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301【「指導」よりも「観察」を】

新型コロナウィルスの影響で休校中、陸上の自主トレーニングをしていた子どもが「膝が痛い」と、せっかく学校が始まったのに運動を休まざるを得なくなってしまっています。かわいそうですが、仕方ありません。

 こどもたちのコーチをしていて、熱心になればなるほど、子どもたちは「あれもこれもしたい」「少しでも変わりたい」と考えるものです。これはコーチも同じで、熱心であればあるほど、「あれもこれも教えたい」「変えてやりたい」と考えるようになっていきます。このようなコーチングは「オーバーコーチング(教えすぎ・やりすぎ)」になってしまうことが多いのではないでしょうか。コーチの方々と話していて、よく出て来る話でもあります。

 コーチがダラダラとした雰囲気で指導するのではなく、情熱を持って子どもたちを指導することは、トレーニングを成功させるための土台となり、非常に重要です。しかし、熱い思いから来るものだと言っても、それぞれの子どもたちの吸収力の許容量を超えてしまうと、コーチの情熱や好意が逆効果になってしまいます。オーバーコーチングになってしまっては、子どもたちが拒絶反応を示して聞く耳を持たなくなるだけです。また、いろいろ伝えすぎることによって、自らの意思で判断して行動することが少なくなり、自主性が育たなくなることも考えられます。

 子どもたちの精神的な特徴を考えると、自己顕示欲が非常に強く、好奇心や興味を中心とした行動をとる傾向が強いものです。こういったことを理解する必要があります。そのためには、「指導」よりもまず「観察」です。言いたいことを全て言うのではなく、心にしまっておく勇気もコーチには必要かもしれません。そして、指導をするとしても、この年代には、言葉よりも行動で示す方が良いように思います。コーチが「良い見本」を示すことは、子どもたちのその後の人生に少なからず好影響が出て来るものです。子どもたちが眼で見て感じることは、非常に重要なこととなります。

 子どもたちには、それぞれレベルや発育・発達の違いがあり、子どもたちは目先のことにとらわれてしまいがちです。しかし、コーチは子どもたちと同じ視点ではなく、もっと先の将来を考えることが必要です。子どもたちの可能性の芽を潰してしまわないように、一人一人に目を配り、個人をベースにして課題やテーマに変化をさせる必要があります。

 そうやって、子どもたち自身が目標を持って、取り組むように意識付けさせることが求められます。目標に対して意識付けが出てくるようになれば、自然とやる気が出るもの。やる気が出たときこそ、子どもたちが成長する一番のタイミングです。ここが大事なところ。コーチの大切な仕事は、このような環境を子どもたちにつくることだと思います。いくら良いトレーニングを行っても、ケガをしてしまっては元も子もありませんからね。


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