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「ファイザー社のCovid-19ワクチンの子供への実験で2歳の赤ちゃんが死亡」? - その証拠はありません

こんにちは。

「デマは絶対に許さない!」でお馴染み?の「デマは絶対ダメマン」です。

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※ ダメ、絶対

昨日、Twitterで

こんなツイートを見かけました。

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※ スクリーンショットは6/11 15:00すぎ時点

また、しばらくして同じようなコチラのツイートも確認しました。

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※ スクリーンショットは6/11 15:00すぎ時点

上記の二つのツイートだけでも、現時点で「合計700リツイート」ほど拡散されていますが、この内容は「完全なデマ」であると、とっくの昔に判明しています。

それでは「5月9日に『USA TODAY』に掲載(その後10日に修正)された記事」を翻訳してご紹介いたします。

『USA TODAY』 より

主張:バージニア州の2歳の女の子が、臨床試験中にファイザー社のCOVID-19ワクチンを接種した後に死亡した。

製薬会社が思春期の青年や子供を対象にワクチンの有効性を検証する中、「バージニア州の2歳の女の子がファイザー・バイオンテック社のCOVID-19ワクチンを接種した後に死亡した」とする投稿がソーシャルメディア上で話題になっています。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、5月中旬までにファイザー社のワクチンを12歳から15歳の思春期向けに認可する予定ですが、生後6ヶ月から11歳の子供向けの研究はまだ進行中です。

この主張は、4月30日付の『Natural News』記事に端を発しており、5月1日にスクリーンショットとしてFacebookにシェアされ、"Two-year-old baby DIES during Pfizer's Covid-19 vaccine experiments on children "という見出しが付けられています。

記事によると、この子は2月25日にファイザー社のワクチンの2回目の投与を受け、3月1日に「何らかの深刻な副反応」を起こし、3月3日に死亡したとしています。また、報告書によると、彼女は2月14日から入院しており、"1回目の接種で病気になったのではないか? "と示唆されています。

この主張は、米国疾病管理予防センターとFDAのワクチン有害事象報告システム(VAERS)からのエントリーに完全に依存しており、誰もが未検証の報告を提出することが可能です。

USA TODAYへのメッセージの中で、このユーザーは『Natural News』を引用しました。この媒体は「Media Bias / Fact Check」によって、「いんちきレベルの疑似科学と陰謀論、および極右バイアスの促進に基づく疑わしい情報源」として評価されています。 『Natural News』は(私たちからの)「コメントの要求」を返しませんでした。

VAERSレポートは本物ではない
ファイザー社のワクチンを接種した後に2歳児が死亡したというVAERSレポートの原本はもはや存在しません。CDCの広報担当者であるKristen Nordlund氏は、「完全に作り物である」という理由でシステムから削除されたとメールで述べている。

CDCによると、VAERSは、米国で認可されたワクチンの安全性に問題がある可能性を検出するために、1990年に「National Childhood Vaccine Injury Act」を受けて設立された「早期警告システム」である。

しかし、データには限界があり、報告された死亡の原因がワクチンであったかどうかを判断するために、このシステムを利用することはできません。

「VAERSへの報告は、ワクチンが有害事象の原因となったことを意味するものではなく、有害事象がワクチン接種後しばらくしてから発生したことを意味します。報告書には、不完全、不正確、偶然、または検証不可能な情報が含まれている可能性があります」

また、VAERSの報告の大部分は自発的であるため、「データを科学的に使用する方法に特定の制限」をもたらす「バイアスの影響を受ける」と当局は付け加えています。

VAERSデータベースを悪用して、虚偽の報告書が提出された例があります。例えば、麻酔科医のJames Laidler氏は、「インフルエンザの予防接種で自分がインクレディブル・ハルクになった」と主張する報告書を提出したとViceが報じている。

報告書の不正確な点
「2歳児に関するVAERSエントリーが信用されていないこと」以外にも、オリジナルのレポートには不正確な点がありました。

(Natural Newsの)記事では、「2月25日に2回目の接種を受けた」とされていますが、ファイザー社のサイトによると、6カ月から11歳までの子どもを対象としたワクチンの臨床試験を開始したのは3月からです。

それらの試験の結果は、2021年の後半に期待されています。ファイザー社は、「2022年初頭までに、これらの若い子供たちへのワクチン接種の認可を受けたい」と述べている。

同様に、モデルナ社は3月中旬まで、12歳以下の子どもたちにCOVID-19ワクチンの初回投与を行っていない。

2020年12月14日から5月3日までの間に、VAERSはCOVID-19ワクチンを接種した人の死亡報告を4,178件受け取りました。しかしCDCは、報告に関連する医療記録、検死、死亡証明書のレビューにより、「COVID-19ワクチンとの因果関係は確立していない」としています。

我々の評価:虚偽

ファイザー社のCOVID-19ワクチンを接種した後に2歳の女の子が死亡したという主張は、我々の調査によれば「虚偽」です。CDCによると、この報告は 「完全にでっち上げ 」であるとしてVAERSデータベースから削除されたとのことです。VAERSは誰でも検証されていない報告を提出することができ、そのデータには不正確な情報が含まれている可能性があります。報告書によると、ファイザー社のワクチンが子供に投与されたとされる時期には、その年齢層での臨床試験は開始されていませんでした。また、CDCは、報告された患者の死亡とCOVID-19ワクチンとの間に相関関係は確認されていないとしています。

https://www.usatoday.com/story/news/factcheck/2021/05/09/fact-check-no-evidence-2-year-old-died-covid-vaccine/4971367001/ より

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※ FaceBookに投稿された『Natural News』の記事のスクリーンショット

まぁ、そういうわけで「この話は完全なるデマ」なわけですが、気になるのは「既にアメリカではファクトチェックされている話がなんで今頃になって日本で拡散されているのか?」です。

Qアノンブログの騙しの手口

最初にご紹介した二つのツイートとも、内容は「あるサイトの同じ記事」を紹介しているものでした。

それがコチラの記事になります。

この「NEWS Q PAPER」なるブログですが、「世界の真相を伝える」と謳いながら、内容としては「完全にQアノンの世界観を宣伝するもの」のようです。

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※ 画像はブログTOP画面のスクリーンショット

今回取り上げた記事の内容も、実際は「『Natural News』の記事を翻訳しただけのもの」なのですが、実にいやらしいことに「翻訳元の記事はどこなのか?」を表記していません。

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※ 画像は「NEWS Q PAPER」の当該記事のスクリーンショット

まとめ

ここで「アメリカでの噂話の発生」から「日本で拡散されようとしている現在」までを時系列順に振り返ってみたいと思います。

1. 4月30日付の『Natural News』という「有名なデマサイト」に記事が掲載される。

2. 5月1日には「FaceBookに『Natural News』の記事のスクリーンショットが掲載され」この話が広まる。
※ 『Natural News』は一部プラットフォームに「リンクを貼れない処置」を施されている。とされる。

3. 5月9日には『USA TODAY』にファクトチェック記事が掲載され「完全なるデマ」であるとされる。

4. 1ヶ月後の6月9日、すでにファクトチェックで「完全なるデマ」とされている話題を「NEWS Q PAPER」なるブログが「ソースも明かさず」に取り上げる。

5. 6月9〜11日現在、徐々にこの話題が拡散しようとしている。

こういう状態ですので、皆さんもどうぞこの話には御用心を!!!

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「赤ちゃんが可愛そう」という「あなたの優しい心」を利用しようとするデマです🙅‍♂️

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