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Congratulations、ムンビョル。

いきなりだけど、今すぐこの動画を見てほしい。初めて見るよってあなたも、もう何回も見たからいいよってあなたも、とりま再生ボタンを押してほしい。

見た?

すごかったよね?いきなりドラム叩いて、ベースかき鳴らしちゃって、ワンマンバンド始まってさ、びっくりしたよね?こんな機転の効いた粋なオープニング、前代未聞だよね?

文字通り特大液晶画面が開いて、ボルテージMAXになった瞬間に、響きわたる「Congratulations 넌 참 대단해 (君は本当にすごいね)」

まさかのいきなりのサビ。「一音目からこんなに喉は開きます!」って教科書のどこにも書いてなかったぞ。Congratulations。すごいのは、君だよ。

ステージ全体を映していたカメラが徐々にステージ中央に寄っていく。

そして次の瞬間 ーーー

私はだめになった。緊張しているのかとあらぬ心配をしていた推しは、満面の笑顔だった勝負とかプレッシャーとかを微塵も感じさせない、ただ純粋に表現することを楽しんでるムンビョルの姿だった

(5億カラットの輝き)

もうそっからは最後まで涙、涙、涙がブワァッ。震えるくらい感動した。なぜこんなにも『Congratulations』は琴線に触れたんだろう。多分、パフォーマンスの完成度の高さだけでは説明できない“何か”があったのだ。そして、その答えはきっと、歌手ムンビョルが次のステージに到達する瞬間を目撃してしまったからだ。

振り返ると、私が初めてムンビョルを知った2019年の秋頃から現在に至るまでの三年間に、自分が見てきたのはママムというグループの「ラッパー」ムンビョルがソロの「メインボーカリスト」ムンビョルに進化する期間だった気がしてならない。

そんな訳で今回は、如何にムンビョルがボーカリストとして進化していき、『Congratulations』という一つの集大成にたどり着いたかを、自分の沼落ちストーリーと共に愛だけ込めて書いていくんだってばよ

最後の最後には、もう一歩踏み込んで『Congratulations』のステージの素晴らしさ、つまりは“ムンビョルらしさ”について解説するのを試みたので、そこだけ読みたい方は一気に下までスッ飛ばしてくれよな。(指ハートゥ)

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そもそも私がムンビョルを好きになったきっかけは、この記事でも書いたように『Queendom』でのパフォーマンスで惹かれた部分が大きい。

2019年秋。当時の自分は「女性アイドル」=「とにかくカワイイ存在」という単一的で遅れに遅れた価値観しか持たずにこの番組を見ていた。

だからいきなりキャップを後ろ被りにし、トムブラウンのスーツで颯爽と現れてはスポットライトを掻っ攫い、男性ダンサーを鎖で繋ぎながらゴリゴリのラップをぶちかましてるムンビョルという異質の存在は、晴天の霹靂だった。

私の中の女性アイドルの固定概念はものの見事に粉砕され、私は一気にムンビョルに興味を持った。そう、私は「ラッパー」のムンビョルに恋をしたのだ。

そしてこれ以上ないタイミングでやってきた、HIPのカムバ。HIPの見せ場の一つは間違いなくムンビョルのラップパートだと思う。彼女のパートがあることで、曲に緩急がついて聴いていてより楽しいし、素人目でもラップのスキルの高さが伝わってくる。

あと、このキレキレの歌詞にも惚れてしまった。

날 자극한 여러분 감사
私を刺激した皆さんに感謝
거기서 멈춘 찌질이 반사
そこで止まった臆病者 反射
덕분에 나의 멘탈은 단단해
おかげで私のメンタルは強くなった
난 다음 앨범 만들러 갈게
私は次のアルバム作りに行くよ

ヘイトすら臆せず、創造の原動力にしてしまう、ムンビョルの強さ。自分で書いたリリックを披露するムンビョルは、内面から溢れ出る自信と余裕に満ちていて眩しかった。最推しの位置は不動のものになった。

そこからはオタク特有の性質上、ママムと特にムンビョルに関する出ている限りの情報は全部知らないと気が済まないため、寝ることも忘れて過去の動画を見漁った。インタビューにも目を通し、アルバムを繰り返し聴いては気づいたら朝が来るという日々を送った。

