見出し画像

展覧会の絵

ウォーターディープのある貴族が絵画の展覧会を開催する運びになり、数ある名画に混じり有名な6枚の名画が展示されることになった。各々は『モナ・リスコル』、『落星海の夜』、『終末の裁定』、『不死の主の晩餐』、『バルダーズ・ゲートの衛兵』、『マーゴームの炎上』の6枚である。
それなりに腕が立ち、貴族との繋がりも出来つつあるキャラクターたちはセキュリティチームとして雇われることとなる。

背景
展示会は貴族の芸術品お披露目会として広く開催されており、来客者の中心は貴族と、貴族に近付きたい商人たち。
初日、みすぼらしい老人が来客として来ており、周囲を見回しては「ここにいる連中は芸術をこれっぽっちも理解しておらんわ」とせせり笑い、セキュリティガードたちに会場から追い出されるハプニングが起きる。
展示も7日目になると客足も落ち着き。帳簿によると現在の客は15名程度。
これら絵画はどれも有名なもので、作者は死後数百年経っている。キャラクターたちの誰しもが絵画の存在を知っているが、詳細に関するものとなると、難易度15の【知力】〈歴史〉判定に成功しなければならない。成功すれば、各々の絵画の詳細がわかる。
各々の絵のタイトルとイメージ、解説は以下のとおり。

▶レナード・ウィンチ画『モナ・リスコル』
モナ・リスコルと呼ばれる貴族の女性が微笑む肖像画が描かれている。その微笑みは“謎の微笑”と呼ばれており、見るもの全てを魅了している。

▶ヴィーゼル・ヴァン・ゴシューヴ画『落星海の夜』
ソードコーストから遥か東に進んだところにある落星海を描いた絵画。
この絵画は、ゴシューヴが精神的な苦悩の中で描いた作品の1つであり、彼の内面的な情熱と外界への感受性が反映されている。

▶マイケル・ブオロナー画『終末の裁定』
善と悪の両方を裁く重大な場面が描かれており、セレスティアルとフィーンドが争いを繰り広げる姿が描かれている。
救世主の誕生と、救いが描かれた絵だといわれている。

▶レナード・ウィンチ画『不死の主の晩餐』
不死の主の邸宅で行われる晩餐の場面を描いている。
不死の主とその配下の不死者たちは、不気味な雰囲気の中で晩餐を楽しんでおり、不穏な空気が醸し出されている。

▶ハルメンソン・ファン・ライト画『バルダーズ・ゲートの衛兵』
バルダーズ・ゲートの街の番人たちを描いている。彼らは暗い街を守り、闇の中で不審な活動に注意を払っている。
光と陰を巧みに使った絵画として有名。

▶パブロ・ルイス画『マーゴームの炎上』
この絵画は、マーゴームがドラゴンの怒りによって炎上する様子を描いている。
ドラゴンは町を破壊し、炎と煙が上がる中、人々が絶望的な姿で逃げ惑っている様子が描かれている。

展示会にて
上品な婦人がキャラクターのひとりに「これは、どういうモチーフの絵なのかしら?」と話し掛けて来る。
婦人は30代半ばで、『モナ・リスコル』の絵画についての説明をキャラクターたちに求めて来る。そして、「芸術は素敵だわ。わたくしもこんな素敵な絵画に囲まれた生活がしてみたいものです」と言って上品に笑う。

絵画に呑まれる人々
突然、「キャー!」という悲鳴が聞こえ、キャラクターが特別展示場に駆け付けると、裕福そうな商人の男性が「妻が絵に飲み込まれた!」と訴える。絵画に呑まれたと訴える男性は、嘘を吐いていない。ただキャラクターたちの誰もその現場を目撃していない。
やがて特別展示場に集まった客から再び悲鳴が挙がり、キャラクターたちは次々に絵画へと来客が飲み込まれていく様を目撃する。
来客者を助けようとしたキャラクターは、一緒に絵画に飲み込まれてしまうし、放っておいても、やがて絵画から様々な色が混ざりあったような、薄汚れた茶色とも濃い緑色ともつかない絵の具が染み出し、展覧会場にいるすべてのクリーチャーを飲み込んでしまう。絵の具は切りつけても手応えがなく、魔法を使っても怯むことはない。
やがて絵の具は会場の外にも染み出し、会場外で来客対応をしていたキャラクターも飲み込まれてしまう。
会場外のキャラクターが持ち場を離れ、衛兵などを呼んだ場合、駆け付けた衛兵共々、キャラクターは絵の具に襲われて飲み込まれてしまう。

