見出し画像

ストリテラ『マカジャハット狂詩曲』プレイレポ

『ストリテラ』、2回めのセッションはルールブックP23の「コンバート」のルールを使ったソード・ワールド2.5の世界観とPCを使ったセッションである。

noteの方でストリテラの話をするのは初めてなので、色々と雑感も追記しながら、とりあえずこのあたらしい遊びについて色々と書いてみたい。というか出力したいのだ、これ。

ソード・ワールド2.5は1年以上プレイしていない(PCデータの最終更新が2020/11/19とかで軽くショック)が、冒険者パーティ「カラーズ」の名前で2年以上遊び続け、冒険回数27回、レベル11とかに届いている状態だ。

そんな勝手知ったるPC、勝手知ったるラクシアでストリテラを遊んだらどうなるだろう!というのが今回のセッションに至るきっかけ。

最初に遊んだのが公式シナリオ「ルートイレブンは眠らない」だったのだが、

Q「普通に銃撃してるけど国どこ?」
A「N◎VAみたいな感じでいいんじゃね?」

Q「チーム名『ルートイレヴン』でどう?」
A「これって終盤に出てくる地名なので、チーム”いろは坂”みたいになるよ?」


みたいな感じで、どーもこう、おれたちは足場硬めて動くために色々決めたくなる性分みたいで笑
その辺を勢いで遊んじゃうのも良い、というかわざと広大な余白があるところも含めてストリテラの面白げな遊び方だとは思ってるんだけどね。
地に足の付いた踏ん張り方に慣れたおれたちには少し慣らしが必要だと思ったワケ。

そんなわけで遊び慣れたPCを使って遊び慣れた世界ならどうだ!
という選択に出たわけだが、結論から言うとこれが見事に大当たり。

やっぱりキャンペーンで慣れ親しんだPCのその後が語られ、実際にRPできるのって最高だね!

今回のお話

ストリテラのシナリオをコンバートで、それも既存キャラクターで遊ぶ場合に一番問題になる(おれ調べ)のは【ウラ】の設定だと思うんだよな。

下手に人のPCに変な設定を作るのもアレだし、キャラクター的に裏表のない性格だったりするとそもそも【ウラ】として秘密にしておく動機を考えるのが意外に大変。
まぁ、逆にそこを思いついたら一気に道が開ける思いだったんだけど。

ハイコンテクストで済まないが

今回用意した【オモテ】【ウラ】はこんな感じ。
まぁその、【オモテ】のところはキャラクター知ってる前提のような話になっているのはご愛嬌。

▼エルシィ/PL:クリス
【オモテ】
 キミは"カラーズ"のリーダー、エルシィだ。詳しくはキャラクター設定を参照すること。
 マカジャハットに到着して2週間、美術館めぐりや観劇など、街の風物を存分に楽しんだ。そろそろ次の冒険のタネを探したいところだが……キミはいまなんだかソワソワしている。
【ウラ】
 偶然キミは拾ってしまった。この街の高名なエルフの吟遊詩人・エルドバールに充てられた恋文……しかもパーティメンバー、エイダの字と署名付きだ! キミが読んでも胸が熱くなるほどの思いが綴られた恋文を見てしまった罪悪感もあるが……キミにできるのはエイダに思いを遂げさせてあげることではないのか?
 キミの[目的]はエイダに恋文を読んだことを告げ、思いを遂げるならパーティを抜けても良い、と話すことだ。
 キミだけのキーワード:「エルバドールさん」

▼エイダ/PL:猫屋敷
【オモテ】
 キミは"カラーズ"のメンバー、エイダだ。詳しくはキャラクター設定を参照すること。
 マカジャハットに到着して2週間、この街ならではの知識を存分に吸収したキミは、新たな冒険のタネを探したいところだが……キミはいまなんだか仲間から目をそらしがちだ。
【ウラ】
 キミが2週間通い詰めた高名なエルフの吟遊詩人・エルドバール。彼の知る古代の恋愛詩によって、究極存在・ミスリルゴーレムの存在を示す遺跡の場所を特定した。一歩間違えれば"カラーズ"も全滅を免れない相手である。好奇心を殺し、パーティのためにこの情報を胸に秘めておくか、エルシィに正直に告げた上で止めるか。少々悩ましい状況だ。
 キミの[目的]はこの状況に結論を出すことだ。それは正直に告げてもいいし黙っておいてもいい。もちろん「後で強くなったら挑戦しよう」という流れにするのも構わない。
 キミだけのキーワード:「悩んでいるんだ」

▼グレン/PL:MOO
 キミは"カラーズ"のリーダー、エルシィに仕えるルーンフォーク・グレンだ。詳しくはキャラクター設定を参照すること。
 マカジャハットに到着して2週間、この街ならではの風物を堪能して飽きたキミはさっそく面白いネタを探しあてたが……キミはいまなんだか目が泳ぎがちだ。
【ウラ】
 エイダが通い詰めている高名なエルフの吟遊詩人・エルドバール。この状況を利して、キミは大金を投じて究極の恋文を書き上げてもらい、さらにエイダの字を模した完璧な恋文を偽造した。これをエイダに渡して「さあ思いを遂げるのです」とやるつもりが、その恋文を紛失してしまった。あれが世に出ればパーティ追放もありうる。まずいことになった。
 キミの[目的]は恋文を見つけ出し、なんとか火消しを遂げることだ。
 キミだけのキーワード:「変わったことはありませんでしたか?」