そんなママム漬けの日々を送る中で、すぐにある意外な事実に到達した。一つ目は、ムンビョルが「デビュー前はラッパーを志望していなかった」こと。そして彼女はデビューしてからもしばらくの間「自信が持てなかったこと」の二つだ。

今まで複数のバラエティ番組やインタビューでその様な回答が見受けられるが、直近の例としてママムのドキュメンタリー『MAMAMOO WHERE ARE WE NOW』第四話目での一幕を紹介したい。

まず、ママムが所属するRBW社の社長であり、正真正銘ママムを一から作り上げたキム・ドフン氏は、デビュー前の練習生時代を振り返り、「ムンビョルはすごく自信がない子だった。他の3人はすごく個性が強くて、その中で一番自信がなく見えた」とコメントしている。そしてグループにラッパーがいなかったのでラッパーを立てる必要があったとも説明している。

これに対してムンビョルは、「当時はどうしてあんなに自信がなかったんだろう?」と振り返りながらこう続ける。

最初はとりあえデビューさえできればよかったから(ラッパーのボジション)をオッケーした。歌手になるのが夢だったから、「はい、やってみます」と。ラップがそこまで好きじゃない人間としては、考え方を変えないといけなかったし、自分で作って行かないといけなかった。ボーカルグループの中で、その立ち位置で生き残るのは…少し大変だった。

確かに、まだデビュー初期のころの動画なんかを見ると、ひとりでフレーズを披露した後に司会に「すごく良い、なんでラッパーなのにこんなに上手いの?」と褒められて、すぐに照れ隠しをする初々しいムンビョルがいて、今の余裕たっぷりの姿からはちょっと想像がつかないくらい別人だ。

とにかく、私は色々な情報を漁っていく過程で、あんなにバチイケのかっこいいムンビョルでも過去には不安と闘っていた上に、望んでもいなかった「ラッパー」としてのポジションを自ら確立したことを知ったのだ。その時点で、ムンビョルのことを「好き」という感情に加えて「尊敬」の念が加わった。

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2019年冬。HIPで人生で初めてのカムバという名の響宴を一通り体験した後は、もう後戻りすることは不可なほどどっぷりママム沼に浸かっていた。推しは推せるときに推せ精神でMAMAで生ママムを拝むために名古屋に行き、年末の歌謡祭を見るために渡韓した。

私は寒いのが大の苦手で「年中夏でええやん」と、願うくらいの人間なので冬は嫌いだった。が、その年から冬に対しての考えは変わらざるを得なかった。なぜかというと、ムンビョルの誕生日がクリスマスの三日前、12月22日なのだ。

オタクじゃないとこの心理は分かりにくいかもしれないが、推しがこのビックな奇跡でできた地球に生を受けた日というのは、究極の「ハレ」だ。それは祝典で、記念日of記念日である。

しかも、もう生まれてきてくれただけで偉いんだから(全人類そうだけど)、せめて誕生日くらいは家族や友人やオタクから惜しみない愛と祝福を受けてゆっくり休んでくれよと思うのが普通だと思うが、そうじゃないのだ。

ムンビョルは誕生日の日だって休まない。むしろスーパーハイパーアクティブでこちらにデカすぎる愛を与えてくれるのだ。例に漏れず、2019年もそうだった。まず、ムンビョルはムムに感謝の気持ちを伝える「”逆”センイル広告」を展開した。

それだけではない。前置きが長くなってしまったがここからが重要。ムンビョルは、お誕生日の前日に『눈(SNOW)』という新曲をムムにプレゼントしてくれたのだ。

この曲を初めて聴いた時に、私は色んな意味でおったまげた。

まずはタイミング。この少し前にリリースされたママムの神アルバムこと『reality in BLACK』に収録されたバラードの『Ten Nigts』でもムンビョルは美しい高音を披露していたが、他のメンバーに比べると尺が短かく、「ムンビョルが歌うバラードをフル尺で聴きたい!」と切望していた矢先のことだった

次に、ボーカルレンジ。눈(SNOW)もムンビョルが得意とする歌うようにラップをする“シンギングラップ”が盛り込まれているが、初めて聴く透き通るようなムンビョルの高音が、優しくも切なく、真っ白な雪と冬の蒼い海が美しいMVの世界観とマッチングしていて、衝撃だった。特にコーラス部分最後のムンビョルの裏声はいつ何時聴いても、心が震える。