モナ・リスコルの世界
気付くと、キャラクターたちは長閑な田舎の郊外に建つ、一軒の豪勢な屋敷の前に寝転がっていることに気付く。
飲み込まれた順により気が付く順番に差はあるだろうが、キャラクターたち全員が同じ場所で目覚める。
時刻は大体17時頃で、季節は秋に差し掛かろうとしている頃合いだろうか? もし、事前にDMが設定したソードコーストでの季節や時間と差異が存在する場合、キャラクターたちにその旨を伝えよ。また、絵の具に飲み込まれたはずなのに特に身体や服、鎧に汚れが付いていない旨も伝えると良い。

モナ・リスコルの世界は遥か遠方まで荘園が広がる長閑な光景だが、キャラクターたちが館を無視して探索を開始した場合、およそ1kmも進んだ辺りで見えない壁に突き当たる。キャラクターたちが近所の農園に働く人々に声を掛けても、農民たちはキャラクターたちを一瞥するだけで、あとは忙しそうに仕事へと戻っていく。
キャラクターたちが館の探索を行う場合、受動〈知覚〉が14以上のキャラクターは入口近くの立派な木のひとつに、不思議なマークがナイフか何かで刻まれているのを発見する。
なお、これに魔法的な効果などは一切掛かっていない。その場で幾ら調べても答えになるようなものは発見できず、無駄に時間を浪費するだけである。


館の方を見ると、先程「妻が絵画に飲み込まれた!」と訴えた裕福そうな商人が、酷く立腹しながら「何だ、ここは!? ここが絵画の中の世界だということは判っているんだ。はやく私をウォーターディープに帰せ!」と言いながら館の中に入っていくところを目撃する。
扉へと向かうと、扉には鍵が掛かっておらず、ノックをすると使用人と思しき女性が出てきて、「まあ、皆様お揃いで。お待ちしておりましたわ。館の主人も皆様のお着きを心待ちにしておりましたのよ」と言い、中に招き入れる。
その女性は先程キャラクターに絵の来歴を訊いた婦人であるが、婦人にその話をしても、一向に要領を得ない様子で、「わたしは15年も前からこちらに住み込みで働かせて戴いておりますのよ。多分人違いではないかしら?」などと答える。
場所を問われると、女性は不思議そうに「ここはエルターガルドのトリエルからほど近い荘園地帯です。素敵な場所ですわよね、まるで“絵画の中にいるみたい”ですわ」と答える。周囲1km以上から出られない旨を告げると、婦人は「面白いことを仰有るお客様ですわね」と笑う。
婦人は「今、別のお客様がいらしたばかりですので、少々お待ちになって下さいまし」と言い、客間控室で待つように伝える。
すると、1分もしないうちに客間の扉が開き、先程の裕福そうな商人の男が現れる。
彼は先程の様子とは打って変わって、たいへん満足した様子で、「いやあ、ここは素敵な場所だ」と言い、続けて「何故わたしはあんな……あんな、ところ? うん? 帰る? ここがわたしの家なのに?」と奇っ怪な顔をし、自問自答している。
それ以降、彼に何を説得してもウォーターディープのことは一切憶えていない。
すぐにキャラクターたちも客間に招き入れられる。リスコルは絵画のモナ・リスコルと同じように、柔らかな笑みを讃えた美しい女性である。キャラクターたちが彼女の客間に来ると、モナ・リスコルは「永遠の美とは何でしょう?」と質問して来る。キャラクターたちは様々な回答をするだろうが、最終的にモナ・リスコルがいうのは「永遠の美とは……わたしのことを指します」と言い、キャラクターたちに微笑みかける。ここでキャラクターたちは難易度8の【魅力】セーヴを行い、失敗すると魅了状態に陥ってしまう。この魅了状態は1ラウンド継続し、その都度【魅力】セーヴを行い、成功するまで魅了状態が解けることはない。セーヴ難易度は回数を重ねる度に1ずつ上昇する。
戦闘になった場合、以下のデータを使用するように。

