56「詩」ふわり
街が淡い紅色のベールを被ると
街ぜんたいが
ふわり
そのまま空に飛んでいけそうな予感がする
少しばかり運が悪くて
損ばかりしてきた
惨めな心が
ふわり
軽くなっていきそうな予感がする
淡い紅色のベールに覆われると
忘れてしまいたい事が
そっと眠りにつく
淡い紅色のベールに覆われると
触れられたくない心の傷が
痛みを無くしていく
暖かな春風が街中に吹き始める
一枚一枚に
祈りを込めながら
ふわり
桜は一斉に花びらを舞い散らし始める
(写真: O.Mikio)
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