それ以前のRed Velvetスルギとのコラボ曲『SELFISH』ではもっとラップの要素が強かったし、R&B調の『In my room』でもコーラス部分でしっかりと歌っているけど、それもやはりムンビョルが得意とする音域内だったと思う。

つまり、『눈(SNOW)』は今までにはなかった、ムンビョルがボーカリストに進化する過程でのマイルストーン的な曲だと思うのだ

誕生日が過ぎてもムンビョルはムムのためにギフトを送り続けてくれた。急遽、年が明けてすぐにムンビョルは地上波の音楽番組「ミュージックバンク」に参加したのだ。

推しが初めてソロで、しかも地上波の番組でソロ曲を披露するなんて。一番緊張していたのはムンビョルで間違いはないが、私も当日は居ても立ってもいられなくてソワソワしていたのを覚えている。

初めてのソロステージで緊張しているのが伝わってくる。それでも、音程はずっと安定してるし、生歌だとムンビョルのウィスパーボイスが更に臨場感たっぷりで聴こえてくる。ムンビョルは、ボーカリストとしても非常に優れているいうことを証明した記念すべきパフォーマンスだったと思う。

しかも、ムンビョルが手に握っているハンドマイクはファンからプレゼントされたものだ。推しへの愛は指数関数的に上昇した。

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2020年は、ムンビョルの2ndミニアルバム『Dark Side of the Moon』を皮切りにママムのソロ活動が本格化した年だった。『Dark Side of the Moon』と他のメンバーのソロアルバムの魅力についてはこちらの記事で語り尽くしたので割愛するが、このアルバムもまだ「ラッパー」ムンビョルの要素が強かった気がする

タイトル曲の『Eclipse (달이 태양을 가릴 때)』は、トラップベースのインストゥルメンタルが強めでラップもゴリゴリの強めだ。コーラスのボーカルではやっぱりムンビョルが得意とする中低音を披露していて、まあ兎にも角にもかっこいい。この一言に尽きる。他の収録曲である『MOON MOVIE』や『Mirrorもやはりどちらかというとラップの能力の高さが光る曲だと感じる。

年始の怒涛のソロカムバが過ぎ、『Dark Side of the Moon』を鬼リピしている間にあれよあれよと時間が流れ、いつの間にか夏が来ていた。何か新しいコンテンツが供給されるとは全く考えていなかった時期に、私はムンビョルから突然の右フックをくらった。

いや、あの、お歌が上手いのは知ってたけど、こんなに上手かったんかいと、感動を通り過ぎてしばらく開いた口が塞がらなかった

私はボーカル分析のプロではないので、ムンビョルの歌い方に詰め込まれているであろう技術の高さをどう適切に表現したらいいか分からず、ボーカルコーチの反応動画も見てみたが、終始「Wow…」と高音パートに入る瞬間に「Hmm…much better」って繰り返し言ってる動画しか見つからなくて思わずパソコンの画面を叩き割りそうになった。

なので、残念ながら技術云々の話はできないのだが、この曲では特にムンビョルの声が持つ独特の魅力、つまりは「恨(ハン)」が顕著に感じられるから心を揺さぶられるんだと思う

韓国語の「恨(ハン)」は、日本語の「恨み」とは全く異なり、韓国の歴史とともに醸成された民族の個性という風に私は理解している。この記事では、「恨み辛みや不満を、生きるエネルギーに転換した状態」を「恨(ハン)」と説明しているが、もっと詳しく知りたい方は是非こちらの記事にも目を通してほしい。

ちなみに、現在放送中のサバ番『第二の世界』の一話目において、名前は伏せられた状態で別の参加者の声だけを聴いてコメントをするという場面があった。

そこでムンビョルは、まだティーンのアイドルの歌声を聴いてから「恨(ハン)がないよ!」と冗談交じりに批評しているので、それくらい普段から使われる概念であって、ムンビョルも歌う時には多少なり意識しているような気がする。

とにかく、この曲で私は歌手ムンビョルの「恨(ハン)」と本気を感じ取った。そして、彼女の”歌うこと”に対する愛も。ラッパーとしてだけじゃなくて、ボーカリストとしても活躍したいんだな、と。

