2/5 天下繚乱『不死身の羅刹!? 真柄直隆を斬れ!!』プレイレポ
このところシナリオクラフトの改造版でプレイすることの多かった天下繚乱(そのために卓仲間に『江戸絢爛』を配った甲斐もあったというもの)だが、今回は久しぶりにGM自作のシナリオとなった。
ついでにおれが仮組みしていた「いつか使いたいリスト」のPCを使う機会ともしてくれて、ありがたい限りだ。
タイトルの示すとおり、今回は不死身の羅刹、真柄直隆を斬るお話。やべえ全て言っちゃってるよ!
戦国時代、朝倉氏の武将として姉川の戦いで討ち死にするも、織田信長の黒母衣衆の一員として黄泉帰った真柄直隆が英傑たちの前に立ちはだかる!(もちろん愛刀・太郎太刀も一緒!)というシナリオである。
1.プリプレイ
PC①の場合
PC①の担当PLはおれ。朱雀/鬼神衆/影忍の組み合わせの「高行動値・範囲バッドステータス」というおれのよくやるPCの類型を踏襲したPCだ。
「はやて・つむじ」という双子として生まれ、より鬼の血が発現していた姉:つむじが、平安の世より記憶を受け継いできたという次期の「御前様」となることが決まったとき、「鬼神衆が要らない世の中になれば、姉は御前様を継ぐ必要がなくなる」という思いとともに宿星の導きを得て英傑となった少女である。
そんな妹の方のはやてちゃん目指すは「素直クール関西弁少女」。関西弁自体が少し活発なイメージになるためロールプレイは困難を極め、結果口数が少なくなってしまったのが玉に瑕(クールっぽくはなった)。セッション内では「シスコン」とか言われていたが、結構可愛がってくれて嬉しい限り。
演出として影忍としての俊敏な動きと、それに遅れてジャラジャラとした鎖分銅の動き、そして《氷滅の型》による冷気を使う、鬼導霊馬にまたがった夜叉の如き鬼神の姿…などが演出できて満足。
今回は羅刹出現の噂の調査に出向いた先で、妖異の忍軍に追われていた公儀隠密の双子姉妹忍者を助けるという導入。お察しのとおり、おれのPCの双子設定に合わせてのセッティングである。互いを案じ合う双子忍者を見ていれば、自然と姉のことを思い出すロールプレイになろうというものだ。
PC②の場合
PC②は卓仲間の新版天下PCとしては最古参。徳川の分家・一橋家に連なる天下人にして諸国を巡る医者、一橋斉義。実は病がちの弟に代わり、【日の本を救う】宿星を抱いた英傑として諸国を見回っているという女性である。玄武/天下人というクイックスタートと同じクラス構成(実際デビュー時は同データ)の成長をアレンジし、かなり回復能力に寄せた設計だ。
切った張ったが得意というわけではないが、その指揮能力だけでなく、掛ける言葉だけで味方を奮起させうるカリスマ性なんかも表現できる玄武&天下人のクラスがよく表されたキャラクターだと思う。
今回は一揆発生の噂のある丹波亀山藩の藩主に招かれ、藩の窮状を救うべく奮闘するという枠。どちらかというと《世を忍ぶ仮の姿》ではなく、本来の天下人としての立ち位置といった風情だ。
PC③の場合
本シナリオの主人公ともいえるPC③。青龍/秘剣使い/いくさ人の彼は時空破断に巻き込まれ化政時代に現れた、織田信長の「黒い肌の侍」ヤスケその人である。閻羅王となった織田信長を自らの手で討つことが、かつての信長と見た天下統一の先にある自由で開かれた世界をもたらすことになる、とこちらも【日の本を救う】宿星の英傑である。
ちなみに異邦人のクラスを所持しているわけではなく、ライフパスで「渡来人」を選択している。出自が問題になるケースではそれなりにペナルティを負う展開も面白そう。
かつて信長が所持したものと同じかは不明だが、かつて戦国時代に宣教師よりもたらされた虚無の剣、冥獄剣による《秘剣・鬼の爪》が必殺剣だ。妄想心音めいた演出で放たれていたのでじつは山の民だったのか、ヤスケ。
今回は、羅刹英雄・真柄直隆と直接対決し、敗れるところからの導入。かつて信長と敵対した朝倉勢と、信長に仕えた男が立場を入れ替えての対戦となる(とはいえ、ヤスケが信長に仕えた頃は真柄が討ち死にした姉川の戦いの10年以上後のことなんだけどね)。
必殺剣を心臓に受けてなお立つ真柄の反撃により滝壺へと落とされるヤスケ。個人的には黒母衣衆にヤスケの存在がロックオンされたのは今後の展開としても面白そうだ、なんてことも思ってた。
