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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2024年3月の記事一覧

「全国最中図鑑」72 二十二代 庄之助最中(東京都)

香川県出身の泉林八が二十二代 立行司「木村庄之助」を襲名したのは、昭和26年夏場所のことである。時はまさに大相撲黄金時代、栃錦と若乃花の両横綱が人気を二分し、毎日土俵は大盛り上がりだった。その人気絶頂の栃若戦を裁いた庄之助は、34年九州場所の千秋楽で引退。結びの一番も栃若戦だった。満69歳、21年間の立行司生活だった。 引退に際し庄之助は、記念に何か後世に残したいと考え、長男がやっていた須田町の菓子店で、行司の軍配団扇を形どった最中を「庄之助最中」という名で売り出すことを思い

「全国最中図鑑」71 出世葵(静岡県浜松市)

浜松の歴史に魅了され、ほとんどの商品に地元の歴史に関わる名前をつけているという「お菓子司あおい」。 浜松の歴史といえばやはり戦国時代。特に、徳川家康によって現在の浜松の原型が作られたことから、ここには家康にまつわる歴史エピソードが数多く残っている。家康はこの地に浜松城を建てて天下統一を成し遂げ、その後の徳川300年の礎を築いたことから、浜松城は別称「出世城」とも呼ばれる。 もなか「出世葵」は、その家康の出世にちなんだ縁起物のもなか。皮は石川県の厳選されたもち米を使用。あんは北