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この歓声は届かないけど

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聴覚障害を抱える息子さんと一緒に、ろう学校に通ったお父さんのお話です。普段あまり見ることができないろう学校の内側や、難聴の子を持つ親の気持ちがつづられます。障害とはなにか、子育て… もっと読む
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記事一覧

難聴の子供はどのように言葉を身に着け、その言葉でエレベーターの他人を吹き出させた…

前回のお話はこちら 「おとうさん」と声で話しかけられたので、「何?」の手話で返事した。満…

紋白蝶
3か月前
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ろう者から手話を奪ったのは誰か?その結果、何が残ったのか?

前回のお話はこちら 5月初旬。連休は妻の実家で過ごした。10日間、ろう学校に入ってから初め…

紋白蝶
5か月前
80

耳が聞こえない子は、どのようにことばを身につけていくのか

前回のお話はこちら くさはらを子供たちが歩いていく。黒や青、ピンクの大きな布を掲げ、えっ…

紋白蝶
6か月前
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朝の教育番組の変な歌と、ろう学校の教育と、恩人の話

前回のお話はこちら 朝は7時前に起きる。iPhoneのアラームは止めたけど、起きてないふりをし…

紋白蝶
6か月前
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【無料】ろう学校の幼稚園の入園式は、重みがまるで違う

前回のお話はこちら スギナは生命力が強い。杉のような形の葉はくるぶしまでしか届かないが、…

紋白蝶
6か月前
115

【無料】それはろう教育以前の問題なのでは?

前回のお話しはこちら。 二朗が3歳になり、幼稚園を検討しはじめた。聴覚障害者には早期教育…

紋白蝶
6か月前
264

【無料】「聴覚障害者でも話せる」の、何が問題なのか?

「どういう意味なんでしょうか?」 隣に座る妻の声には、ちょっとしたとげがあった。敏感に察した僕は、びびって目を泳がせていた。僕と妻に向き合って座る女性。相手も察したのか、返事に詰まると、部屋にはがちゃがちゃとプラスチックがぶつかる音が響いた。 使い古されたアンパンマンのおもちゃで遊んでいる、息子の二朗。大人の会話が急に止まっても遊び続けているのは、まだ3歳になったばかりという年齢のせい、だけではないだろう。二朗はレバーになった食パンマンの腕を、しきりに上下させていた。