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10/3 天下繚乱 シナリオクラフト「妖異忍風帳」感想

ということでシナリオクラフトのプレイヤーとして2回め。やはりこの遊び方は安定感がある。

最近セッションのたびに新キャラを使っていて、青龍・白虎・玄武のPCがいたので、今回は朱雀……と思っていたんだが今回は別。

もともと青龍/朱雀/白虎という、青龍の単体攻撃性能と朱雀の範囲攻撃性能と白虎の防御力を兼ね備える器用貧乏キャラを作ろうというコンセプトがあったんだけど、身内PCに青龍×3の少年剣士がいたので器用貧乏のコンセプトはそのままにクラスチェンジ。

朱雀/白虎/玄武で、青龍キャラをライバル視している侍の少年、というデザイン。孫悟空に対するクリリン、炭治郎に対する善逸、といった、主人公格にジェラシーを燃やすPCとして、結構やかましくツッコミを入れるいいキャラに仕上がったんじゃないかしらん。

1.プリプレイ

今回のセッションでも、プリプレイの段階で各PCがほしいハンドアウトを選んでから、そのNPCを自分で作ってくるというレギュレーション。GMから出されたお題、グランドオープニングは以下のとおり。

『ライバル』率いる妖異によって魔界と化し弱肉強食の世界となった藩。そこから脱出してきた『ヒロイン』は妖異に呪われていた。英傑たちは義のため、『協力者』の指揮の元立ち上がる!
目指すは妖異に占拠された本丸!

今回は参加者から許可も得たので、記録がてら転載してみよう。

PC①の場合

真っ先にハンドアウトを選んだのは青龍×3の少年剣士。彼はPC①を真っ先に選び、ヒロインを下記のようにデザインした。

■ヒロイン
名前:月城 姫乃(つきしろ ひめの)

年齢:18歳 性別:女
カバー:姫 主なクラス:天下人/陰陽師 外見:気品ある出で立ち
性格:世間知らずで純真 夢や理想:妖異を倒したい(藩を取り戻したい的な)
PCへの感情:好意(助けてくれた相手に的な)
設定:有阿藩の藩主の娘。幼い頃から仏教風水術や占いに興味をもつ文化的な娘だった。
そんな大人しい娘だった故に、賢いながらも若干の世間知らずさと、両親から大切に育てられた故の純真さを持ち、真面目故に危なっかしい一面も持つ。
 今回の「ライバル」の起こした事件により、「徐々に言葉が発せなくなる呪い」を受けている。
自らが助けすら求めれなくなる前に、英傑と呼ばれる存在を見つけ、協力し、藩を取り戻す事を夢見ている。

……説明がいるな。
有阿藩(ありあはん)というのは、今回のシナリオの舞台、某国の小藩だ。おれのPCが器用貧乏からの「佐丸 酉暁(さまる とりあき)」だったから、という何のつながりも無いところで繋がったアレだ。

今回はGMが、「仏教風水術」や「徐々に言葉が離せなくなる呪い」なんかを綺麗に拾ってくれた形になったのが印象的だった。

というか、「徐々に話せなくなる」の発露として、有阿藩に入った英傑たちが見たものは「ここは ありあはん の まち だよ」のような言葉しか話せなくなっている民だった……! というネタにしか思えない展開がネタの形をした伏線だったのはウマかったなぁ……!

PC①の剣士の真っ直ぐさ、それを活かすためのヒロインとしての造形と「徐々に喋れなくなる」という状況のシナリオ的な”やりやすさ”なんかを意識した良いヒロインだった。

PC②の場合

二番手はPC②を選択し、作成するNPCはライバル枠。
このPCは他のPCが18の少年である中で、ひとりだけ一回り年上の役回り。それも若き日の全能感のままに人を喪い、今はすっかり陰キャになっちゃった陰陽師。このキャラクター選択だけで、PC①との対比が際立つというものである。更に投入してきたNPCは下記の通り。

■ライバル
名前:黒澤主税(くろざわ もんど)

カバー:代官
主なクラス:鬼
外見:目がギラギラとした野心家
性格:血に飢えた獣
夢や理想:この世を魔界に変える
PCへの感情:優越感
設定:元々は別の藩で代官としての地位を利用して圧政を行っていた人物。妖異に憑かれその悪行が天下に知れることとなり、英傑(PC②含む)達に倒されたが「まだだ、まだ足りぬ…」と黄泉還り、有阿藩にて代官にとって代わりやがて藩を巻き込み魔界に沈め、ゆくゆくはこの日ノ本を魔界に沈める!!と意気込む悪鬼。

ここに持ってきて更にひとつ、自分の不始末(倒したはずの羅刹が鬼になって復活…不可抗力だけどね?)を持ってくるあたり、なかなかのマゾヒストっぷりである。PLは普段Sっぽいところがある猫系な方なので、ある意味自分のPCだからと思う存分サンドバックにした疑惑さえある。

鬼として蘇った経緯としてGMが天草四郎を設定してくれたことも大きかった。これのお陰で、「少年PCたちとは少し上位レイヤーで戦っている先輩ファイター」的な枠が強化されたからだ。GMおみごと。

PC③の場合

最後に残ったのがPC③の協力者枠。今回はおれが担当した。
先に書いたとおり、PC③はPC①の青龍×3少年剣士を一方的にライバル視しているような相方枠。となれば、PC①のヒロインにちなんだNPCを出して絡みを演出するのが良かろう、とか思っていた所に、時代劇のお約束的な展開が閃く。やつしもの、ここはやつしものしかない!

