【トンデモ歯゛スターズ】フロスは最強の自己投資?
Twitter上では「フロスは確実な自己投資」などとうたい、フロスの使用が推奨されていたことがありました。確かに歯間のプラークを取るためにはフロスを使用したほうが良いように思われますが、エビデンスに基づく見解ではその効果はどこまで明らかになっているのでしょうか?
本記事では「フロスは最強の自己投資?」について検証します。
(見出し画像:akina先生@nakixa)
気まぐれ的結論
参考としたエビデンス
気まぐれ個人的見解
フロスについては、2016年にAP通信が「フロスの予防効果に関してエビデンスはない」とした衝撃的な記事を発表し、話題になりました。
https://apnews.com/article/f7e66079d9ba4b4985d7af350619a9e3
実際、世界中に存在する質の高いとされる論文をまとめて統一した結果を示しているコクランライブラリーでは、フロスの効果について「根拠の質は弱い」としています。
本検証では、これを受けて声明を発表したEuropean Federation of Periodontologyの内容を含めて掲載しております。
歯科関係者がフロスの使用を推奨する際には、よく
と言われます。
確かに、歯ブラシの毛先は物理的に届かない箇所が存在するため、フロスを使用することでプラーク除去効果が上がると考えることは妥当です。
しかしながら、これは
のみ得られる効果であるという点を、必ず考慮する必要があります。
実際、サンスターでのフロスの使用方法の動画を見てみましょう。
適切なフロスの長さをとり、正しく指に巻き付け、適切に歯と歯の間に入れて、接する歯の4面にきれいにフロスを沿わせてプラークを取り、常にきれいな部分を使って、歯が28本あったとすると上下左右で26か所に同じように…。
一昔前のギャルが
といって一生友達でいるくらい無理ですね。よく分かりませんけど。
とにかく、完璧なフロスの使い方を毎日同じように続ければ非常に効果は高いと考えられますが、一般の方がこれを完璧に継続して続けるのは非常に困難ということです。何なら私もこんな完璧なフロスを毎日するなんでできません。
また、上記の記事や研究結果もこの背景が分かれば理解できます。
人を対象として実際にフロスを使ってもらい、虫歯や歯周病が減少したかを調べた調査に参加してくれた人々は、必ずしも全員が完璧なフロスができていたとは考えにくいです。もちろん調査前に使用方法を指導していたりはしますが、1日中調査者が張り付いてフロスの使用方法をチェックすることはできないので、「適切にフロスを使用していたか」を評価することは非常に難しいのです。
その結果、いざフロスの効果を見ようとしても、フロスをきちんと使えていた人と使えていなかった人の結果が入り混じってしまい、現在までの研究では明確な効果を認めることができないと考えられるのです。
したがって、フロスをきちんと正確に使える人にとっては非常に確実な自己投資と言えるかもしれません。
ただ、全体から見ればそのような人はごく一部であり、大半の方々にとってフロスを適切に使用することは大変難しいでしょう(フロスを使ったとしても、歯と歯の間にフロスを入れたらそのまま引き抜いて、隙間の食べかすが取れているだけで、本当に除去しなければならないプラークは取れていない可能性が高いです)。
そのため、ただ漫然と
などと発信することは、説明不足な発信と言わざるを得ません。
となりますよね。分かります。
まず、フロス等の歯間清掃用具を使う必要がある口腔内なのかを一度歯科医院で確認してもらう必要があります。
皆様お一人お一人で口腔内の状況は違いますので、画一的な指導はできないのです。
また、継続的に歯科医院に通うことでご自身のセルフケアの方法が適切に行えているのかを定期的にチェックしてもらう必要があります。
歯科医院では歯のお掃除(メンテナンス)をしてもらえますが、本当に大切なのは日々のご自身でのセルフケアです。年間で見れば、歯科医院で治療を受けている時間よりもご自身で歯を磨いている時間のほうが圧倒的に長いことは明らかです。そうなれば当然どちらの方が効果が大きいかはお分かりいただけると思います。
歯医者さんを受診することは時間もかかるし面倒なのは分かります。
しかし口腔ケアのスキルアップだと思って、一度受診してみてはいかがでしょうか?
また、本件についてはトンデモ歯゛スターズメンバーで、Twitter等でも歯科情報発信をされつつ一般記事も執筆されている中田先生(@DashNaka)の記事も大変参考になります。ぜひ一度お読みください。
修正履歴
2022/3/20:一部表現を修正
トンデモ歯゛スターズの活動は、基本的に全てボランティアで行っております。本活動を持続可能なシステムにしていきたいと考えておりますので、是非ご支援いただけると幸いです。