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長瀬有花という汽水域へ~LIVE "Eureka" に寄せて~

2023年8月25日に恵比寿LIQUIDROOMで行われた、
「長瀬有花 LIVE "Eureka"」についてのnoteです。
こちらではコラムもしくはエッセイとして
ライブから感じたことを書き記します。

レビューについては、音楽ナタリーRealSound記事
全体のポイントが上手くまとまった素敵なnoteをご覧ください。
(以下、敬称略)


 プレミアチケットに付属するライブCDを毎日のように聴いている。
おかげで全く余韻から覚めてない。それどころか、ライブでの音が頭の中に増幅して残り続けている。
 なにせ、ライブパフォーマンスが良い。すごく良い。もう完成されているどころか、CD音源を優に超える演奏力、歌唱力、そして多彩なアレンジで創造の何倍も凄いものに進化しているのだ。
 正直もう正規音源では満足できなくなってしまった。随所にてグルーヴがうねり、原曲の要素を活かしたジャズアレンジに酔い、打ち込み部分を生演奏のパワープレイで見事にカバーし魅力を倍増させている。

 このライブのエネルギー、個人的には7月に観たBialystocksを思い出す。日本の音楽シーンではJazzが熱いとはよく聞くが、長瀬有花も例外ではなかった。
 あれだけの技巧派バンドサウンドに全く引けを取らない歌唱を果たせることにも驚き。20曲ほぼMCなしなのに。歌声が入るだけですぐ長瀬有花の世界観がその場に出来上がる。

 このライブ、もしくはライブ音源はもっと聴かれるべきではないか、との思いが強くなっていく。私、もしくは私達が聴いて楽しむだけとしてはもったいな過ぎる。もっと多方面の、VSinger好きからあらゆる音楽リスナーやもっと一般の人たちにまで"発見"されてこの音楽を楽しんでもらうべきだと思うようになった。が、現在チケットを買って観てもらうことくらいしか手がないので中々悩ましい限りである。

 さて、長瀬有花の所属するレーベルは「汽元象レコード」といい、その語源は水と海水の間を意味する「汽水域」から来ており、「あらゆる時空間、文化、そして次元が交ざりあう【汽元】を象る場所」としている。参照
 長瀬有花という汽水域改め汽元域は、音楽や世界観のなかで1つの到達点に達していると思う。ジャンルも世界観も混ぜ合って、他に代わりがない"場"が生まれている。それを今回のライブにおいて肉眼に脳裏に焼き付いた。あとは、リスナー、ファンがその汽水域に魅力を感じて、その汽水域が広がっていくだけなのだろう。
「もう準備は整っている」。そんな風に感じた。


P.S.
バーチャル音楽の広がりという観点での例とすれば、Vsingerとしてもはや確固たる支持を得ている花譜、シンガーとしての人気も大きいの星街すいせいであったり、HIPHOP界にも評価されているピーナッツ君、ほか様々な形でVTuber界以外に波及している。
今回のライブも、観客のノリこそアニメ・アイドル界隈の色が強かったが、実際の客層は様々な界隈からアンテナを張っている方が集結している印象だった。この調子でもっと外へ外へ評判が広まれば自然に評価されゆんだろうなと思う。世間が放っておくはずないものね。


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