そして、こんなに声だけで人の心を揺さぶることができるなら、ムンビョルはもっと、もっともっとボーカリストして輝くぞ、と確信した

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2021年は記念すべきママムが初めて日本の地上波に登場したり、6月にはバラード曲のみで構成された11枚目のミニアルバム『WAW』が発売されたりとグループ活動が多くて嬉しい反面、音楽番組で他のメンバーに比べて歌うパートが少なく、俯き気味なムンビョルを目にする度に悲しくもなった。

契約更新についての動きもあった年で、正直未だに心の整理が完全に着いた訳ではないが、これはいつか別の機会で書ければと思う。

でも、2021年もムンビョルは決して不貞腐れることなく、週3でラジオ番組のホストを務めながらも一生懸命次のソロアルバムに向けて入念に準備を行なっていたに違いない。

その証拠に、今年の初めにムンビョルは最高のミニアルバム『6equence』を引っ提げてカムバックしてくれたから。『6equence』の魅力についてはガッツリ本人の言葉を引用しながらこちらの記事で紹介しているのだが、前作がソロアーティストとしての実験的作品だとしたら、本作はムンビョルのカラーが確立した作品だと思う。

特に、タイトル曲の『LUNATIC』がそのことを象徴していると思う。アップテンポなダンスナンバーで、地声に近いキーからお家芸のラップまで楽しめる「魅力全部詰め込んじゃいました」ソングだ。

また、曲のクライマックス部分で「어쩌겠어?(どうすればいい?)」と伸びやかに歌うムンビョルを見ると私はやっぱり涙が出てきてしまう。デビュー当時、ラッパーなのに歌うのが上手だと褒められて照れ隠しをするムンビョルの姿はもうどこにもない。そう、ムンビョルは堂々たるメインボーカリストに進化しちゃったのだ。

トラック6の『내가 뭘 어쩌겠니? (ddu ddu ddu)』もボーカリストとしての力が余すことなく発揮されている曲だと思う。ムンビョルは2022年9月現在、歴代女性アーティストの中で最多の歌詞クレジットを誇る天才作詞家なのは有名な話だが、この曲は作曲にまで携わっている。才能が恐ろしいょ。

今年の夏には思いがけず、この二曲とも生で聴くという僥倖に恵まれたが、驚いたことに生で聴く方がうまかった。歌手にはレコーディングで本領を発揮するタイプとライブでより本領を発揮するタイプがいるらしいが、ムンビョルは完全に後者だと思う。

喉からCDをどころかCDを凌駕してくるのだ。あんなに動いているのに不思議と音程がブレることはなかったし、声がどこまでも伸びていたのだ。裏でどれだけ練習を重ねているのかと考えると、本当に頭が下がる。

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さて、ここまで個人的観測に基づき、どうムンビョルが「ラッパー」から「メインボーカリスト」に進化していったかを振り返ってきた。なので、やっと本題の『Congratulations』の話をしたいと思う。

ぶっちゃけると、『LUNATIC』と続いてリリースされた『C.I.T.T.』でムンビョルは十分ソロの歌手としてやっていけることを証明したし、何故またサバ番なんかに出るんだろうと、冷めた目で見ている自分がいた。その上、メインボーカリストとしての魅力もすでに知っていると思い込んでいたから、そこまでこのステージに対する期待値が高くなかったのだ。

でも、それは間違いだった。天動説を信じて、ガリレオに有罪判決を下しちゃった人たち並に愚かだった。それでも地球は動いているし、ムンビョルは努力することを、進化することを決して止めないのだ。

『Congratulations』は、ラッパーでありメインボーカリストであり作詞家であるムンビョルの集大成だった。何一つ手を抜くことなく、全部コツコツやってきて積み重ねてきた彼女だけが到達できるステージだった。デビューから8年かけて、自らが確立した“ムンビョルらしさ“が溢れていた。だから、私は心を打たれたのだ。

まず、冒頭にも書いたようにワンマンバンドから始めるというアイデア。これもきっとどう初っ端から観客を掴むのか、たくさんの舞台を経験してきたムンビョルだからこそ生まれたアイデアだと思う。

あと、1:43~からレッドカーペットが現れる演出だけどあれは反則だった。私にはあれがどうもムンビョルが自分で作った花道を歩くように見えてしまい、脆い涙腺が決壊してしまった。

