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児童養護施設ってどんな所?

「児童養護施設」と聞いて「なんか聞いたことあるなぁ」という方や、「名前は知っているけどどんな所なのかピンとこない」という方も多いのではないでしょうか?

今回は前半で児童養護施設ってどんな所なのか?と言うことを書いています。
後半は私が実際施設で生活してきた中で感じたことを書いています。
私自身16年児童養護施設に住んでいますが、児童養護施設も全国に約600カ所あり、約25000人の子どもたちが暮らしています。私も自分が住んでいる施設以外の子と関わる機会はありますが、全てを知っているわけではないので、これが児童養護施設の全てではないことをご了承の上で読んでいただけると嬉しいです。

児童養護施設とは?

では、まず児童養護施設とは社会的にどんな位置付けなんでしょうか?

Wikipediaより↓↓↓

児童養護施設とは、児童福祉法に定める児童福祉施設の一つ。 児童福祉法41条は、「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義する。

児童養護施設とは、経済的な理由や虐待など、さまざまな理由で保護者と生活することが難しい、そして社会のサポートが必要と判断された児童が入所する施設です。入所した子どもたちを保護し、集団生活の中で生活習慣を身につけたり社会生活に必要なスキルを得られるよう、支援を行います。そして、施設退所後の自立に向けた支援、退所した子に対してもアフターケア支援を行います。

施設の入所理由と在籍年数

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児童養護施設というと、一般的には親と死別した子どもが入所する場所と思われている事が多いですが、実は、入所する理由で最も多いのは、22.5%の親からの虐待です。その後に17%で親からの放任・怠だが並び、父または母の死亡は、2.5%になっています。
児童相談所に報告される児童虐待の数は、年々増加しています。

児童虐待の背景には、母親の育児ストレスや、育児不安挙げられます。虐待行為の6割は実の母親によって行われているというデータがあります。夫や父母の助けを十分に得られなかったり、近所付き合いもなく家の中で孤立してしまったりする中、子どもに関わる時間が最も長い母親が、思い通りにいかない子育てに一人で悩んでいることが多いと思われます。

施設入所時の年齢は、2歳が19.5%で最も多く、次に3歳の13.0%になっています。高年齢児になっていくにつれ、入所の割合が低くなっています。
在籍期間は、一年未満が14%で最も多く、10年以上の長期入所者数は13%で、在籍期間平均は5.2年となっています。

児童養護施設の状況

近年、児童養護施設の数は増加傾向にあります。これは大規模施設『大舎制施設)から6〜12人の子どもが1グループで生活する小規模施設に分割されているなどの関係もあるようです。平成30年10月時点で605カ所になりました。また、入所する児童の割合にも変化があり障害がある児童の入所が増えているそうです。

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2012年度、32年ぶりに、児童養護施設に置かれる職員数の最低基準が引き上げられ、小学生以上の子ども5.5人に対して1人の職員が生活の世話をすることになりましたが、それまでは子ども6人に対して職員1人と定められてきました。
「子ども6人に対して職員1人」とはいえ、実際は1日8時間の勤務としても、1日3人の職員が必要です。単純に計算すると、1人で最大18人の子どもを担当する可能性があります。
1人の職員が同時に十数人の子どもたちの生活の世話をし、毎日の様子を記録し、学校行事に親代わりとして出席することになるのです。 
子どもたち一人一人に、退所後に一人で生き抜く力を身につけさせるには、大変な労働となります。

児童養護施設の生活(苦労したこと、楽しかったこと)

児童養護施設は現在約600ヶ所あり、その一つ一つの施設によってルールや、生活スタイルが異なります。
今回は、私が住んでいる施設を例に出して説明したいと思います。

私の施設は、大規模施設から最近建て替えを行い、小規模施設に変わりました。大舎の時は2歳から小学校入学前の子どもたちの生活する場所と、小学生以上が生活する場所に分かれていました。小学生以上の子どもたち60人ぐらいを、朝3人昼夜5人の職員が勤務制で見るという感じでした。
以下簡単な施設形態の説明です。


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小学生の頃に苦労したことは、私の施設はすごく上下関係が激しい施設だったので、年上の子に嫌われないように毎日嫌いな野菜を食べてあげたり、年下の子に舐められないように少し悪さをしてみたりと、つねに周りの目を見て行動しなければならなかったことかなと私は思います。(集団生活あるあるかもしれないです。笑)

小学生の頃の楽しかったことは、何をするにもみんなが一緒だったことです。例えば、トランプが流行るとみんなで毎日トランプをしたり、職員に怒られるのも、もちろんみんなでなので、そこでふざけ合って遊んだり、そんな何気ない日常が私は大好きで楽しかったです。
あと、季節行事といって、春にお花見に行ったり、夏にはみんなで海に行ったりと、いろんな行事があったことも楽しい思い出です。

