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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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#こしあん

「全国最中図鑑」73 関あじ・関さば最中(大分県大分市)

瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかりあう豊後水道の佐賀関で、一本釣りにより獲れるマアジ、マサバのことを「関あじ」「関さば」と呼ぶ。よく肥えているがきゅっとした身で、ぷりぷりとした食感ととろけるような味わいが身上。味も姿も別格で、高級魚として重宝されている。関あじは7月〜8月、関さばは12月〜3月が旬だ。 その、大分県が全国に誇る関あじ関さばを最中に仕立てたのが、佐賀関で明治39年に創業した老舗「高橋水月堂」。「佐賀関ブランドとして、関あじ関さばの名を広めたい」という地域を挙げての

「全国最中図鑑」65 加賀鳶最中(石川県金沢市)

「加賀鳶」という言葉をご存じだろうか。享保3(1718)年、8代将軍吉宗が禄高一万石以上の藩に対し、江戸藩邸を守る大名火消しを設置するよう命じたのを受けて、加賀藩では江戸上屋敷の自衛消防隊を増強した。これが加賀鳶と言われる火消し集団である。 加賀鳶は勇猛果敢な活動と華麗な装備で評判になり、当時の浮世絵や歌舞伎の題材ともなり、いつの間にか大名火消しといえば加賀鳶のことを指すようになった。 その加賀鳶の派手な纏の紋様を最中に仕上げたのが、創業嘉永2年の老舗・諸江屋の「加賀鳶最中」

「全国最中図鑑」62 さざえ最中(千葉県南房総市)

南房総は美味しいサザエが獲れることで有名だ。房総沖は、北上する黒潮と南下する親潮が交じり合い、栄養豊かな海藻が豊富にある。それらをエサにして育った南房総のサザエは、身がふっくらしているだけでなく、肝までふっくらとして美味しいのが特徴と言われている。 そのサザエの貝殻をモチーフにした最中が、盛栄堂の「さざえ最中」。盛栄堂は南房総で100年以上、4代に渡って和菓子を作り続けてきた老舗で、「さざえ最中」は先代の3代目が考案したそうだ。サザエの形をした皮はコロンとしていてとても可愛く