次に、歌詞にもムンビョルらしさが表れている。このブログや自身のツイッターでも何度か触れてきているが、ムンビョルは一貫してジェンダーを特定できないような歌詞を書くことで、誰もが歌を聞いた時に疎外感を感じずに楽しめるように工夫を凝らしている

流石に今回の曲は、オリジナルがDAY 6というアーティストのものなので歌詞に変更を加えるのは難しいだろうと思っていたが、ムンビョルはここでも自分のスタイルを徹底していた。

例えば、「내 곁을 떠나가 (私のそばを離れて)その男に会って / 그 남자를 만나(その男に会って)」という原曲の歌詞は、ムンビョルのバージョンでは冠詞が「남자(男)」から「사람(人)」に変わっている。

画像クレジット: @1107byul1222 https://twitter.com/1107byul1222/status/1569780177965649926/photo/1

また、2:30~から始まる低音にドロップしてのスーパーラップタイムは、原曲にはないオリジナルだ。ムンビョルはこのためだけに新たに歌詞を書き、もちろんその歌詞もジェンダーを特定できないようになっている。

어때? 그 사람 나보다 더 나
どう?その人は私よりも良い?

그 사람이 내 기억 다 지워줬나 봐
その人が私の記憶を全部消してくれたみたい?

그래 너가 행복하면 됐지
そっか、あなたが幸せならいいんだ
라는 거짓말은 안 할게
とかいう嘘は言わないよ

대체 내가 왜 날 떠난 너한테
どうして 私を置いていったあなたの
행복을 바래야 돼 절대
幸せを願うのか 絶対に
Never I don't give a…

曲の後半でこのラップを入れたことにより緩急が生まれただけでなく、よりクライマックスのコーラス部分が活かされて素晴らしい選択だったと思う。

最後の手拍子だけでシンと静まる中、ムンビョルが情緒たっぷりに歌うコーラスとそれを祝福するかのように画面いっぱいに咲く花火の演出を見て、滂沱の涙を流さないムムなんていないだろう。

一応これはサバ番のステージだが、THIS IS MOONBYUL、もう完全にワンマンライブと化していた。だって参加者も全員手拍子してるし、何なら審査員の面々ももうみんなめっちゃ笑顔でノリノリだし。

我々はすごいものを目撃してしまった。もうこれは審査の対象外でしょ、とは思ったものの、審査員の方のコメントは気になったので、番組の続きを見ることにした。

結果は至極当然ではあるが、賞賛の嵐だった。私はそれが嬉しくって誇らしくって、やっぱり画面越しに見守りながら滝涙を流し続けた。

ムンビョルが一番嬉しそうだった評価は、以下の通りだ。

ムンビョルさん…あなたはMAMAMOOの…メインボーカルですよね?今日まで、こんなにユニークなボーカルとカリスマ的な中音域と語法を聞いたことがありません。今日はロックスターのようなパフォーマンスを見せてくれましたねとだけお伝えしたいです。あなたのステージをとても楽しみました。

誰かのボーカルスキルを褒める時に、「ママムのメインボーカリストですよね?」というのは最上級の褒め言葉だと思う。ムンビョルはいつもニコニコしてるけど、こんなに素で嬉しそうな表情をしている彼女はあんまり見たことがなくて、喜びが伝わってきて胸がキュッとなった。

その後にムンビョルが見せた嬉し涙は、世界で一番美しかった。「ママムは“ボーカル"グループなのでかなりプレッシャーがある」と本音を漏らしていたのには心臓が抉られたけど。上手くて当然と思われている中で、それ以上のモノを披露していかないといけないんだから、ムンビョルが背負ってる負担は計り知れない。

でも、このステージでは確実にムンビョルの今までの努力が報われたはずだ。結果は、最多得点を獲得しての一位だった。私は競争を煽りすぎる社会に対して疑問を持つし、一位が全てではないと思う。ただし、同時にこのクオリティでのステージを披露しても尚ムンビョルが一位を獲れない世の中には絶望してしまうので、本当に、本っ当に良かった。

これまで持っていた疑問符に対する答えを得た舞台だった」と答えたムンビョルは、これからも今まで通りに地道な努力を重ねて、また私たちに新しい景色を見せてくれるんだろう。

まだまだ番組は続くし、最終結果がどうなるかは全く分からないし、結果はガチでどうなってもいい。

ただ一つ、絶対に伝えたい。
Congratulations、ムンビョル。あなたは本当にすごいよ。

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