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【WSET diploma対策】JSAとWSETの学習に対する姿勢の大きな違い

JSAとWSETの学習に対する姿勢の大きな違い

日本人でWSETを学習される方の多くは、JSA(日本ソムリエ協会)の資格を取得していると思います。それゆえ、WSETの学習を始めた時に、JSAとのアプローチ方法が違うことに戸惑われるのではないかと思います。

JSAの知識の勉強

知識の面に関しては、教本の他に、多くの問題集があり、勉強方法は決まってます。つまり、膨大な量かも知れませんが、勉強のベクトル自体は決まっています。あとは、どれだけ勉強するか(ベクトルの長さを伸ばしていくか)で、ゴールにたどり着けるかが決まります。

WSETの知識の勉強

WSETでの勉強では、セオリーの始めようと思っても途方に暮れる人が多いです。教科書はありますし、試験は教科書の内容からしか出ません。しかし、問題集もありません。つまり、勉強をどうやってやるかすら自分で考えなければいけないのです。勉強のベクトルを自分で考え、さらに、ベクトルをどうやって伸ばしていくか、両方が問われている試験と言えます。

僕は大学教員で、医学教育専門家という、医学教育に特化した仕事をしています。そういった人間からすると、WSETの勉強というのは成人学習の非常によいお手本です。学修目標がきちんと設定され、シラバスも完備されています。自分で勉強方法を考えるということ自体に、とてもわくわくしてしまうのです。ちょっと、変態ですね。

WSETはきちんとした教育機関

教育の専門家からしてみると、WSET diplomaは、きちんとした教育プログラムであると言えます。

まず、教科書は非常に高いレベルです。単に網羅するだけでなく、主なAOCのみを扱い、産地の特徴と、栽培や醸造とワインのスタイルがロジカルに結びついています。どのワイン書籍よりも優れていると思います。

テイスティングに関しては、SATというテイスティングメソッドがあり、授業内でSATを使って繰り返しトレーニングをしてくれますので、しっかりとしたテイスティングメソッドが身につきます。これもWSETの素晴らしい点です。

WSETでは、学習のためにはきちんとしたシラバスがあり、何を学べばいいか、試験ではどこの範囲がどの割合で出るかがきちんと書かれています。WSET level 4では、学習のためのガイドブックも丁寧に作られています。

欧米の教育機関では、試験をやる場合には、それに対するFeedbackをすること、異議申請制度をつくることが必ず求められます。WSET diplomaでは毎回の試験に対して、Examiner's Reportを出して、過去問を公開(してないユニットもあります)し、合格率や各問題の趣旨や、受験生の回答に対する総評を公開しています。また、異議申し立て申請制度があり、お金はかかりますが、試験結果に納得がいかない場合には、再採点を要求することができます。

一方、JSAは、、、

一方、JSAはというと、教本を毎年改訂すること、試験をCBT化していることは評価できますが、テイスティングに関しては、勝手に勉強しろ。選択肢は毎年変わるなど、試験としてはあり得ない仕組みですね。当然ながら、得点開示や異議申し立ての制度はありません。教育機関ではなく、業界団体なので、仕方がないのかも知れませんが。

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