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【番外編】『手を取り合える関係を目指して』〜歯科医院選びに悩まれる皆様へ〜

「良い歯医者を見つける唯一の方法」は本当か?とのご質問をコールセンターに頂きました。
※特定の記事に対する質問の様でしたが、歯゛スターズの活動は書いた方への批判が主旨ではありませんので引用などは控えます。

執筆:釣り好き歯科医先生@KpJIqrfpP7ZpnjK
チェック:2名以上のトンデモ歯゛スターズメンバー
(見出し画像:akina先生@nakixa)



トンデモ歯゛スターズ的結論

良い歯科医院を見分けるポイントは非常に難しく一般的な指標を示すことは不可能であるが、不誠実であると考えられる歯科医院はある程度見つけられる可能性がある。

背景

はい。トンバスの番外編担当?の釣り好き歯科医です。
受診する医療機関選びって本当に迷う訳ですよ。

初老の私は歳の割に色々な持病とお付き合い中。
受診する側は早く症状から解放されたいですし、元の健康な状態に戻りたいですよね。
若い頃と違い、だんだん原因がはっきりしないモノだったり、長いお付き合いが必要なモノだったり。
通院しても自分の思う身体の状態になかなかならないことも多々。
そこで他に良い所(医療機関)は?と調べてみるんですが、まあ調べてみても良く分からん。
検索ヒットするページを読んでも自分が何処を受診すれば良いかも悩む悩む。
医療を少しかじった私ですら、他科となるとまあ良く分からない訳ですよ。

歯科が私の専門分野だからと軽い気持ちで検索ヒットを確認すれば、専門分野でも良く分からん。スイマセン。

「最新ですげっす」
「皆様に愛されて〜」
「◯◯No1」

みたいな文言が並びます。
え?!何処が良いの?みんな凄い医院ばかり。歯科医師ってパーフェクト超人ばっかりなの?!
しまいには、〇〇県で調べてるのに検索上位をクリックしてみれば地方まで違う所に飛ばされて…。よし旅行だ!
ってまてまてと。

だったら良い歯科医院を見抜く指標出してよ!となるのは当然の流れであると思います。

考察

ネットを開いて色々見れば、探してもいないモノまで医療情報が溢れていますね。異常に白い歯のビフォーアフターみたいなモノから、フロスをすれば口の中以外の病気も防げますみたいなモノまで。

過去に歯゛スターズ記事で取り上げてますが今現在で歯科に関わるもので

「皆さんこれやりましょう」
「皆さんこの治療で◯◯治ります」

の様に単純に勧められるものは、正しいやり方のフッ化物の使用しかないんですよ。
※この『正しい』には誤解が有ったりしますが

こんなこと書いたらメンバーに怒られちゃいますがこれ大事ですよ!
    ↓

「2022.1現在 これが皆さんにも(須く)薦められます!は、フッ化物しかない!」

だから医学的にこの治療や予防法どうなの?って聞かれても

「〇〇はお薦めできます」

なんて記事は、(なかなか)歯゛スターズからは出ませんよ。

記事の結論には

「今のところ推奨は出来ない」
「エビデンスは少ないように感じられた」
「今後に期待したい」
「一定の条件下では〜」
「不明である」

なんてビミョーな言葉が並びますよ。
こんな身も蓋もないこと書いてメンバーの皆さんスイマセン。
※専門職には上記の正確な把握は必要

だから単純に、〇〇してるこの歯医者さんは大丈夫って言えるものは無いんです。

ただ、一つ誤解をして欲しくないのは、

「え!?じゃあ治療全般的にエビデンス強くないし日頃ダメな治療を受けているって事?」

ではありません。

そのうち誰かメンバーがエビデンスについて書いてくれると思いますが…。

「万人に多く当てはまる」

というものがエビデンスが強いものとなります。
※便宜上簡単に話してますから、正確ではないですよ!

むし歯一つ取ってみても、個々の状態や状況、背景が違います。
その中で選択される治療は様々です。
それは、術者の技術や患者さんの習慣、生活、理解、環境、今後の見通しなどその他諸々で選択されるんですね。

え!?歯科医師は本当にそうしてるか?って?
当然。言葉や表面に現れなくても色んな事を考えて貴方に合わせたオーダーメイドの治療や指導をしています。
歯科治療や予防指導にマニュアルなんてありません!

全ての口のお困りごとは、同じモノの様に本人には感じられていても、実は歯科医師は細かく個々や状況、状態などに合わせています。
画一的には出来ません。

もちろん、歯科医院毎に得意な治療法や分野が書いてあったりしますから、それを参考に選ぶことも良いかもしれません。
しかし、それが貴方にとって良いか?だけではなく、今の貴方の状況や状態に適しているかを自分で判断することも極めて困難です。
写真を見て分かるケースもありますが、我々専門家が見ても分からないモノもあります。
だから一般の方が見抜くのは難しい。
そして写真では確かに素晴らしい治療と思えても、その中で読み取れる範囲で長期予後まで予想することは歯科医師でも難しいです。

さて、治療法等と同様に目にする最新や精密を謳う器具のお話。マイクロ(手術用顕微鏡)、レーザー、光学印象(カメラで撮影する歯の型取り)、CTその他の機材達。
これどうなの?

