAT I WANT」では男の子との叶わない恋について歌い、そしてJack Harlowとコラボし、カニエウェストがプロデュースした「INDUSTRY BABY」では自らの成功を歌ったと思えば、「SUN GOES DOWN」では明るい曲調の中で自らのいじめ体験や自殺願望を歌ったり、とにかく彼の内面が曝け出された曲が多いなという印象です。そして、ガチガチの男社会で、LGBTへの嫌悪感が強いヒップホップ業界でこのアルバムを発表して、なおかつチャートインさせる偉業を成し遂げたのはすごいなと。作品としての評価も含め、この作品が世に出た意義は大いにあるんじゃないかと思います。オススメは「INDUSTRY BABY」、ビートがカッコいい「DOLLA SIGN SLIME (feat. Megan Thee Stallion)」、「AM I DREAMING (feat. Miley Cyrus)」、少し哀しさも漂うラブソングの「LOST IN THE CITADEL」です。

SLOWTHAI - ”TYRON”

こちらはイギリスのラッパー・シンガーのスロウタイの最新アルバム。彼の音楽スタイルはしばしば、イギリスのラップミュージックであるグライムとパンクロックの融合であるグライムロックと称されることが多いようです。彼自身、インタビューでアークティックモンキーズなどのロックバンドからの影響を口にしています。このアルバムは2枚構成になっており、1枚目はヒップホップ色が強く、2枚目は自らの苦悩を吐露した歌詞とともに悲哀感漂うトラックで構成されています。僕自身の印象としては、USのヒップホップの影響を受けながらも、それとはまた違うサウンドで、なおかつパンクなど他ジャンルの影響を受けたビートの上にグライムのようなラップを載せていてかっこいいです。今のUSヒップホップに少し飽きたな〜って人にオススメです。好きな曲はイギリスのラッパーSkeptaとコラボした「CANCELLED」、A$AP ROCKYとのコラボ曲「MAZZA」、そしてDenzel curry、ドミニク・ファイクをフィーチャリングした「terms 」です。

Tom Waits - ”Closing Time (Remastered)”

渋い

続きまして、アメリカのシンガーソングライターであるトム・ウェイツのデビューアルバムである「Closing Time」です。このアルバムは僕がよく行っているカフェのオーナーさんに教えていただきました。ジャズ的なピアノサウンドと特徴的なしゃがれた声に孤独感を誘う歌詞が合わさってすごくいいです。この言い方は陳腐ですが、まさに夜に一人で聞くと沁みるアルバムです。このアルバム以降はサウンドに実験的な要素が増え、声の太さにも磨きがかかって個性的になっていくのですが、個人的にこのアルバムが一番好きです。彼は映画にも俳優として度々出演しているのですが、ジム・ジャームッシュが監督を務めた「ダウン・バイ・ロー」がハマり役で良かったのでぜひ見てみてください。このアルバムのオススメは「I Hope That I Don't Fall in Love with You」、「Martha」、「Grapefruit Moon」、そして「Midnight Lullaby」です。

A$AP ROCKY - ”AT.LONG.LAST.A$AP”

最後にこちら。はい最高です。DONDAとこれを紹介するために記事書いたようなものです。

 ニューヨークのラッパーA$AP ROCKYが2015年に発表したアルバムで、大御所ベックやゴリラズ、MFDOOMとのコラボで知られるデンジャーマウスとA$AP Yamsがエグゼクティブプロデューサーを務め、前作「LONG. LIVE. ASAP」で様々なジャンル、つまりトラップ、ダブステップ、エレクトロ、R&Bなどのトラックを、散りばめるかの如く盛り込んだのとは対照的に、ロックやジャズに影響を受けながらもヒューストン発祥の「Chopped &Screwed」と呼ばれるドロドロとしたサウンドや、トラップ的な要素も織り交ぜたビートをメインに構成されたアルバムで、統一感があってずっと聴けます。何回聴いてもいい。そしてA$AP ROCKYの他のアルバムと比較してもかなり落ち着いていて、彼の懐の広さが知れるアルバムになっています。

 ちなみにヒップホップではその地域のサウンド、つまりLAであればG-funk、NYだったらジャズラップ、アトランタだったらトラップ、みたいな具合でその地域のサウンドが重視される傾向にあります。しかし彼はNY出身でありながらも、キャリア初期から地元のサウンドに拘らず、前述のChopped &Screwedであったり、トラップや、スウェーデンのYung Leanが広めたクラウドラップ、そしてエレクトロなど様々なジャンルの音を取り入れるのがうまい印象があります。ちなみにアルバムで多数フィーチャーされているJoe Foxというアーティストですが、偶然路上でギターを弾いてるところにRockyが現れ、演奏を聴いた彼がスタジオに連れてったところが始まったという逸話があります。

 アルバムの前半ではデンジャーマウスが持つソウルやロック的な音に、ドロドロしたヴォーカルとともに彼が次々と言葉を乗せていくスタイルで、後半ではヒップホップ色が強くなり、ジャズラップとトラップを基調としたサウンドになっています。おすすめは全部と言いたいぐらいですが、その中でも、前半の曲たちが全部最高です。1曲目から5曲目あたりまで聴いてみてください。僕の伝えたいことがわかると思います。後半ももちろんいい。

最後に

書いているうちにかなりの文字数になりましたが(5200文字)、自分で書いててヒップホップの音楽が結構多いなと思いました。今度は最近ハマってる曲とかも書いてみようかなと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。では。

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