モナ・リスコルが倒されると、絵の具が溶け出したように風景が歪みだす。それまで魅了状態にされていたキャラクターは全ての状態が回復するが、みな気を失ってしまう。気が付くと、キャラクターたちは全く見たことのない風景の中で目覚める。
どのような風景の中で目覚めるのか、1d4して決定せよ。

落星海の夜の世界
次にキャラクターたちが目覚めると、大休憩を取ったのと同じ効果を得ており、気を失っていたものは全員回復した状態に戻っている。そこは満天の星空と月、そしてそれを映し出す水面が見える場所にいた。難易度15の【知力】〈自然〉チェックに成功したキャラクターは、ここが落星海付近の海岸であるとわかる。

付近には小汚い建物があり、近づくと門には『スターマントル・アサイラム(精神病院)』の文字が書かれており、そこには先程見たのと同じ、不思議なマークが彫刻されている。既に消灯時間が過ぎたのか病棟から灯りは消えているが、中からは患者と思われる人々のうめき声が聞こえてくる。キャラクターたちがアサイラムを無視して探索を開始した場合、およそ1km進んだ辺りで見えない壁に突き当たる。
アサイラムに入ると、各キャラクターの人格的特徴などで設定した物事に対する幻覚が見えたり(死に別れた恋人が現れたり、棄ててきた子供が現れたり)、謎の声が聞こえたり(失われた望みや罪の意識など)する。DMはここでプレイヤーたちに存分にロールプレイの機会を与えると良いだろう。
やがてひとつの部屋に入ると、ひとりの患者が海を眺めながら一心不乱に筆を走らせているのを発見する。彼は落星海の夜の作者であるヴィーゼル・ヴァン・ゴシューヴ本人であり、絶望に満ちた顔をしている。
キャラクターたちが彼を害そうとすると、ヴィーゼルは忽然と姿を消し、それ以降現れなくなる。キャラクターたちは永遠の夜が続くこの世界で、幻覚や幻聴に悩まされ続けながら彷徨い続けるのだ……。
一方、キャラクターたちがヴィーゼルに話し掛けると、彼は自分の芸術に対する不安や、自己破壊的な傾向などを吐露する。
「おれの芸術は誰にも理解されないのではないか? 何かある度に、自らを傷付ける自傷行為に出てしまうのは何故なんだ? おれはこのアサイラムで一生を終え、誰からも忘れ去られてしまうのではないか?」そういった内容である。キャラクターたちはヴィーゼルのこうした心の苦しみに寄り添い、何らかの解決策を提示、提案することによってヴィーゼルの魂を慰撫する必要がある。彼は神を信仰しておらず、強いて言えば芸術にその神性を求めているようなタイプの芸術家だ。難易度13の【知力】〈歴史〉チェックに成功したキャラクターは、ヴィーゼルが落星海の夜を描き上げた晩に自殺したことを思い出す。
ヴィーゼルの魂が浄化されると、途端に周囲の風景は絵の具が溶け出したように歪み、キャラクターたちは気を失う。次に目覚めるとまた見たことのない風景の中にいる。
どこにいるのか、1d4して決定せよ。一度出た目は、無視して再度ロールするように。

