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ヴォーギングはK-popの夢を見るか?

大変なことが起きた。

とりま、この映像を見てほしい。

この記事はまだこの映像を見ていないあなたに、この映像を見せるためだけに書いているので、もうこれを見てくれたらオッケー。完。

この映像を見てくれて何かを感じ取ったらもうそれであなたも、私も、ソラさんもみんな勝ちで八方良しなんだけど、「いや〜見る価値あんの?」って疑っちゃう人もいるだろうし、何かのご縁でいきなりこのブログにたどり着いたけど、このファビュラスでゴージャスなDIVAことソラさんが如何にすんごい人物なのかを全く知らない人もいると思うので、つらつらと語らせていただきます。カジャッ!

まず、MVについて。開始10数秒から即アゲなビートとクィアネ満載な雰囲気が漂っている。そして、メイクアップをするソラさんのすぐ隣にはドラァグクィーンと思われる人物が立っている。次のシーンでは、より明確に、もう一人のドラァグクイーンが舞台裏の鏡の前で更に女性性を際立たせるかのように真っ赤なリップを塗っている様子が映される。この時点ですんごいことなのだ。

だって日々K-popアイドルのグループが競うようにMVを世に放っているのに、そこにクィアネスを感じられるどころか全面に押し出した映像って見たことあるだろうか。もちろんすでにいくつかあるにはあるんだけど、総量に対してその数は圧倒的に少ない。だから、クィアネスの表現が不足している中で、クィアネスをテーマのど真ん中においてるぞというのが開始数秒で分かるだけですごいことなのだ。

更にキャストにも注目してほしい。

ソラさんと一緒にキレッキレのヴォーギングを披露しているこのファビュラスなパフォーマーたちは、Love Ran氏率いる韓国最大のKiki Houseである「House of Love」のメンバーたちだ。ここで差し出がましいかもしれないが、なかなか「House of Love」についての情報を日本語で見つけられなかったので、少し歴史的な話になるがそもそもヴォーギングやハウスとは何なのかについてから簡単に説明する。

ヴォーギングは、ボールルームカルチャーの出現とともに1980年代にニューヨークの黒人やラテン系のLGBTQ+コミュニティで生まれたダンススタイルだ。元々はモデルやディスコのダンスムーブを真似するところから始まり、徐々に自己表現や競技性を取り入れることで、独自のスタイルが確立された。

そして、ボールルームカルチャーの特徴とは、ハウスを中心に展開される点だ。ハウスとはLGBTQ+コミュニティ内で形成される家族のことで、しばしば社会や家族から拒絶された人々で構成される。これらのハウスのリーダーは、母性的(その場合はマザーと呼ばれる)、あるいは父性的な存在として、メンバーに色々なサポートを提供する。ハウスはリーダーによって命名され、それがメンバー全員の姓となる。

またThe Ballsと呼ばれる大会では、さまざまなハウスが一堂に会し、衣装や大胆さ、パフォーマンス技術、特にヴォーギングを披露し、さまざまなカテゴリーで競い合うといった特徴がある。

これらのLGBTQ+コミュニティ発祥のカルチャーは世界中に広がっており、韓国も例外ではない。今回ソラさんと一緒にパフォーマンスし、振り付けも担当した「House of Love」は韓国のヴォーギングの先駆者と呼ばれるLove Ran氏がマザー(ハウスのリーダー)を務め、チルドレンと呼ばれる27人のメンバーは私生活においても共同生活を続けながら、韓国のヴォーギング・シーンの発展を担ってきた。

つまり、今回ソラさんの「Colors」の振り付けを担当したのは正真正銘のヴォーギング先駆者たちであり、意識的なのか無意識的なのかを分からないが、とにかく正しい「リプレゼンデーション」を行なったソラさんはすごいなと思わざるを得ない。

また、全編フルッフルでヴォーギングを取り入れたK-popの振り付けはソラさんの「Colors」が史上初のようだ。すっっご〜〜〜〜いね!!!!!!

(Love Ran氏は以前にもWeki Mekiやチョンハさんの振り付けを担当し、ヴォーギングやワッキングの要素を取り入れているし、他にもそのような振り付けはK-popにはごまんとあるが全編は今までなかった)

とまあすごい事尽くしで今すぐこの映像を見ないとMOTTAINAI。あと、強調しておきたいのだが、ソラさんはアイドル10年目で文字通り何でもできてしまうスーパーレディだが、彼女のグループでの担当は並々ならぬ発声力から感じ取っていただけるようにあくまでボーカルである。そんな彼女がソロでのアルバムで割と自由が効く中で、彼女にとって全く新しいスタイルであり決して簡単ではないダンスにチャレンジしたという事実に私は心が震える。

あとね、最後にね、この全編英語のファビュラスな曲の作詞と作曲を担当したのもね、ソラさんなんですよ。

Look in the mirror
And pose
So damn fine
And say it
"I'm sick, so bad"
Louder, louder
"I'm sick, I'm hot
I'm gorgeous, so bad"

I want a black and white one
And a pink or purple
Black and white one
And a pink or purple
I want a black and white one
And a pink or purple
Black and white one
And a pink, doesn't matter

どの様な色を纏っても私は美しいといったニュアンスだと想像するが、もうちょっと深読みすると、どんなセクシュアリティだって美しいんだ、というガガ様のBorn This Wayにも通づるマイノリティへの応援ソングにも聴こえないだろうか。受け取り方は千差万別だと思うが、この自信とエネルギーに満ち満ちたDIVAなリリックをソラさんが書いたという事実だけで私の命はちょっと救われた。

最後の最後に、今回のアルバムを制作にするにあたってのソラさんのメッセージを紹介したい。

"「Colors」のメッセージのように、私の様々な色を見せるという点もありますが、世界の多様性を一緒に楽しんでほしいという気持ちもあります。 外国ではとても開放的ですが、それでもまだ韓国では少し保守的なものが残っているようです。 もう少し開放的になってほしいと思います。"

'컬러스' 메시지처럼 저의 여러 가지 색을 보여주는 것도 있지만 전 세계 다양성을 다같이 재밌게 풀어나갔으면 좋겠다는 마음도 있어요. 외국에서는 굉장히 개방적인데 그래도 아직까지는 한국에서는 조금은 뭔가 보수적인 게 남아있는 것 같죠. 이런 것들이 조금 더 개방됐으면 좋겠어요. (原文)

https://m.entertain.naver.com/article/108/0003231970

アイドルという立場上、この発言をするのにはすごく勇気が必要だったのではないかと思うが、それでも正しいと思ったらとことんその姿勢を貫くソラさんが一層愛おしい存在になった。

Colors、絶対、見て、ね?🧡


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