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夢の推しは現実でも夢だった④ 〜2ショット会大阪一部編〜

レポシリーズも後半に突入。ぶっちゃけ2ショ会については鮮度重視の感想スレッドをツイッターという大海原に垂れ流したので書く必要はあるのか迷ったが、やはり記憶するためにも記録したいと思う。

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私は今まで2ショ会や握手会みたいなアーティストと身近で会える所謂「接触イベント」に参加した経験がない。だから当選を知らせるメールでスマホが連続で鳴り響いた時には、「やべー、今生の運を使い果たしちゃったな!」とこそは思ったが、至って冷静だった。数日後に最推しに、それこそ目と鼻の距離で会えるということが人生を変えるような経験になるとは知る由もなかった

2ショ会当日でさえも実感が湧かないまま、私は檸檬ちゃんとちゃっかり大阪を満喫していた。ホテルから歩いて行ける距離だったので、大阪城に足を運びバカみたいにうまいソフトクリームを食べてから、ボランティアのおじさんが一生懸命大阪城の歴史について事細かに説明してくれるのに耳を傾けていた。クレーンという概念すら時代に、5.5メートルもあるクソデカ岩を海で運び、陸では丸太を使って移動させたという先人の知恵に関心しながら、私たちは大阪城を後にした。

大阪城と最推し、ちょっとシュール

大阪城から駅に向かう信号待ちの時だった。突然雷に打たれたみたいに、事の重大さを理解しはじめた。

「え、私今からムンビョルさんと会うの?やばくない?」
「そうだよ〜!!〇〇ちゃん、どんだけラッキーなんだよ〜〜!!」
「そ、そうだよね!!すごいことだわ!!」

遅い。でもそんなものなのだ。なんせ経験したことがないから、寧ろ二時間前くらいになってやっと実感が伴ってくるのだ。少なくとも私の場合は。

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2ショ会が終了した足で帰京予定だったので、うちわやらグッズやらムボンといった財宝が詰まったカバンをイベント会場の最寄り駅のロッカーにぶち込む。この時点からはソワソワしていて、滲む汗がかんかん照りの太陽のせいか、自分の緊張のせいか、もしくは両方なのか分からなかった。

今回のイベント会場オービックホールに着いたのは、指定された時間のぴったし一時間前。場内はどんな感じなのか下見しておこうと思って、エスカレーターを上がるとなんとすでに列ができているではないか。本当は下の階にあるドトールでコーヒーでも飲んで休憩して心身ともに落ち着かせたかったが、慌てて檸檬ちゃんと列に並ぶことにした。

列に並んでいる時に、昨日コンサートホールでお会いできなかったSさんにご挨拶にも伺った。実際に初めてお会いするSさんはとても気さくで魅力たっぷりで私の片思いは更に加速した。Sさんのお友達のムムさんともお話しすることができて、「こんなに幸せでいいのだろうか」とイベントが始まる前から心が満たされた。

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「2ショットに参加される方はこちらにお願いしまーす」

バイバイ会に参加するために当日CDを購入する列に並んでいたが、スタッフさんからの合図で2ショット会の参加列に移動。順番に一人ずつ呼ばれて、アルコール消毒をした後に身分証明書をスタッフさんに見せての本人確認が行われる。絶対問題ないはずなのに「ここで弾かれたどうしよう」と、心配性な性格のせいで無駄に心悸亢進を呼び起こす。

「はい、大丈夫です。中に進んでください」と言われ、イベントが行われる小ホールの中に入る。

近っ。こんな近くにムンビョルさんが来ちゃうの?え?いいの?合法だよね?この壇上に上がって一緒に撮るってことだよね?隣に立つの?え?合法だよね?

私は完全にパニック!アット・ザ・ディスコならぬパニック!アット・ザ・オービックホール状態に陥ってしまった。全員が本人確認を済ませてムンビョルさんが登場するまでに20分近くあったが、もう頭は真っ白で気が気ではなくなった。

間もなく2ショ会が始まる。雰囲気がどことなくムンビョルにも似ていたスタッフオンニが注意事項をアナウンスする。しかしその声は惜しくも爆音で流れ続けるムンビョルヒット曲パレードのBGMによってかき消されていた。聞こえん、何も、聞こえないよぉっ…!

状況を察したのか、声が大きめのスタッフオッパが撮影・録音禁止の旨と、ポーズについて説明した。「えー、今回の撮影では大きいハートか、小さいハートどちらかのポーズを選んでスタッフにお伝えください」と、放たれたパワーワードにざわつく我々参加者たち。

実の所、私はかの有名なオタクがハートを作って推しがそれをガン無視でグーしてるポーズをお願いできないか、密かに期待していたのだ。しかし、よく考えたら2ショ会の後にバイバイ会もあるしいちいちリクエストに応えていたらキリが無いだろうから、ポーズの指定は納得がいくものだった。

「おっきいハートかちっさいハート…」という突然現れた究極の二択で混乱していたら、その時が来た。

ムンビョルさんの登場です。拍手でお願いします

ムンビョルが、夢にまで見た문별이が、ピョコンっと階段を駆け上がって、壇上に現れた。ほんの数メートル先に。自然と溢れる「かわいい〜」コールにちょっと照れ気味なムンビョル。お顔が豆粒くらいしかなくて、お肌が雪のように白いムンビョルは発光していた。お召し物の白のセットアップより白かった。サラサラ黒髪とのコントラスが美しすぎて、とにかく眩しかった。「見惚れる」とはこういう時に使うんだと初めて言葉の本当の意味を理解した。私はただただ目の前に現れた推しから目が離せなくなった。

先程のアナウンスで会話などの行為は禁止と言われていたから、私は愚直にそれを信じていた。写真を撮ったら秒で終わるんだなと想定していたから眼前で繰り広げられる「大出血スーパーファンサの嵐」という現実への理解が追いつかず、放心してしまった。

ムンビョルは、スタッフさんが一生懸命用意したソーシャルディスタンスを鑑みた場ミリなどお構いなしで、0距離までムムに近づき、一人ひとりの目をしっかり見て会話していた。アクリル板はあったが、ファンが用意したうちわやトレカをしっかり受け取りそれらを持って撮影してくれた後に、最後までしっかり目を見て「アンニョン〜」とお見送りをしていた。私は混乱した。そんな優しいこと、あるの?

