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【研究多数】過度な運動が免疫低下を引き起こす驚愕の理由とは

はじめに


運動をすることは体によいことで、免疫も高まるということは一般的に知られています。

しかし、必ずしも運動=免疫の向上ということはありません。しかも、やり方によっては免疫を低下させてしまうことすらあります。

今回はこのご時世、注目もされやすい免疫と健康についてのご紹介をさせて頂きます。

運動による免疫応答

一般的適度な運動を行うと免疫機能が向上する理由は、運動による筋肉の収縮と熱の産生による血液循環の促進が挙げられます。

全身への血行がスムーズになると細胞の機能が向上します。

T細胞やナチュラルキラー細胞(NK細胞)といった免疫細胞の機能も同様に活性化されるため、免疫は向上します。

ある報告では1時間以内の比較的短時間の運動では運動強度に依存してリンパ球やナチュラルキラー細胞(NK細胞)が増加し、好中球や単球等も一過性に増加するといわれています。

また運動後2~3時間ではリンパ球やNK細胞は減少を始めますが好中球と呼ばれる免疫細胞の一種は増加するともいわれています。

免疫①


運動と免疫の低下

先ほどは運動による免疫の向上についてのメカニズムをご紹介しましたが、この逆も実際には起こり得ます。

ある報告では免疫グロブリン(immunoglobulin:Ig)の中でも最も血中濃度が高い抗体であるIgGはマラソンのような過酷な有酸素運動を行った場合、2日間にかけて低下するといわれました。

さらに、粘膜免疫の主体である免疫細胞のIgAも、高強度の有酸素運動では運動後に低下すると述べています。

競技別ではマラソンやトライアスロンのような過酷な持久性運動で、競技終了後2週間で50~70%の選手が風邪のような感冒症状を呈し、そのリスクは2~6倍になると報告されています。

以上のことから1時間を超える高強度有酸素運動では免疫機能の抑制が生じやすくなります。

Open window説について

高強度運動後数時間から数日にわたりNK細胞数やT細胞機能、血中IgG値、唾液SIgA値などが一過性に低下し免疫機能が抑制される可能性があることは述べさせて頂きました。これを、病原体に対して窓を開放していることに例えてOpen window説といいます。

下の図からも高強度の有酸素運動では免疫の機能低下が起きやすいことが分かります。

免疫②


免疫以外でも長時間運動による身体への影響が及ぶ要素とは

マラソンなどの運動では多くの呼吸を伴います。運動により上気道が乾燥、冷却などの物理的影響を受け、気道上皮の綿毛運動が抑制されると、病原菌を排除しにくくなることなどの現象が生じます。
ウイルス性であるケースが多いです。

適度な運動習慣とは?


健康増進のための運動強度は中等度の強度であり、最大酸素摂取量の50~60%で無酸素性作業閾値程度の有酸素運動で、1日20~60分までを週3回以上の頻度で長期間行うことが推奨されています。

簡単にまとめると軽く息が上がる程度の負荷を20~60分行うとよいということですね。

ただし、運動経験が少なく基礎体力に自信のない方は軽負荷での運動から始めた方がよいです。

また適度な運動は大腸がんの予防効果が報告されており、肺がんや乳がんも予防の可能性があるといわれています。

まとめ


いかがでしたでしょうか?適度な運動は免疫に良い効果をもたらしますが、やりすぎは逆効果になることがあります。

ただし、運動をしないということも身体機能や免疫機能にはいい効果はもたらしませんので、適度な運動をしてみるとよいかもしれません。

こんなご時世ですが皆さん1人1人が気を付けながら乗り切っていきましょう!

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