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日本全国写真紀行

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取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
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2024年4月の記事一覧

【日本全国写真紀行】 58 愛媛県松山市三津

愛媛県松山市三津 500年続く渡し船に見る、港町三津浜のふところ深さ 松山市には、堀江港、和気港、高浜港など多くの港があるが、中で最も古くから開かれ、明治維新まで松山の海の玄関口としての役割を果たしてきたのが三津浜港である。町には明治・大正時代の商家、銀行、医院などの西洋風建築や富豪の邸宅などが数多く残っていて、豊かで華やかなりし往時の面影を今にとどめている。  かつて夏目漱石が、中学教師として松山に赴任した際に上陸したのも三津浜港で、『坊っちゃん』の舞台にもなっている。漱

【日本全国写真紀行】 57 愛媛県今治市小島

愛媛県今治市小島 日露戦争に備えた「芸予要塞」が当時のままに残る島小島は、今治市の来島海峡に浮かぶ、周囲4キロほどの文字通り小さな島である。今治の波止浜港から船で10分、船旅を楽しむほどの時間はなく、あっという間に到着する。1日10便運行しているそうだが、この日の乗客は我々4人と郵便局の職員2人のみ。帰りも同じ人数だった。  ここ小島には、日本が日露戦争に備えて、ロシア海軍の進攻を防ぐために築いた要塞が当時のまま残っている。「芸予要塞」と呼ばれるこの施設は、明治22年から2