終末の裁定の世界
次にキャラクターたちが目覚めると、大休憩を取ったのと同じ効果を得ており、気を失っていたものは全員回復した状態に戻っている。

目の前にはセレスティアルとフィーンドの両方に首枷をつけられ、目隠しをされ、両側から抑え込まれている男がいる。目隠しには例のマークが書かれている。
男はぶつぶつと呟いている。「これは善か、悪か。救世主よ、ああ、救世主よ…」
キャラクター達が近づくと、セレスティアルとフィーンドは首枷の鎖を絞り上げて男を責め立てる。
「善か!」「悪か!」「裁きを!」「裁きを!」
男は顔を上げると呼びかける。
「ああ、救世主様、救世主様、助けてください。教えてください」
キャラクター達が何か質問をしようとすると、セレスチャルとフィーンドが「問うな! 貴様が救世主ならば、裁定を下せ! そうでないならば、世界が終わるのをそこで見ておれ!」と二人していう。
「救世主様、裁きをください」
「真実が…不都合な真実が全てを傷つける時、その真実を隠すことは善なのでしょうか? 悪なのでしょうか?」
「例えば、皆が崇め奉る、至高の存在が本当のものでないと私だけが知っている時、それを言いつのって皆を絶望に叩き落すことは?」
セレスチャルに質問すると「慈善だ。正義だ。善なる行いならばすべきである。悪なる行いならするべきでない」と言うし、フィーンドに質問すると「報復だ。復讐だ。悪なる行いならばすべきである。善なる行いならするべきでない」という。
判断に悩む場合、難易度15の【判断力】ロールをすると、「前提が誤っている。状況によって答えはいかようにも変わる」と判るだろう。また、難易度15の【知識】〈宗教〉チェックに成功すると、「神学論争の鉄板ネタであるが、前提の状況によって解答は変わる。沈黙もしくは題材の否定が正しい解答」であると判る。

解答は「それ自体は善でも悪でもない。善意があるか、悪意があるかによるし、前後の立ち回りによります」で良い。
解答を出すと、世界が崩壊していき、男は満足そうな笑みを浮かべる。「そうか、それでよかったのか…」とつぶやく。

暴力で解決する場合、セレスチャル、フィーンドと戦闘になる。フィーンドとセレスチャルを同時に倒さないと片方が復活し、「善がある限り悪は滅びぬ」「悪がある限り善は不滅」と言って蘇る。両方を撃破すると「ああ、善も悪もない。これが終末か…」と言い、世界が崩壊していく。次に目覚めるとまた見たことのない風景の中にいる。
どこにいるのか、1d4して決定せよ。一度出た目は、無視して再度ロールするように。

不死の主の晩餐の世界
次にキャラクターたちが目覚めると、大休憩を取ったのと同じ効果を得ており、気を失っていたものは全員回復した状態に戻っている。そこは深夜のネヴァーウィンターだが、難易度12の【知力】〈歴史〉判定に成功しないと気付くことは出来ない。周囲1kmには見えない壁があり、それ以上進むことは出来ない。

キャラクターたちが目覚めたのは郊外にある一軒の寂れた、しかし豪勢な邸宅の前である。邸宅の前には墓地が広がっており、それらの墓標には先程見たのと同じマークが彫刻されている。
扉の前に立ったキャラクターは、難易度10の【判断力】〈知覚〉チェックに成功すると中から啜り泣くような声を耳にする。
邸宅に入ったキャラクターたちが目にするのは、天井から鎖で繋がれた20代の若い女性である。彼女はキャラクターたちを見掛ると、必死に助けを懇願する。【判断力】〈看破〉を試みるキャラクターもいるだろうが、彼女は嘘を吐いていないので何も判らない。
キャラクターたちが彼女を助ける場合、難易度12の【敏捷力】〈手先の早業〉でチェックし、成功する必要がある。助け出された女性は、「中に他にも人がいるの! 恋人が囚われているの! お願い、助けて!」と懇願する。
彼女の指示に従って館の二階に向かうと、その部屋ではヴァンパイアが待っており、背後で扉にかんぬきを掛けられる音が聞こえる。
ヴァンパイアは満足そうな笑みを浮かべ、「自分のためならば恋人でも平気な顔をして棄てる……いやはや、人間は実に醜い。わたしは人間でなくて本当に良かった」と言い放ち、戦闘になる。
もしキャラクターたちが彼女を助けない場合、彼女は必死に「助けて! お願い助けて!」と泣き喚く。最後には「お願い、わたしだけでも助けて!」と叫ぶと、背後の階段からゆったりとした拍手が聞こえる。
ヴァンパイアは「きみの恋人もおなじことを言っていたよ」と笑うと、「今夜はデザートが盛り沢山だ」と言い放ち、戦闘になる。

