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142「詩」立ち尽くしたまま

やりたかったこと
心に描いていたことが
光の腕からこぼれおちていた

それは
片隅で泣いている小さなこどもの
涙をぬぐうはずだった
それは
押しつぶされそうになっている大人たちの
荷物を少しだけ軽くしてくれるはずだった
もしかしたら
今泣いてる人の未来に
ほんの少し温かな風をおくったかもしれない

思い違いや誤解が
妬みや嫉妬に変わると
手がつけられない武器になってしまった

どうしても受け入れたくない
不条理なことが
同じ地上で
こうしている間にも
起こっている

起こしているのは
人間の形をした
どろどろと溶けながら
膨れ上がる欲望や妬みだ

神さまが
分け隔てなく全ての人に
朝の日差しを贈っている
通りに落ちた影が昨日より
いくぶん長くなる 

季節は確かに移ろっている
時間は確かに経っている

光の腕を持った者たちが
大きな瞳に涙を堪えている
心に描いていたことがこぼれおち
行き場もなく
立ち尽くしたままでいる

写真:Y.Tatsuo

※京都アニメーションの事件、才能溢れる犠牲になられた方々、ご家族、ご友人は今も悲しみに立ち尽くしたままだと思います。ご冥福という言葉を使うには残酷過ぎる気がします。辛過ぎる出来事に、ただ祈りを捧げること、そして心を寄せることしかできないでいます。
バイオレット・エヴァーガーデンを見ました。
素晴らしい作品。制作に携わっていた多くの方が犠牲になられていること、悲しくてやり切れない思いになります。



写真家さんの作品はこちらで見られます。

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