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100キロ走れた私がALSになり老人ホームに入るまで #1

 快食快便快眠、病気知らずの43歳。それが当時の私だった。有り余る体力は数年前から始めたマラソンにストンとハマり、平日は出勤前にランニング、休日は知らない道を探検しながら数十キロ走った。家族で出かける時も夫と小学生の息子は車に乗り、私は走って現地に向かった。ひとり黙々と走る時間は自由で楽しかったし、走り終えた後のビールは至福だった。ハーフマラソンやフルマラソン、さらに100キロマラソンも走るようになり、そのための練習に没頭していた。そんな私の体にちょっとした異変が訪れた。

発症

 最初は少し舌足らずになった程度だった。噛み合わせが悪くなったのかと思い歯科受診。特に問題は見当たらないが口腔外科なら何かわかるかもしれないと紹介状をいただいた。
 次に行った総合病院では一日のうちに口腔外科→耳鼻咽喉科→脳神経外科へと回されたがどこにも異常は見つからず、脳神経外科の医師にこう言われた。
「ほかに考えられるのは神経の病気ですが、これは神経内科で診てもらう必要があります。紹介状を書きますので神経内科のある病院へ行ってください」
 神経内科と脳神経外科の違いもよくわからない私は、なんだか大げさになってきたなぁと呑気に考えていた。

#2へつづく

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