ヴァンパイアが倒されると、絵の具が滲むように背景がゆらぎ、キャラクターたちは気を失う。次に目覚めるとまた見たことのない風景の中にいる。
キャラクターたちがどこにいるのか1d4して決定せよ。一度出た目は、無視して再度ロールするように。

バルダーズ・ゲートの衛兵の世界
次にキャラクターたちが目覚めると、大休憩を取ったのと同じ効果を得ており、気を失っていたものは全員回復した状態に戻っている。見渡すとそこはバルダーズ・ゲートの街で、時間は23時過ぎ。周囲1kmには見えない壁があり、それ以上進むことは出来ないようだ。
キャラクターたちが現れた周囲には、燃える拳団(バルダーズ・ゲートの警備を担当している傭兵団)の集団がおり、何事か言い争っている。燃える拳団の持つ盾には、先程見たのと同じマークが描かれている。

彼らは団の中に裏切り者がいると揉めているが、誰もがそれっぽいことを言うので、誰も信用出来ない状態になっていると言う。
燃える拳団のメンバーとその詳細は以下の通り。

ヨハン:ヨハンは燃える拳団の古参メンバーであり、忠誠心が高い。彼は常に組織の利益を最優先し、他の隊員たちからの信頼を受けている。
エマ:エマは若手の隊員であり、活発な性格を持っている。彼女は燃える拳団内での地位を高めることに熱心であり、自分の野心を達成するために様々な手段を使うことをためらわない。
マルクス:マルクスは燃える拳団のリーダーであり、組織の指揮を執っている。彼は経験豊富で冷静沈着な性格を持ち、常に冷静な判断を下すことで知られている。
リサ:リサは燃える拳団のメンバーであり、情報収集や偵察活動を担当している。彼女は人なつっこい性格で、他の隊員たちとのコミュニケーションを大切にしている。
アンドレ:アンドレは燃える拳団の新人であり、まだ組織内での地位が低い。彼は真面目で勤勉な性格を持ち、組織に貢献することに熱心だ。

燃える拳団の5人は、次のような二つの発言をした。5人の発言は、いずれも一つが真実で、もう一つが嘘である。
それが判る理由としては、あるアーティファクトのおかげである。そのアーティファクトは真実を言えば赤いオーブが、嘘を吐けば青いオーブが各々光る嘘発見器のようなものだが、各々の発言に対して赤と青、両方のオーブが点灯する。つまり、全員が真実と嘘両方を言っている。
裏切り者は上記のうちの誰か。

▶ヨハン「わしは裏切り者ではない」「誰が裏切り者かは知らない」
▶エマ「私は裏切り者じゃないわ」「ヨハンが裏切り者よ」
▶マルクス「ぼくは裏切り者じゃない」「エマは裏切り者じゃない」
▶リサ「私は裏切り者ではない」「マルクスは裏切り者ではない」
▶アンドレ「おれは裏切り者じゃあない」「リサが裏切り者だ」

DM用補足情報(ヒント):ヨハンの『わしは裏切り者ではない』が嘘だとすると、ヨハンが裏切り者だということになる。すると、『裏切り者は知らない』というのはおかしいので、彼の言い分は『わしは裏切り者ではない』が真実であり、『裏切り者は知らない』というのは嘘になる。この様に、上からひとつずつ解決していけば答えは出る。なお、“裏切り者を知っている“ヨハンに拷問や脅しなどを掛けようとした場合、他の衛兵たちが止める。

最終的に、裏切り者はマルクスである。キャラクターたちが正しく裏切り者の数を見つけ出したら、風景がにじみキャラクターたちは気を失う。次に目覚めるとまた見たことのない風景の中にいる。
どこにいるのか、1d4して決定せよ。一度出た目は、無視して再度ロールするように。

