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日本全国写真紀行

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取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
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2023年4月の記事一覧

【日本全国写真紀行】42 佐賀県佐賀市富士町上無津呂

佐賀県佐賀市富士町上無津呂 山村の素朴な暮らしと静かな時間 佐賀市富士町の上無津呂という山村に、県内最古の民家があるというので行ってみた。「吉村家住宅」というのがその民家である。一見して、その豪壮な佇まいに経てきた年月の重みを感じた。かつてこの家を増改築しようとした際、天明九(1789)年建立という墨書が発見され、県内最古という称号を授かることになったという。  実際に中に入ってみた。木造平屋建て、茅葺の寄棟造り、かまどや囲炉裏がある。棟が一直線になった直すぐ家や 形式が珍

【日本全国写真紀行】41 佐賀県唐津市呼子町

佐賀県唐津市呼子町 イカと朝市でにぎわう風情ある漁師町 佐賀県北部、玄界灘に突き出した東松浦半島のほぼ突端にあるのが呼子町である。深い入江にある呼子港を抱えており、町はこの港とともに歴史を重ねてきた。  呼子港は、半島の北側に横たわる加部島が玄界灘の荒波を防ぐため、古くから天然の良港として知られてきた。江戸時代中頃には、捕鯨の基地としても栄え、鯨で財をなした商家の建物が今も残っている。捕鯨の他にも、アワビ、サザエなどの近海ものもよく獲れ、江戸時代後期には、干しナマコ、アワビ

【日本全国写真紀行】40 宮城県気仙沼市唐桑町鮪立

宮城県気仙沼市唐桑町鮪立 南三陸の景勝地にある小さな漁村 宮城県の地図を見ると、北東端に太平洋に少し突き出た小さな半島を見つけることができる。古くから南三陸地方の絶景の地として知られる唐桑半島である。    三方が海に臨む半島は、周囲約50km、リアス式海岸特有の複雑な入江と豪壮な岩壁が多くの観光客を魅了してきた。中でも半島の東側、巨釜や半造といった地域には連続する奇岩があり、唐桑を代表する奇勝として知られている。  これら観光客に人気の東側に対して、半島の西側には島の人々