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一般人()のパワーメーター活用方法

トレーニングにおけるパワーメーター

さてここまでは一般人の使い方を説明してきた。
もっとフィットネスに関心がある人はトレーニングにおけるパワーメーター活用法を考えるだろう。その場合にはバイブルと呼ばれている本がある。

私は読んだことはないのだが、読んだ人はみな絶賛しているようなのでこちらを一読いただいた方が私のようなパンピーが何かを述べるよりもよっぽど有用なことが書いてあると思われる。

私が理解している方向性として、「パワーの総出力」「パワーの最大値」の二つを伸ばすべし、がある。
前者においては一日における運動量の最大値、後者はその瞬間に出せるピークパワーの絶対値のことなのだが、簡単に言えば前者が多い方が遠くまでゆけるし、後者の数値が高いとスプリントが早くなる。
グラフでいえば x 軸が横、y 軸が縦といえるだろうか。
概念的に考える式にすると y = P/x の形になるだろう。( P = yx) 

パワーウェイトレシオとFTP

時々、ローディが「○倍」という言い方をしているのを見聞きしたことがないだろうか。これは自動車の世界でも使われる、パワーウェイトレシオ(PWR)のことだ。

Garmin Edge 840 などのサイコンでも現在のPWRを表示する項目が作れるくらい、一般的な指標ではあるようだ。

私のようにWEB業界に生きている人間だとFTPと言われると File Transfer Protocol ですか? と言いたくなるのだが、自転車の指標に限って言えばFunction Threshold Power(機能的作業閾値パワー)のほうだ。日本語でも英語でもピンときにくいが、ものすごく端折って言えば「一時間で出し続けることができる出力の平均値」である。
あなたが後先考えずに全力で一時間走れるパワー、と言ってもいいかもしれない。

富士ヒルでタイムを目指す時に、FTPのパワーがPWRで考えるとどれくらいの数字か、という数字が出ることがある。
例えばブロンズだとFTPのPWRが3.1だと90分ペースで走れる、という具合に。
具体的には体重70kgの場合、PWR3.1倍ということは FTP が220w程度欲しい、ということでしょう。

でもそんなの(ロングライドには)関係ねえ!

さて、一般人には富士ヒルや絶対的なPWRの倍数などどうでも良いのである。
これまた一般論ではあるが、常人のFTPは2倍程度と言われている。なのでポタリングをしたい人は指標として1.5倍程度、体重65kgくらいの男性ならば100Wくらいのパワーで平地巡行をすれば午前中から夕方手前くらいまで、一時間に一回の休憩を挟みながらダラダラとライドができるだろう、という大雑把な見積もりができる。
ロングライドにある程度慣れてきた、という人なら2倍で平地巡行ができると仮定し、140Wくらいまでのパワーで足を回せると100kmも余裕でできるようになっていると思われる。

先日、日本縦断のギネス記録を作った篠さんもPWR的には2倍程度であったと聞いた。体が仕上がっている人でもロングライドの距離にもよるが、やはりこのくらいの数字で走り続けるのが距離を伸ばすコツなのだろう。

私自身はブルベをやるわけでもないので一日の最長距離は200km程度がMaxなのだが、それでも巡行中は2倍程度で走っていたので納得感のある数字である。
ただ上り坂になると3倍くらい気が付けば出てしまうので、それをうまいこと抑えながら走れないと脚がもたなくなるので気をつけねば…と思ってはいる。

でもやっぱり体力の最大値は伸ばしたい

当然ながら、ダラダラはしるだけではなく体力の向上を目的にロードバイクに乗っている人も多いと思うので、考え方をもう一つ軸として持つべきだろう。それは、ロングライドやレースは「本番」であり、別のタイミングで「練習」しなければフィジカルは向上しない、ということだ。

では練習とはどのように行うべきか。

環境が整えられる人は家の中でローラーやエアロバイクを回すのもよし、通勤で自転車を使っている人はなんとなくで漕ぐのではなくケイデンスやトルク、ペダリングなど毎日の習慣に何かしらの課題意識を持ち込むことで体の使い方に日々刺激を与えるもよし、ジムにいって体を鍛えるもよし、一駅分早足で歩くもよし、とにかく体を動かす習慣を維持することだ。

時々の週末だけロードバイクにのって普段は何もしていない、が一番よくない。運動習慣がない人が突然がんばると怪我のリスクが上がるうえに突発的な病気発症のリスクまで背負い込むことになる。

当たり前だが「練習」でできないことは「本番」ではできない。たまたま100kmを走れたとしても、それは今までの体力の貯金を使っているだけだからだ。伸びはしない。

例えばロングライド系のグランフォンドを含めたイベントにでたい、と思った場合に100kmのイベントなら150kmくらいは走り切ってグッタリとはならない程度の体力脚力は欲しい。それくらいの余裕がないと本番時に楽しんで最初から最後まで走るということができないからだ。
ならばどうするかと言えば、週末ロングライドが練習になるのなら、練習として課題を意識してのるしかない、ということになる。

しまなみ海道は片道約70kmくらいあるわけだが、私の場合は片道で休憩一回、三時間以内、PWR3倍で走ることを意識している。
逆に単純なライドでいろんな人と走ったり食事や店を探索で走る時はパワーなど見ることは殆どない。

つまり、練習時はパワーを見る時に必要なパワーを下回っていないか(維持できるか)、本番のライドイベントなどならオーバーペースになっていないか(超えていないか)を見る。
レースでは現在出している出力なら維持できる秒数を大まかに想像しながら走ることができる。

一般人にとっては練習でパワーメーターはあると便利、ではあるが必須ではない。
ただ己の傾向や脚質を炙り出す指標になりうるので、タイヤを1本乗り潰すくらいの距離を走れば十分に威力がわかるようになるだろう。

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