PC④の場合
PC④もそこそこの古参勢。白虎の力を宿す江戸の剣客小町・薫花(ゆきか)。白虎/剣客の構成だが、いわゆるカバー型ではなく戦場のコントロールや達成値面での支援を中心とする。剣術道場の術理も敵を討つ剣術ではなく、自らの精神を鍛えるという、彼女の戦い方に通ずるものだ。
おかげで敵に回すと毎回結構厄介なのよね(GM視点)
その宿星は【運命への反逆】。妖異に虐げられている人がいたならば、その妖異を討つことよりも虐げられた人々が受け入れざるを得ない不幸をこそ打ち払おうとするあり方だ。
今回は、滝壺に落ちてきたヤスケを助ける役を務めつつ、羅刹の陰謀渦巻く丹波亀山藩のために尽力する、というハンドアウト。PC間のコネクションとして、おれのPC:はやてにお姉さんぶるという形での「弟妹」を取得してくれていたので、シスコンのはやてとしてはリアクションのしがいがあって楽しかった。
2.メインプレイ
・羅刹英雄・真柄直隆!
GMの方からは、あらかじめ「あんまり調べないほうが面白いと思うよー」という話があったので、こちらは普段よくやる調査を全くせずにセッションに望むことに。
シナリオ内の情報として十分に朝倉氏の武将として語られていたし、なにより登場した真柄の豪傑っぷり、太郎太刀の驚異、といったところで伝わってきた。やはり大きいものは説得力が違う。
PC①はやてとして黒母衣衆の羅刹英雄に見えたときは、「姉のために全ての妖異を討つ」という宿星の重さを感じずには居られなかったし、その羅刹を討つというヤスケの頼もしさ・凄さを感じたものだ。
ミドルフェイズで相対した真柄直隆の凄さは更にその上を行っていた。確かに討ち取ったはず(心臓を突いてダメなら首を刎ねればいいの理論)の真柄だが、その姿が歪み、別人の武者となって立ち上がる!
自ら名乗るその名は、真柄直隆の嫡子、真柄隆基! 手にする獲物もひと回り小さく、次郎太刀へと変貌している!!
隆基の語るその不死の正体は、時空破断によって歪んだ時空を利用し、真柄直隆・真柄隆基そして直孝の弟直澄の三者の存在を重ね合わせることによって、死の運命を不確定にするという妖異の邪法であった!
なんといういともたやすく行われるえげつない行為!!
奴にとどめを刺す方法を見いださない限り、英傑に勝利はない!
ということで撤退となるんだけど、きっちり撤退にも判定を要求してくるGM。「はいはい負けイベントね」みたいな形にならず、その後に休息シーンを挟んでくれたりの緩急がバッチリ機能していた感がある。
・真柄切!
撤退し、城主のところで態勢を立て直そうとする英傑たちだが、その手立てはあるのか……? というところで登場したのが英傑たちの導き手・玉梓。
彼女いわく、姉川の戦いで真柄一族を討った刀は、真柄切の名で名刀として伝わっているのだという。真柄一族を倒すという「意味」を持った刀であればその不死を打ち破ることができるのではないか……?
双子忍者の調査の結果、真柄切は堺にある商人が所有しているという情報を入手。これを切り札として確保しにゆくこととなる。
いやー、終わったあとでウィキペディア見てみたんだけどさ。やっぱりこう、ネタの宝庫よね。こういう歴史ネタをシナリオに還元する内容は大好きだ。
・PC③:薫花とのやりとり
個人的にお気に入りの一幕。
ヤスケ・一橋コンビが真柄切を手に入れに向かう一方、PC①はやてとPC③薫花はともに、妖異たちが人々に苦役を課すことで開こうとする冥府の門、蘭学で言うヴォイドゲートの解放を遅らせるために妨害工作をするチームとなった。
影忍PCとして、そして姉を御前様としての運命から解放しようと動いているPC①、はやてにとっての話を振ろうと思いたち、判定シーンの前にちょいとやりとり。
「姉上のためにも妖異を倒さんとあかん。それでもあの羅刹に敵わんとなったときは、うちは――」苦役を課されている村人を見捨てて逃げることも辞さない、なんてことを言おうとした矢先に被せられる一言。
「――その先は、言わなくてもいいわ。出した言葉によって縛られることもあるのだから」
くそう。
【宿星】のためなら民をも見捨てるかもしれないなんて滅多にできないムーブをやろうとした途端にこれだよ。これだから【運命への反逆】なんて宿星の持ち主は!