中学生になり、ちょっとずつ周りとの違いを感じることも増えたように感じています。
中学生になって,周りの友達の門限は早い子で20時でした。門限がない子もたくさんいました。お小遣いも私は月2000円,友達は月5000円とか,ほしい時にもらうと言っている子もいました。なので遊ぶと夜ご飯を食べて帰るのが当たり前だだだように感じます。私は夜ご飯を食べて帰る時間も、お金もなく、私はみんなと違うことが恥ずかしく思い,遊びの誘いを断るようになったり、友達との差を感じることで苦労したかな?と思います。

中学生の時に楽しかったことは、学校の部活動で、同じ施設の子がたくさん集まっている部活があり、私もその部活に入りました。みんな施設の中では見せないような真剣な様子で物事に取り組んでいて、それを見て自分も勇気や、元気をもらえたことかな。と思います。

高校生になって、今までずっと一緒にいた施設の子とはと離れ、電車で1時間ぐらいの学校に進学しました。今までは、周りの子も施設のことを理解してくれていたので、高校生になり施設に住んでいることを友達に言うべきなのか?すごく悩みました。
そして、勇気を出し1人の子に施設のことを言うと、その子は施設のことを知らず、無意識に「可哀想ね」と言いました。その時はその言葉がすごくショックでした。(今は、児童養護施設の正しい知識が広まっていない事がすごく悲しい。)それから施設に住んでいることを学校の子には言っていません。
他にも、高校生になって違和感を感じる事がすごく増えたように感じます。
例えば、みんな携帯電話を持っていることが当たり前でした。携帯電話を持ってきて良い学校だったので,みんなが携帯電話を持ってきていました。中学の頃から携帯電話を持っていなかったことにより、自分が周りに置いていかれてるんじゃないか?と感じることがあらましたが,高校生になると置いていかれることへの恐怖と孤独感に襲われました。
「LINE交換しよ」「インスタフォローしていい?」「〜ってゲームやってる?」「昨日のYouTube面白かったな」「アベマTVの〜くんカッコいいよな」
など毎日携帯の中の話ばかりで、全然話についていけないことも多く、友達作りに苦労しました。

楽しかったことは、施設で育ったから出会えた人だたくさんでき、いろんなお話を聞かせていただいたり、させていただいたりしたことです。
施設で生活していたから、今やりたい事があって、それを応援してくださる人がたくさんいる事が今1番の幸せだと感じています。

児童養護施設退所後困ることとアフターケア

18歳で児童養護施設を出ると、子どもたちは、仕事をして自ら稼いだお金で、住まいや衣服を整え、食事をして、生活をしていかなければなりません。しかし、子どもたちの中には、家庭の事情や生まれ育った環境から、基礎的な生活能力や、周りの人とうまくコミュニケーションをとる力、仕事に対する意欲などが低い人が少なくありません。

施設での集団生活から、いきなり1人暮らしを余儀なくされ、身近に相談できる大人もおらず、孤独感や孤立感を深める子どもも少なくありません。
お金や人間関係のトラブルなどで困難な状況に陥ったとき、自力で乗り越えられず、誰にも相談できずにいるうちに、かえって問題を大きくしてしまうことがあります。
このような状況を変えるべく自治体や民間団体が動いていますが、まだまだ必要な時に必要な人に届いていないのかな?どう感じています。
そんな中で、近年施設に入所している時から関わりを持ってくださり、その後施設退所してからも継続的に関わり続けてくださる施設も増えています。

児童養護施設のこれから

社会的養護を必要とする児童の増加に合わせて、施設のの質と量の充実が求められています。具体的には、できるだけ一般家庭に近いような環境を提供するために小規模化やグループホームのような地域分散化や、里親などが進められています。

施設の小規模化によって、子ども一人一人と向き合える時間が増えたり、集団ではできないこと(みんなで料理を作ったり、一つの机でみんなでご飯を食べたり)ができる良い点もありますが、職員と子ども間、子どもと子ども間の良い距離感とり方、被虐待児や障害のある児童の増加に伴い職員の高い専門性が求められるなど、課題も多くあります。
子どもたちにとってより生活しやすい環境を作っていく事が大切だと思います。


参考資料

「もっともっと知って欲しい児童養護施設」(全国児童養護施設協議会)http://www.zenyokyo.gr.jp/pdf/pamphlet_h27.pdf
児童養護の施設等について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/01.html
児童養護施設入所児童等調査の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11923000/000595122.pdf
児童養護施設
等について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000166119.pdf


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