マガジンのカバー画像

日本全国写真紀行

59
取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

【日本全国写真紀行】22 栃木県那須郡那珂川町小砂

栃木県那須郡那珂川町小砂森と樹々と水田と素朴な焼き物、郷愁をそそる美しい村栃木県の北東、那珂川町の北部に位置する小砂地区は、本当に美しい村である。人口は約800人。総面積の64パーセントが森林で覆われた山間の村で、八つの小さな集落で構成されている。 とにかく絵になる風景が連続している村で、各集落を包む緑の濃淡がひたすら美しく、それが水田に光り輝きながら映る光景は、心のどこかに潜んでいる郷愁を呼び起こすのだろうか、いつまで見ていても見飽きない。日本の山里は、やはりどこの国よりも

【日本全国写真紀行】21 茨城県常陸太田市

茨城県常陸太田市 七つの坂と路地を楽しむぶらり歩きの街茨城県北部にある常陸太田市に、鯨の形状をした丘がある。かつて、この地を支配した戦国大名佐竹氏はこの丘に町をつくり、太田城の城下町をつくりあげていった。 その後、江戸時代に佐竹氏が秋田へ国替えになると、城は廃城となり、当然のことながら城下町も廃れていくかと思われた。ところが、その町は水戸と福島の棚倉を結ぶ棚倉街道がとおり、さらに水戸や那珂湊へ送る物資の集積地だったため、商家が林立する商家街に生まれ変わっていった。それが鯨ヶ

【日本全国写真紀行】20 三重県亀山市

三重県亀山市 「さびしき城下町」という別称をもつ六万石の城下町 江戸時代、11代126年間続いた石川氏の城下町として歴史を重ねた亀山。天正十八年に築城された亀山城は三層の天守閣をもち、その優雅な姿が蝶の舞に似ていたことから粉蝶城とも呼ばれていた。多聞櫓や石垣の一部がわずかながら今も残っている。  譜代大名六万石の城下町であった亀山だが、“市中はまったくにぎわいなし”と伝えられている。宿の規模が小さいこともあるが、それよりもこの宿が徳川将軍の宿泊所として使われていたことが大き