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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2023年4月の記事一覧

「全国最中図鑑」50 柚もなか(和歌山県西牟婁郡)

昭和10年創業、地元和歌山県産の素材を生かした和菓子作りに定評のある老舗和菓子店・港屋の看板商品、柚もなか。 和歌山県南部を流れる日本屈指の清流「古座川」の最上流の地域は、朝晩は霧が立ち込め、日中は気温が上がる。そのせいで、ここで栽培されるゆずは特別に香りが良く、美味しいと言われている。 そのゆずの皮をミンチにして白あんに練り込んだゆずあんは、舌触りはねっとりとしているが、噛んでいるうちに口中にふんわりと風味が広がり、爽やかな食後感。たっぷりのゆずあんを包んだ皮はとても軽く、

「全国最中図鑑」49 「庚申最中(さる最中)」(大阪府大阪市)

大阪の四天王寺庚申堂の境内には、三猿堂というお堂がある。庚申信仰では猿が庚申尊の使いとされていて、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿の木彫りの像が祀られている。「病気に勝る」「魔も去る」との縁起をかついで痛みに効くとも言われ、また、庚申の日に願い事をすると成就するとも言われている。 大正13年から庚申堂前で営業している、日本初の甘納豆専門店「青山甘納豆」で、この逸話にちなんで作られたのが「庚申最中(さる最中)」。 砂糖控えめで素材本来の味を楽しめる甘納豆は絶品で、全国菓子大