事前にコネクションとして挙げられていた「弟妹」がしっかりと実を結んだ瞬間であり、外に出て守ろうとしている双子の姉・つむじとはまた違ったかたちでの「お姉さん分」を食らわされた形になった。やったぜ。
・異修羅・真柄!
堺に向かったメンバーは無事に真柄切を入手! しかし……真柄切という切り札でもってぶった切ればそれで解決! かと思いきやである。
決戦に際し、真柄切による一撃(イベント的な一撃です)を受けて苦しむ真柄sだったが……解放を遅らせていた蘭学で言うヴォイドゲートから力を取り込み、同時存在全てを重ね合わせ、三面六臂の阿修羅の姿へと変じる羅刹英雄・真柄s!
三人の真柄が合体しての阿修羅变化ときたもんだ!
この辺のハッタリのきかせ方も天下繚乱っぽくてとてもよかった。恐るべき《三回攻撃》にここまで説得力をもたせてくるとは。
さらに、三位一体となった状態の不利な点として《弱点属性:複数攻撃2》なるものも所持。範囲攻撃を浴びると通常よりダメージを多く受けてしまうということで、単独ボス相手でも朱雀が腐りにくい、というプラスのギミック付きだ。
PCたちの猛攻、とどめの《秘剣・鬼の爪》にて倒された異修羅・真柄はしかし、存分に戦えた満足の中で塵となって消えていった……。
信長を倒そうとする忠臣ヤスケの目に、それはどう映ったのだろうか。PL自身も言っていたし、それがヤスケの魅力でもあるのだが、言葉少ない彼の心中を計れるものは少ないのである。
3.その他
・シナリオ構造
今回のシナリオ構造、
[合流]→[情報収集]→[イベント]→[解決の糸口]→[2手に分かれて解決]→[クライマックス]みたいな形で、構造がしっかりしていたのが白眉な点。
特にイベントによる敵の謎の開示(不死)から、糸口の提示までの流れを作った上での「2手に分かれての解決」あたり。これまでのシナリオの流れから、話したいこともあるだろう、とばかりに2人組を作る展開で、絡みが加速された感がある。
PLコールによって積極的に絡みを作っていくケースもあるだろうが、シナリオ構造でそれを進めることにもなるよな、と改めて感じたものだ。
結構、骨組みのしっかりした部分をキャッチできて、その骨組みを意識しながらやりたいシーンを挟む(PC③薫花とのやりとりのシーンとか)っていうのは気持ちのいいものだ。
逆に、今回チーム分けで離れてしまったPC②一橋やPC④ヤスケとは、また別の機会で絡むことになれたら嬉しいな。
PC②一橋とは、PC間コネクションで医師としての一橋に助けられた設定を生やしたものの、余りそれを活かすことができなかったし、PC④ヤスケの閻羅王・織田信長をも倒すという意志には本当はもっと勇気づけられていたはずなのだ。
・あとやっぱり
素直クール関西弁は難しい。
後半ちょっと温まってきて上手く出せるようになってたんだけど、序盤はロールの難しさにセリフ自体が少なくなるという体たらくである。まぁ、鬼神衆としてキッチリ仕事をしようとしているときと、英傑としてともに妖異を討とうと戦っているときとで距離感も違うだろうし、後半砕けてきた感も出せてよかったんじゃないかと思っている。
あと、今回はVroidっていうツールでキャラクターのイラストの準備をしてみた。これのいいところは《鬼神変》で「髪の色が白くなり、伸びている/牙が発達している」といった夜叉っぽい変動が、書き直しを経ずにツールの操作だけでできてしまうところ。有償・無償でユーザー公開データもあり、若干沼の縁が見えたような気もするが、今後も活用していきたいね。
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