いよいよ自分の順番だった。スタッフさんが画面収録やカメラ以外アプリを起動していないかチェックする。壇上の先に、3mもない距離に最推しがいる。じっとこちらを見ている。ムンビョルが、菩薩のような笑顔でこちらを見ている。ムンビョルと目が合った瞬間、最悪のことが起きた。私の目からは涙が溢れていた。

絶対に泣きたくなかった。この3年間、毎日毎日ムンビョルのことばかり考えて過ごしてきた。楽しい日も苦しい日も、誰と一緒にいようがいなかろうが、ムンビョルのことが頭を離れたことは片時もなかった。推しが見たくて韓国にも行ったしドイツにも行ったし、いっぱい準備してヨントンにも参加したし、ファンレターもたくさん書いてきたけど、所詮向こうからしたら私は数いるファンの内のひとりで、ただの知らないオタクだ。

そこら辺はわきまえてつもりだった。見知らぬファンにいきなり泣かれたら困るだろうし何より不愉快なはずだ。そんな気分を味わってほしくなかった。だから絶対に泣きたくなかった。でも、無理だった。その瞬間初めて、ムンビョルの中に一ファンとして自分が「存在」したという事実は言葉に言い尽くし難く、代わりに涙が出てきてしまった

必死に涙を止めようとする。するとムンビョルは「울지마〜(泣かないで)」と、眉が下がりながら優しく話しかけてくれた。ありがたいのと申し訳ないの気持ちで余計に涙が止まらない。

そして、もうあの時は頭が真っ白というかトランス状態だったから、きっと幻覚だと思うけど、肩辺りをさすられているような感触がした。もう一度強調するが、都合の良い幻覚の可能性の方が遥かに高い。

小さいハートですか?大きいハートですか?」と言う、スタッフオンニの鶴の一声。このおかげで私は現実に戻って来れた。ありがとうございます。震えながら、私はなんとかちっちゃいハートを作ることができた。

ギリギリまで近づいて撮ってくれるムンビョル、天使

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撮影が終わり、私はフラフラになりながら壇上を降りた。自分の撮影が終わった後も全員分が終わるまで中で待機できるという神システムにより、すでに先に撮影を終えたムムさんたちの列ができていた。

まだズビズビしていたらお隣のアジアムムの方にまで「泣かないで~気持ちはわかるよ~」と肩をさすられて、慰められてしまった。その後Sさんにも「やっと会えてよかったね!」とありがたすぎるお言葉をいただき、優しさに包まれた私はいっぺん蒸発した。

この間にもムンビョルのスーパーファンサは止まっていなかった。時には屈んでまでムムの声を聴こうとしていたし、ずーーーっと笑顔を絶やさなくてこんな完璧な「アイドル」をこなす人間がいるんだと、やっぱり私はウルウルするのだった

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夢のような人生初2ショ会を終え、私の魂は完全に抜けていたが、この直ぐ後に行われるバイバイ会にも参加予定だったので魂を呼び戻した。

バイバイ会って何ぞや?という方に簡単にご説明すると、当日その場でCDを購入すればその名の通り、数秒間ムンビョルに向かってバイバイすることができる(不思議な)イベントだ。ちなみにCDを購入した枚数分引換券が貰えて、その分バイバイできる回数が増えるので、より多くの時間を過ごしたい場合はより多くのCDを買わなければいけない実に恐ろしいシステムだ

一緒に昨日のコンサートも見てくれた上に、バイバイ回にも参加してくれたリアルチングの檸檬ちゃんに合流。檸檬ちゃんはすでに一周目を終えていて、いつもキラキラしているのだが更に目がキラキラしてて、「ムンビョルは天使だった!」と興奮していた。彼女は生粋のシズニ(NCT127ファンの呼称)ではあるがムムではない。そんな彼女がムンビョルのファンサに甚く感動して、褒めちぎっているのはとても嬉しかった。

サービスの鬼と書いてムンビョルと読むのは本当で、バイバイ会でも流れ作業みたいな感じは微塵を感じられなかった。みんなが書いてきたメッセージを読み上げ、ひとりひとりとバッチリアイコンタクトしてるし、リクエストされたポーズは全部やってあげていた。もはやバイバイ会とは名前だけだった。

私の順番になり、バイバーイと手を振ろうとした瞬間、「もう泣かないでね」と目の下に手を当てて泣くジェスチャー付きでバイバイされた。反射神経で「す、すみません…コマウォ…」と謝罪をし礼を申し上げた。本当に自分が情けなかった。筋肉は鍛えれるのに涙腺はコントロールできないなんて、惨めだった。

「次こそは、次こそは笑顔で参加する…!」と、強靭なメンタルを装着した。

(読んでくれてありがとう!次は2ショ会の大阪2部編と東京に向けての準備編について書きます)

※8/31 修正。撮影OKタイムは二部の後でしたので当該箇所は削除して次の記事に載せました。

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