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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2023年2月の記事一覧

「全国最中図鑑」46 まけずの鍔《つば》(滋賀県近江八幡市)

織田信長は、桶狭間の合戦に先立ち、熱田神宮で戦勝祈願をした。その時、神前に向かい「神様、願わくば我軍必勝を目に物見せ給え」と一握りの永楽通宝を空高く投げ上げた。すると通宝はすべてが表を向いて落ちた。信長は「あゝ有り難や、我軍勝てり」と勝利を確信したという。 この合戦に見事勝利した信長は、愛刀の鉄鍔にこの永楽通宝を嵌め込み、以後、連戦連勝を重ねた。後世の人々はこの鍔を「まけずの鍔」と呼び、現在は国の重要文化財となって安土城趾の摠見寺に安置されている。 信長が天下の名城・安土城を

「全国最中図鑑」45 くじらもなか(宮城県仙台市)

太古の昔より世界の大海を守ってきたといわれるクジラ。そのクジラを食することに関しては、近年各国で物議を醸している。昔から伝統的に大事なタンパク源として食べてきた日本と、反捕鯨運動が活発な欧米諸国等では、大きく考えが食い違っていて、なかなかお互いに理解し合うことは難しいようだ。 さてそのクジラ漁、日本では既に縄文時代からあったそうだが、長い間その活動は西日本沿岸に限られていた。本格的に三陸近海で行われるようになったのは日露戦争以後で、その後急速に発展し、やがて金華山沖は日本近海