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初心者が50km以上の距離を乗るために

最初の鬼門50km

ロードバイクも含めてスポーツバイクを買って最初に目標になってくることといえば、ロングライドだろう。実際のところ午前から夕方までの時間をかけてサイクリングというのは、普段から運動習慣がある人でも長時間ゆえに体が慣れていない。
そのため色々問題が出てくるのだが、その辺りの諸々で弾かれる壁が50kmという距離になってくる。

ママチャリでも10kmは走ろうと思えば走れるが、走りたいかと言われるとそうでもない。しかしロードバイクに乗り慣れていると4〜5kmくらいの距離ではウォーミングアップにもならない。
物理的な距離だけで語るのはそれくらい無意味なほど機材差は大きく、それゆえ一般の自転車に慣れていない人にとっては異次元に感じる距離が50kmという単位だ。
だいたい車やバイクに乗って移動していても結構な時間がかかる距離、それが50kmなのだ。

スポーツ自転車に乗っていれば 50km は難しくない

そもそも平均時速15km程度で走りながら、と考えれば4時間に満たない。すると自転車上でペダルを漕ぐ時間は午前2時間、午後2時間と考えれば休憩を入れても9時出発15時ゴールで十分達成が見える数字と言える。30分ごとに10分休憩+昼食1時間を入れても達成可能だ。

それゆえ自転車に一時間以上乗る行為そのものを突破できるかが本当の最初の壁になる。

  1. 臀部の痛み

  2. 補給の無理解に起因する疲労

  3. 同一姿勢を取り続ける筋疲労

ざっくり上げるとこの三つが問題になる


お尻の痛み

いわゆるママチャリは全体重をお尻で受け止める体制で自転車に乗っている。ゆえに上体は垂直気味であり、ハンドルは手をそえているだけ、という乗車姿勢に慣れてしまっていると、ロードバイクに乗り替わっても無意識に臀部で体重を支えることが多くなる。
しかしロードバイクはご存知のように、シートは軽さやペダリングの妨げにならないような形状が優先され、快適性のプライオリティは一番ではない。
そうなると当然ながらどうしても「お尻が痛いヨォ・・」と泣きを見る羽目になってしまう。

散々Youtuber やブロガーをはじめとするインフルエンサー達は自分の骨格に合ったサドルを探せ、と言っている。間違ってはいないのだが、そこには隠された前提がある。

まずは3点で体重を支える技術を学べ、ということだ。

具体的にはサドル、ペダル、ハンドルの三つのルだ。
手とお尻と足の3箇所が自転車に触れているわけだが、その全てで負荷を分散せよ、ということでもある。
そしてこれは一朝一夕では身につかない。自転車の上で過ごす時間の長さに比例していると言ってもよい。
なぜなら足で体重を分散する、というのはペダリングで脚(足ではなく脚)の重量をペダルを踏む力に変換することでもあり、ひいてはペダリング技術に行き着く。
ペダリングの上手い下手について初心者を論じられるわけもなく、結局脱初心者と言える頃には自然とある程度は身についているし、その頃でもまだお尻が痛いヨォと言っているならサドルを変えてみるか、という話になってくるだけのことだ。

それよりはポジションをプロにチェックしてもらって乗車姿勢自体をまずは作ってもらうほうが費用対効果は高いだろう。

栄養にも詳しくなってくる補給

いずれ違うタイミングで補給については詳細に言及したいと思うが、ここではさわりだけに留めておく。
人間は長時間運動し続けることができるのは、体内に蓄積されているエネルギー要素的に2時間前後が限界と言われている。つまりそれを使い切ってしまう症状のことを「ハンガーノック」と言い、それを避けるために適切な補給をしていくことが必要になる。