■協力者
名前:”独眼鬼”雄駕(どくがんき・ゆうが)

年齢:21歳 性別:男
カバー:無頼漢 主なクラス:渡世人 外見:熊の毛皮をまとった傾奇者
性格:シニカルで偽悪的 夢や理想:妖異を倒したい(藩を取り戻したい的な)
PCへの感情:有為(切り札とも考えている)

設定
弱肉強食の世界となった有阿藩で黒澤らに次ぐ武装集団"荒風狩土(あれふがるど)"を率いる頭領。その過去を知る者はいない。
片目を眼帯で隠し、熊の毛皮のしたに金糸であしらった絹の衣服を着るという傾奇者の出で立ちで、その剣技は達人級。
突如無宿人や渡世人たちの世界へと現れ、またたく間に彼らをまとめ上げた、武力だけでなく、不思議な魅力を持つ男である。有阿藩へと訪れた英傑のひとりを囚え(佐丸である)、自らの陣営に協力させようとする中、他のPC(特に月乃姫)を保護するなどして一気に黒澤打倒へと動く。その正体は、幼い頃に業病により片目を失い、大切に扱われながらも疎まれる中で荒れ、有阿藩を出奔した月乃姫の兄、賀勇丸(幼名のまま家を出た)である。

ちょっと主人公分が強いので、出奔時代の悪行によりまとった”業”を黒澤に付かれるとか、月乃姫の呪いの一部を受けるとかで退場させるのが良いと思われ。

……という、ヒロインの兄にしてダークヒーローな感じのキャラクターをセッティング。PC③の弱さと言うか下に行く成分も補強できるって塩梅だ。「荒風狩土」はちょっと遊びすぎたけどね。アリアハンだしアンダーグラウンドにはアレフガルドがあってもしかたないよね。

という3人のPC・3人のNPCにてGMも「今回はNPCだけでシナリオはだいたいできたようなものだった」と言ってくれたのが印象的。最終的な今回予告はこんな感じになった。

黄泉還りし鬼たる『黒澤主税』率いる妖異によって魔界と化し弱肉強食の世界となった有阿藩。そこから脱出してきた有阿藩の藩主の娘『月城姫乃』は妖異に呪われていた。英傑たちは義のため、武装集団"荒風狩土(あれふがるど)"を率いる頭領『”独眼鬼”雄駕』の指揮の元立ち上がる!
目指すは妖異に占拠された本丸!

確かに、慣れたGMならここまでのセッティングだけでいろんなシナリオを作っていけそうだ。高まる機運、持ち上がる期待!

2.メインプレイ

シナリオクラフトのキモは(多くのシナリオでも実際そうだけど)最初のセッティングでほとんどが決まる。

メインプレイについては記憶に残った部分、セッション後に話題になった部分ダイジェストでの紹介にしていこう。

①ボコられスタートのPC③

のっけから自分語りですまない。
囚われている状態からスタートということもあり、縛られ、顔面が腫れ上がった状態からのフレームイン。周りには強面の男どもと、正面からどこか面白そうにそれを見下ろす”独眼鬼”……。

セッションを通じて、今後も使っていきたいPCになった佐丸酉暁、いきなりヒドい絵面からのスタートであった。もちろんお願いしたのはおれ。

「一族再興を果たせぬまま死にたくない! なんでもする! ……いやお地蔵様に顔向けできる範囲で!」みたいな情けないプレイも慣れるとたのしい。

……考えてみたら、自分でデザインしたNPCなんだからOP演出の安心感が違う、ってのもあるかもしれない。何でもさらけ出せる実家のような安心感である。

②天王山・ミドル第2シーン

天下繚乱に限らず、シナリオクラフトにはエネミーチャートというものがある。今回のシナリオクラフトで選択したストーリーパターンテンプレートでは、領内に入ったPCが敵勢力に襲われるところが用意されていて、ミドルフェイズに入ったなりに戦闘開始、とあいなるわけだ。

ところが。このエネミーチャート、PCの平均レベルを元にちょっと強い敵がでたりすることもある。今回の平均レベルは4。でてきたエネミーのレベルは6で数はPCと同数!!

