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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2024年1月の記事一覧

「全国最中図鑑」68 梨最中 華乃長十郎(富山県富山市)

富山県を東西に二分する呉羽山。その西側の麓にある丘陵地帯には、富山の夏の味覚の代表格「くれは梨」の畑が一面に広がっている。 この地で梨作りが始まったのは明治末期。その後、数々の試作を重ね、くれは梨の礎となる「長十郎」が本格的に栽培されるようになった。現在は長十郎だけでなく、甘くてみずみずしい「幸水」と「豊水」が主に栽培されている。 くれは製菓の「梨最中 華乃長十郎」は、もぎたての新鮮なくれは梨「幸水」を一週間かけてじっくり蜜漬けにして白あんに練り込み、梨の形を模した皮にたっぷ

「全国最中図鑑」67 御酒最中(石川県白山市)

石川県の白山市美川地区には、昔から「御酒節」という民謡が伝えられている。北前船で栄えた江戸時代、船主の家では毎年2月に仕事始めの起舟という行事が行われ、商売繁盛と安全操業を祈って全船員を集めて酒宴が催された。「御酒節」はその席で必ず唄われたという。 御酒という言葉は、「この御酒は(何某)御祝の御酒じゃもの、参れ参らにゃ御酒が無になる・・・」という歌詞からきている。 「御酒最中」は、この「御酒節」にちなんだ菓子で、地元で昭和21年に創業した和菓子の老舗・フタマサ御酒堂が考案した