キャプチャ

※画像データは釣り好き本人

キャプチャ2

マイクロ(手術用顕微鏡)

突然ですが、私は料理が好きなんです。特に包丁。家庭用の物から数十万の物も売られています。特に使われる鋼材は最新の技術の凄い物も有ります。
で。買っちゃいました。鋼材がZDP189!どうです?凄いでしょ?自慢しちゃいます!

「凄い包丁使っても蘊蓄がどうとか最新がどうとか言っても貴方の料理美味しいの?」

そう思いませんでしたか?


料理は治療に似ている側面があると感じています。
素材の取り扱いから、正しい工程の積み重ね。多くの要因が重なり美味しくなります。その中で包丁が素晴らしいものであれば良い料理が出来上がる可能性は確かにあります。
しかし、いかに素晴らしい包丁でも使いこなせなければ酷いものですし、正しく使用してもその他の工程に不備が有れば酷い料理になる可能性があります。

逆に普通の包丁であっても正しく使用して、その後の工程も正しく行われれば美味しい料理は出来上がる可能性も十分にあります。
つまり包丁は料理を構成する一つの要因に過ぎないわけですね。
※説明の便宜上ですので料理のプロの方申し訳ございません

今現在、歯科の多くの治療では、その後を左右する様な大きな要因になり得る器具や方法はないと言っても過言ではありません。よっぽど酷い治療は除きますが。

正しく使用されれば良い効果を発揮する可能性はありますがその程度であるとも捉える事が出来ます。
つまり機材一つでも良し悪しは決められないんですね。

ここまで書いてみて思いましたがフッ化物って凄いですよね。皆さんに自信を持って勧められるんですから。逆に言えばフッ化物を否定する歯医者さんは…ゴホンゴホン。

失礼しました。話が外れました。

「じゃあどうしたら良いのよ釣り好きさん。アンタ。そんな選ぶために良い指標なんてないですよって突き放してお終いですか!?」

そうですね。
一つ私がお伝えするとすれば、

「不誠実であること」

は分かる可能性があります。

自分の身体を預ける人は誠実な人が良いですよね。
私は医療機関選びは伴侶選びに似ていると感じています。
巷に溢れる伴侶選び指南は、やはり全ての人に当てはまりません。 
個人個人で相性も変わります。
全く参考にはならない訳ではないけれど鵜呑みには出来ないな…くらいのものですよね。
貴方の人生を共にする伴侶を選ぶ時には慎重に良く考えて選びますね。

医療機関も同じです。

我々医療機関は貴方を支える人生の伴侶です。お選び頂いたからには誠心誠意努めます!
基本はこれですよね。

治療は残念ながら100%患者さんの思っていた通りになるとは限りません。
トラブルになる可能性も0ではありません。

そのような時に出てくるのが人間性。
出来れば誠実な方とお付き合いしたいですね。
誠実さは、耳障りの良い言葉を並べたり優しい対応や親切さとはイコールではありませんね。
真の誠実さや優しさ等人間性は良く観察して付き合ってみるしかないですね。
もちろん「誠実」=「良い治療」とは限りませんし表に出ている情報だけでは誠実さは分かりません。
しかし、「不誠実」である事が分かる可能性をお伝えしたい。せめて不誠実である医院は避けたいですよね。

すいません。話が外れました。
不誠実な目安を書きます。
今現在、医療機関には情報発信など、ホームページの中身について厳しいルールがあります。これに違反をしている場合は、不誠実である可能性があります。
ルールを破ってる訳ですから。

厚労省から令和6年に医療広告規制の事例解説書が出されています。
こちらに具体例が書いてありますので参考にしてみて下さい。

https://www.mhlw.go.jp/content/001153604.pdf

以下は事例解説書の目次です。これらについて具体例を元に分かりやすく書いています。是非お読みください。

キャプチャ

以下の様に目次にある項目毎に分かりやすく書いてあります。

キャプチャ

終わりに

私の持論に過ぎませんが、恐らく大多数の患者さんにとって医療機関のホームページ等に求める情報は診療時間、休日や場所、予約方法、アクセスや駐車場の有無程度でしょう。

それ以上を求める方は、困り事が強くある方ではないかと感じています。
中には藁をも掴む気持ちの方もいる事でしょう。
その様な方々に対して我々歯科医療従事者は正しい情報を発信しているか?患者利益に繋がる情報発信か?我々の利益を優先している発信になっていないか?良く考える必要があるでしょう。
受診する側が「良い歯科医院をみつける方法」を求めてしまう現状にこそ問題があると感じています。

我々歯科医療従事者の出来ることは何か?
考え続けたいですね。


貴方の信頼できる伴侶(医療機関)選びの一助に成れば幸いです。


【変更履歴】
・2024/04/11:医療広告規制の事例解説書のリンク切れを修正

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トンデモ歯゛スターズ〜歯科の迷信を退治します〜
トンデモ歯゛スターズの活動は、基本的に全てボランティアで行っております。本活動を持続可能なシステムにしていきたいと考えておりますので、是非ご支援いただけると幸いです。