天下繚乱のGMセクションにあるように、PCと同レベル・同数がミドル戦闘ではいいバランスとされている。ついでにいうと天下繚乱、新版になって妙にエネミーが強めに調整されてる感がある(PCの【HP】も増えているんだけどね)。

データを参照しているGMも苦笑いしつつ、”独眼鬼”さんが1体受け持ってくれた。やったね! これがシナリオクラフトってやつだ!
※まぁ、あらゆるチャート類はRoCなんだけど

③このPC①めぇぇぇ!!

自キャラがたりが多めになるのは勘弁な。
PC①の青龍×3少年剣士とはコネクションを結んでおり、これまでも一方的ライバル視していたという設定。先の激戦のあと、セッション内での合流を果たしたおれたちPCたちは、逃れてきた姫を匿っている場所でお互いに事情を話すことにした。そして。

佐丸「この主人公めぇぇ! なんでおれは山賊の頭領で、お前は姫なんだよぉぉぉ!!」

まぁこの辺で自分のPCの行く末と言うかキャラがストンと固まった気がするね! そしてそのまま殴り飛ばされてくれたPC①くんありがとう。パシィと受け止めて関節を極めつつ「ごめんね、強くてさ」みたいな展開にしないでくれてありがとう。

④”独眼鬼”退場す

自分で書いてたとおり、こいつちょっとカッコよすぎンだわ。

なのでどこかいいタイミングで退場してほしい、ってのはGMも含めPLさえも望んでいたところだったんだけど、今回はGMの自然な伏線回収が光った。

なんでこんなに強いのにPCを抱き込もうとしたの?っていうのが、かつて妹が持たしてくれていた護符による時限的なもので、あとはPCたち英傑に託すしかなかったという流れ。妹の設定で陰陽術・風水術を修めていたっていうのがあったのを見事に回収したというわけだ。

もう一つのミドル戦闘を終え、逃していたはずの兄妹に追いついたシーンで、倒れ伏す”独眼鬼”とそれにすがりつく月乃姫、哄笑を上げる黒沢主税!というNPC揃い踏みの良いシーンが演出されたと思う。

おれ「柱が倒されて上弦の月が待ってたみたいな絶望した顔で見てます」

ボスキャラ、黄泉還った鬼だしね。こういったウロチョロした感じを細かに出していくことに終始していた気がする今回w

⑤不死身の妖異なんているわけないんだ!

さすがは青龍レクトス。主人公っツラしてると脳筋ゼリフもカッコよく聞こえてズルい。その傍らで「PC②を食いたいって言うんだから毒でも飲んでから食われたら?」とか言っていた我がPCには永久に追いつくことができない存在なのだろう。

で。

最後にボスのHPをゼロにして、GMから「演出どうぞ」と言われたとき、たまたま同一エンゲージにいた佐丸は、手持ちの薙刀と小筒でボスの亡骸を滅多打ちにして「蘇れまいー!」って息が切れて動けなくなるまで死体アタックの嵐。

そこに駆け寄ってきた青龍×3の少年剣士、一太刀で鬼の首を撥ね、見事に地獄から黄泉帰った鬼を討つ。首だけと成った鬼は恨み言を吐いて消滅していく……。

我がPCには永久に追いつく事ができない存在なのだろう。そもそも重要なのは最後の一撃を放ったのはあくまでPC①の方なので、マナー悪く滅多打ちを仕掛けたのはおれの方なのである。横入りさせてくれてありがとう。

まぁ、首を撥ねるまでの間攻撃を続けて復活を遅らせていた、と良い方に解釈できなくもない。それは良い解釈だ。 だが、おれはここで(何回目かの)魔が差した。

PC①によって首を撥ねられ、恨み言を吐いて消え去った鬼。破邪のひと太刀を放って残心するPC①(ライバル視してる)の肩に手をやって「よせ、もう消滅してる」

いやはや、ウケたのなんのって。「どの面下げて」ってのが見事にハマった瞬間だった。

おかげで、セッション後の感想戦では「ハンドリングすげえ難しいキャラだよな!」って言われたよ。ピーキーすぎて常人には扱えないΖガンダムみたいだ、っていうことであろう。おれの力をみんなに貸すぞ!

3.さいごに

と言った塩梅で、雑然と書き連ねた天下繚乱のシナリオクラフト。今回は事前のPCエントリー、そこからのNPC設定の段階でかなり横綱相撲を取れた感がある。

途中で書いてたが、自分で作ったNPCだからこその安心感はスタートダッシュの足がかりとしてかなり強い地盤となる。
もちろん、GM側があっと驚く真相を用意するにしても、驚きやすくなる先入観として機能するわけだ。

ダブルクロスなどでも遊べる方法なので、これ読んだ方は自身の卓で一度遊んでみることをオススメする。

それでは、良いセッションを!

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