かくいう私も補給の概念がなく、水分のみ枯渇しないように走っていたことがあり、30kmを超えて無補給で走っていると猛烈に空腹感を覚え、それを我慢していると今度は手足がまともに動かなくなる感覚に襲われるほどの飢餓感に襲われたことがある。
その時は帰宅途中で近隣のコンビニに飛び込んで羊羹とアイスクリームを食べて事なきを得たのだが、ハンガーノックは極めて危険な状況になりうるので避けなければならない。

そのために1時間に一度は休憩を取り、そのタイミングで甘いものを摂取するというのは極めて大切になる。
何故甘い物か、というと運動中に消費されるエネルギー源とはグリコーゲンであり、グリコーゲンは糖質そのものからできているからだ。
つまり補給すべきは糖分なので、カロリー量もさることながら成分を気を付けて口にするものを選ぶ必要がある。何でもかんでも食べればよい、というものではないことに注意しよう。

調子にのってくれぐれも2時間ぶっつけで走り続けるような乗り方より、1時間に1回程度の休憩を挟む方が最終的な体の負担は減っている可能性が高い。そして疲労度=消費カロリーではないので、同じカロリーを消費するなら疲労感が残りにくい走り方で終わらせるようにしよう。

同一姿勢を取り続ける筋疲労

当たり前だが同じ姿勢を取り続けると、どこかの筋肉は常に収縮して緊張している状態を強いられる。それが起こらないのは横になっているときくらいだろうが、それでも床ずれは起こるので、人間は基本的に同一姿勢を取り続けることが出来ない生き物なのである。

しかし自転車に乗っていると、長ければ数時間同じ姿勢をキープして運動を行うことになる。
脚は当然ながら円運動しているので、踏んだり引いたりの使うが故の疲労は当然あるのだが、上半身は姿勢維持の微弱ながらも緊張し続ける筋肉、という部位がある。
それは腕だったり、体重を支えることで負担がくる肩であったり、体幹や腰だったりもする。

それゆえハンドル位置を常にブラケットに置いておくというのは推奨できない。クロスバイクはどうしても違うポジションはとれないし、ハンドルもフラットバーなので中心と端を持つ以外はできないのだが、ロードバイクだと上ハン下ハンと呼ばれるように色々持ち手を変えることが出来る。
呼吸しやすいしにくい、足が回りやすいにくいなどの違いも当然出てくるのだが、最終的なロングライドのためには同一姿勢を取り続けるのは初心者のうちは難しいため、いろんなところを数分おきに持つ習慣をつけるとよいだろう。とっさにハンドルを持ちかえる練習にもなる。

腰の痛みというのはパワーを一定時間、強めに出すと起きやすいが、長時間のペダリングでも起こることがある。
これは結局のところ筋肉を使ってパワーを短時間にせよ長時間にせよ出した結果なので、その辺りが現在のフィジカルにおける限界点であると理解して、限界値を伸ばすトレーニングに目を向けるほうがよいだろう。
姿勢の悪さで起こることもあるが、自転車に乗っていての腰痛は通常、腰回りの筋肉を使いすぎた疲労から起こる。


以上を踏まえて

休憩を適切にとり、補給をさぼらず、姿勢(ポジショニング)を気を付けていればトータルで数時間、自転車の上で過ごすことが出来るようになる。
最初のうちは2時間程度、慣れてくれば4時間程度を自転車上にいる時間にして行程を考えるのをお勧めする。
そして無理をすると集中力の欠如が怪我や落車、交通事故の原因になるので、疲労感を感じたら引き返したり止まったりする勇気も大切だ。

まずは自転車上で過ごせる時間を延ばすことを目標にしてもらえると、自然とペダリングも向上するだろうし、平均速度も上がるだろうし、体力そのものが向上するので、どんどんとトータルで走れる距離が伸びてゆくだろう。

頭打ちを感じるタイミングは出てくるかもしれないが、そのころには100kmくらいを楽に走れるようになっている可能性が極めて高い。

100kmを超えてゆく壁については、また改めて別の記事にて。



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