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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2022年8月の記事一覧

「全国最中図鑑」34 音頭最中(山形県最上郡真室川町)

『真室川音頭』のルーツは、明治の頃北海道で流行した『ナット節(ぶし)』だそうである。それが宮城の漁港女川の漁民に伝わり唄われていたものを、真室川出身で当時女川で奉公していた近岡カナエという人が、昭和の初めに真室川に持ち帰り、創作を加えて唄った『山水音頭』が発展したものといわれている(ちなみに山水とは、カナエが働いていた真室川の料亭の名前である)。 当時の真室川は、鉱山の開発や軍用飛行場の建設などで全国からの労働者が集い、夜の街はとてもにぎやかだった。そこで盛んに唄われたのが『

「全国最中図鑑」33 古里もなか(佐賀県小城市)

「九州の小京都」と呼ばれる佐賀県の小城町はまた、羊羹の町でもある。 佐賀では昔から良質の小豆が採れ、長崎街道もほど近いため、貴重品だった砂糖も比較的手に入りやすかったことから、明治初期に「小城羊羹」が誕生。戦後間もない最盛期には、町は50軒を超える羊羹店がひしめき、大層賑わったそうだ。現在も小城町には19軒の羊羹店が営業している。 側が砂糖で硬くなり、中は柔らかい昔ながらの手作り羊羹は、口に入れるとシャリシャリとした懐かしい歯ざわりで、今も全国にファンのいる名物羊羹である。