もし全ての絵画世界の中に行った場合、以下のマーゴームの炎上の世界に行く。

マーゴームの炎上
次にキャラクターたちが目覚めると、大休憩を取ったのと同じ効果を得ており、気を失っていたものは全員回復した状態に戻っている。
キャラクターたちは蒸し暑い石造りの部屋で目覚める。外からは喧騒が聞こえ、部屋に一個しかない扉には先程見たのと同じマークがペンキで描かれている。
部屋には東西にふたつの窓と、北にひとつの扉、南の壁面には2階へと続く階段があり、窓は1フィートほどの高さ。
東の窓からは、隣の建物が業火に包まれている光景が見え、西の窓からも街が炎に包まれている様が確認出来る。

扉から外に出ようとするとドアノブは持てないほど熱くなっており、押戸の扉にも関わらず、何かが支えているように開かない。
この扉を開けるには難易度14の【筋力】〈運動〉チェックに成功する必要がある。
扉を開けると、そこには焼死体が累々と転がっており、皆少しでも安全な屋内に逃れようとした様子が見て取れる。
窓から外に出る場合、難易度13の【敏捷力】〈軽業〉に成功する必要があるが、部屋の中にある机や椅子などを使えばチェックの必要はない。
階段を使って2階に上がると、街を一望出来る。上空には何匹ものレッド・ドラゴンが舞い、空から容赦ない炎の雨を降らせている地獄のような光景を見ることが出来る。また、ガラス玉のような目で辺りをギョロギョロと見渡す、不思議なドラゴンが近くにいる!
キャラクターたちが建物から脱出すると、建物の外にはモザイクのドラゴンがいる。
モザイクのドラゴンのデータは以下の物を参考にせよ。

モザイクのドラゴンを倒すと、突如風景がにじみキャラクターたちは気を失う。次に目覚めると、客を含めた全員が展覧会場に戻っていた。元の世界に戻れたのである。

展覧会の絵
しかし、受動〈知覚〉が13以上のキャラクターは6枚の名画が収められた展示会場に、1枚だけ見たことがない絵画が混ざっていることに気付く。それはねじれた階段が遥か彼方に続く見たことのない絵で、その絵画の片隅には、今まで絵画世界で幾度となく見てきた、謎のマークが描かれていた。

謎の絵画はすぐに外され、鑑定に回されたものの、「芸術的価値はゼロである」という評価を受ける。

キャラクターたちは無事に依頼をやりとげ、合計で金貨100枚の報酬を貰う。味わった危険に比べると報酬は低い。だが、絵画世界の中にいて、彼らと戦い、問題を解決したなどと言って誰が信じるだろうか?

不満そうなキャラクターたちに、貴族のひとりがこう言う。「そうだ、あれをくれてやろう」と言って手渡されたのは捻れた階段の絵だった。

キャラクターたちが足を使って絵の来歴を調べると、作者は “ザンター・ダレイ”という無名の画家であったことがわかる。絵画中の謎のマークは、ザンターのシグニチャーだったのだ。

(DM用補足情報:全ての絵の中にザンターのシグニチャーがあったということは、つまり……?)

キャラクターたちがザンターの絵の処遇に困って酒場で呑んでいると、馴染みのマスターが酒と料理を運びながら「おお、良い絵じゃねえか!」と声を掛けてくる。

「見ての通り、ウチの酒場も殺風景でな。絵のひとつも飾りてえと思っていたところなんだが……どうだ? 金貨10枚で買ってやる!」とマスターは続ける。

キャラクターたちが同意すると、マスターは満足気にそれを店に飾り、常連たちも「なかなか良いじゃねえか!」などと囃し立てる。

もしキャラクターたちが断った場合でも、マスターはどこからか絵を探し出してきて店に飾るだろう。

こうして、隠れた巨匠の絵画は末永く多くの酔客を楽しませるのだった……。

キャラクターたちは各々3750点の経験点を得て、今回の冒険は終わる。


このシナリオは6月1日、2日に行われるDAC東北に参加する際に回すシナリオです。参加予定の方は読まないようお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?