というわけで、自分のPCをトラブルの火種にしておけば八方丸く収まるという判断によるセッテイングである。
人間嫌いの賢者女子エイダは当然、普段色恋の話題なんかに関わることはないわけで、今回はそれを突っつこうというハラ。一方でパーティリーダーのエルシィは冒険のために冒険をしているようなキャラなので、そこに「一歩間違えたら全滅」な冒険のネタを抱えてしまったことが悩みのタネになり得る、という……あー、ハイコンテクストな話題だからといってこうやって分解して書くのはアレだねぇw

そういえば、こういう日常系(?)のストリテラで思い浮かんだのは『賢者の贈り物』のお話。夫は妻の美しい髪を飾るための櫛を買うために自分の懐中時計を売り、妻は夫の大切な懐中時計を吊るす鎖を、自らの髪を切って売ることで買った…っていうアレ。
こういう優しいすれ違いを、PLが知ったまま、優しいまますれ違ってみせる遊びも面白いよな。

顛末

フラグポイントは3者同点! 手に入れたキーワード1点差でエイダがファイナルチャプターの主演権獲得!!

エイダ@猫屋敷さんがガッツリと自身の悩みを「まるで恋の悩みだと誤解できる説明」をしてくれたところにおれたちもガッツリ乗っかって行って…という流れを楽しみ倒したうえで、ファイナルチャプターで結局、ミスリルゴーレムの話はしないままに終わった。

「話したらエルシィなら絶対行こうって流れになるから!」
というなるほどよく分かる話だった。

しかし、それだとこの手紙は一体……? ってエルシィから例の偽造文が出てきて…というドタバタでシメ。先に書いた「賢者の贈り物」じゃないけども、誤解とは言えエイダの背中を押そうとしてやらかしたこと、ということでパーティ追放にはなりませんでした!

まー、なんというか。

集まってから2時間弱でこんだけの物語を接種できたのはサイコーの一言に尽きる

かといって準備にすごく手間かかったということでもないし、色んな意味でコスパもヤバい。ダイスロールも数字上のデータもなんもなくても、そのキャラクターが、ストーリーが持っている設定、情報という広義のデータだけで、こんなにもTRPGなのだな。

1回めの暖気を経て、一気にいろいろなものが開いたイメージ。
こりゃおもしれーわ。なんかの機会でプレイレポじゃなくてシステム語りなんかもしたいくらい(普段ツイッターでやってるけど)。

特に。

初めての「観客」

これ絶対名称に偽りありなんだよ。キーワードを投げるエチュードモードの観客。
今回は各チャプターに5つずつキーワードを準備しておいて、あとは観客がキーワードを追加していく形式。

一応、準備していたキーワードは、それなりにチャプターのシメに使えそうなのとかも混ぜといたんだけど、やっぱり場に出されてるとコレクトしていっちゃうよな、ってのがあって(これはシネマティックの「ルートイレヴン~」でもあったんだけど)。

それが観客! 観客は場にキーワードを投げることができる!

「そこ隠さずに言っちゃおう!」とか
「攻めろ! ここは攻めるときだ!」とか
「グレンはそんな悪いやつじゃないんですー」とか

キーワードを使って眼の前の物語に少しずつリアルタイムに介入ができる!
これって結構すごい”体験”だ!
控えめに言ってすっげえ楽しい!

シーンへの集中力も半端なく上がるしね!
これもっとやらせてくれないかなー! 専任GMでエチュードもイケるでこれー!
そして、自分が出ているチャプターだと観客の投げてきたキーワードにクスってなっちゃったり。初めてのエチュードモード、かなり好感触だった!

今作っているオリジナルシナリオの方はテーマ的にもシネマティックで作ろうとしているんだけど、このプレイ感だとエチュードで遊ぶバージョンも考えてみて良いかも。

コンバートすげえ

やっぱりPCと世界観を借用してくるってのは(ちょっぴりズルい気もするが)、色々と前提となる足場をしっかり共有できてイイな!

個人的にはブレカナとかダブルクロスとか(もちろん正気度引き継ぎで遊ぶCoCも)、遊ぶ度に何かを消耗したりロストの危機のあるタイプのゲームの「日常回」を遊ぶのに向いている気がする(これもズルかもだけどねw)

遊ぶ機会はまだだけど、ハウンド側のPCの寿命がほぼ有限な『キズナバレット』とかも間違いなく向いてる(『キズナ~』はそれ自体に日常回を遊ぶオプションルールもあるけど)。

ルールごと再発掘して久しぶりにあのキャラに会いに行く、ってのももちろんアリなんだが、ルールの発掘・再インストール抜きにアイツらに会えるという点でも、このゲームのトンデモない軽さとか間口の広さが一役買ってくれていると思う。

ストリテラやろうぜ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?