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【トンデモ歯゛スターズ】キシリトールは虫歯予防に効果抜群?

Twitter上で一部の歯科関係者が「効果絶大」「むし歯菌はバタンキュー」などとツイートしたことで話題になったキシリトール。CMでも目にする機会も多い虫歯予防に関わる製品の1つですが、エビデンスに基づく見解ではその効果はどこまで明らかになっているのでしょうか?

本記事では「キシリトールは虫歯予防に効果抜群?」について検証します。

(見出し画像:akina先生@nakixa)

気まぐれ的結論

キシリトールを摂取することによって虫歯が減少するかどうかは明らかになっていない。

参考としたエビデンス

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情報元
①コクランライブラリー:https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD010743.pub2/full/ja
②アメリカ小児歯科学会:https://www.aapd.org/research/oral-health-policies--recommendations/use-of-xylitol/
③アメリカ歯科医師会:https://jada.ada.org/article/S0002-8177(16)30336-1/fulltext

気まぐれ個人的見解

「え?キシリトールって虫歯に効果ないの?」と思われた方が多いかと思います。そう思われるのも当然でしょう。
CMでも

虫歯予防にはキシリトール!

ですし、フォロワー数が数万単位の歯科関係者のアカウントでも

むし歯菌はバタンキュー

というのを目にしていれば、キシリトールは効果抜群のように思えます。
しかしながら、現時点のエビデンスからはそのような事は言えません。

日本歯科医師会のページによれば、キシリトールの効果は大きく2つに分かれるとしています。

①唾液分泌の促進と再石灰化作用
②酸を作らないことと、歯垢中の酸の中和促進、ミュータンス菌の代謝の阻害

「え?こんなにちゃんと効果が示されているなら虫歯に効果抜群じゃん」と思いますよね?

しかし、各国の研究者が実際の人を対象とした行った質の高い研究をまとめたコクランライブラリーの結果では、キシリトールによる明確な予防効果は示されていません
また、この事象を理解するために、アメリカ小児歯科学会のコメントに着目してみます。

簡単に言えば、「ある条件下ではキシリトールを摂取している集団では虫歯は減っているが、この条件を現実世界で行うのは無理がある」ということです。

例えば、「1日12時間受験勉強すれば東大に受かる」という効果が確認されたとします。しかし、現実世界で12時間も受験勉強できる人はごく一部の人々です(ちなみに私はできません)。

つまり、「理想的な条件下で得られる結果と現実世界の条件下で得られる結果」は違うのです。これがefficacyとeffectivenessの違いになります。

実際、キシリトールで有名な某企業のホームページでは

「1回に2粒を5分噛み、1日7回を目安」

としています。

1回につき5分間で、1日7回ということは1日あたり35分間キシリトールガムを噛むことをずっと継続することでやっと効果が得られるかもしれないということです。

「食後とか暇な時にちょろっと噛もう」

程度では虫歯予防効果は得られません。

しっかり上記の条件で継続してキシリトールガムを噛めば効果は得られるかもしれません。そんなことを年単位で継続できればですけどね!

しかし、虫歯を起こさないキシリトールガムを嚙むことにより、唾液が分泌されること等が期待されるため、虫歯予防の補助的な製品として考えるべきでしょう。

トンデモ歯゛スターズの活動は、基本的に全てボランティアで行っております。本活動を持続可能なシステムにしていきたいと考えておりますので、是非ご支援いただけると幸いです。