【WSET diploma対策】D3試験Examiners' Reportの分析
D3はあまりに膨大ゆえ、どんな勉強をしていけばいいのか、ちょっとわからず、まずは、Examiner's Reportをしっかり読み込むことをしました。
Examiners' ReportでD3の過去問が公開されている
Examiners' Reportは、過去の試験の合格率、どのような問題が出ていて、その出題意図や、受験生全体へのFeedback(どういう答案は高い点数が取れて、どういう答案は低い点数になった)が書いてあり、試験を受ける人にとっては必須のアイテムです。
過去問に関しては、公開レベルが試験によって異なっています。D1に関しては、出題内容に関しては言及されておらず、合格率のみが公開されています。D1の問題は同じ問題を使い回しているので、公開していないポリシーであると書かれています。
D4とD5については、おおよそ、どんな問題が出ているかについては書かれているものの、曖昧な表現となっていて、ぼんやりとしたものしか見えてきません。ちなみに、D4とD5のTastingアイテムについては、完全に公開されています。
一方、D3に関してはセオリーもTastingアイテムも過去問が完全に公開されています。したがって、D3に関しては、過去問をしっかり分析して、勉強の方針を立てることは必須であると思われます。
D3の過去問例
2022年5月の問題は以下の通りです。
見ていただければわかるように、広範な範囲に、深く正確な知識が求められています。教科書のあそこを書けば良いというアプローチではなく、教科書のあちこちから知識を寄せ集めて、D1やD2の知識も加味して、質問にしっかり解答する必要があります。
1問あたり、英語でA4用紙最低2枚以上ぎっしり解答を書くというのですから、大変ですね。テキストを1周読み終わっただけの現在の自分では、おそらく10点くらいしかとれません。
D3のExaminers' Reportを読んでわかったこと
D3の過去の出題について、2019年からのExaminers' Reportをすべてを読み直してみました。結論は、幅広い範囲でかなり深い知識と記述力が求められているということです。具体的に書きます。
・広範な範囲に、深く正確な知識が求められている。教科書のあそこに書いてあったことを書けば良いという問題はなく、教科書のあちこちから知識を寄せ集めて、質問にしっかり解答する形で書く必要がある。
・その地域のワインについて、気候、栽培、醸造、法、ビジネスとD1, D2の要素がたっぷり問われている。特に、ビジネスの配点はかなり高い。
・平均的な字の大きさで、A4 2〜3枚以上書くことを要求されている。2枚以下では合格点はとれないと明言されている。
・過去に出された問題と似たような問題は出ていない。むしろ、避けているように思える。2019年から2022年までは、同じ地域すら出ていない。逆に考えれば、過去に出題された地域以外が出題される可能性が高いのかもしれない。ボジョレー、北ローヌ、南フランス、モーゼル、ニューヨークがまだ出題されていない。
・7題のうち、1-2題程度、複数地域にまたがる問題(品種についての問題が多いが、ロゼや甘口と言った製法に特化したものも)が出ている。たとえば、Central Otago, Mornington Peninsula, Côte ChalonnaisのPinot Noirについて問う問題。品種問題も、これまで、同じ品種が繰り返し問われたことはない。
・標高などを正しく覚えていないのであれば、間違えた標高を書くよりは、標高が高いという表現にとどめた方が、試験官の印象はよいと書いてあるが、アイスワインの収穫時の温度や、ミュスカデのシュールリーの澱との接触時間は正確に書くべきと言う指摘もある。できるだけ、数字も覚えた方がよい。AOCの収穫量規定を覚えるのはかなり難しいが。
・ギリシャの土着品種のミススペルが目立ったが、減点はしなかった。些細なスペルミスは見逃されるが、多発すると減点の対象になる。
・スパークリングや酒精強化には触れなくて良い(触れてももちろん減点にはならない)。
・生産者を挙げて適切に説明すると加点になる。
D3の勉強はどうするか
過去問をしっかりやっても、同じ問題が出ないので意味がないことがわかります。過去問で問われていることを別の地域(過去出題されていないものが重要)や、別の品種(過去出題されていないものが重要)にあてはめて、自分で問題を作って解いていくしかないというのが今のところの結論です。
Examiners' ReportのFeedbackを見てみれば、かなり深く正確な知識が求められています。Diplomaはまとめみたいなものは作らないでここまで勉強してきましたが、そういうものを作らなければ対応できないような気がしてきました。
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