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プレゼントって、いいね

1910年、『白樺』のオーギュスト・ロダン誕生70年記念号を発行した柳宗悦らは、手紙に浮世絵を添え、ロダン本人に送る。

翌年9月にはロダンからお礼の手紙が、12月には「マダム・ロダン像」、「或る小さき影」、「巴里ゴロツキの首」の3作品が『白樺』の元に届く。

そして1914年、そのロダンの作品を観るため、京城府から柳宗悦を訪ねた浅川伯教がお礼の品として小さな李朝焼き物を持参する。

白樺派からロダンへ。
ロダンから白樺派へ。
更にロダンを追い求めた浅川伯教から白樺派へ。

18~19世紀欧州の巨匠たちに傾倒していた柳宗悦らが、「民藝」にたどり着いた背景には、この「プレゼントが繋いだ縁」があった訳だ。
そう考えるとプレゼントはただ「ものを贈る」行為というより、「自身の一部を分かち合う」行為とも取れる。

そういや家族以外で、心通わすプレゼントのやりとりができたのはいつが最後だったっけ。
いつの間にか、ずっと大切にしてきたことを忘れていたんだな。
お喋りもお酒もよいが、おくりもので語り合う喜びにふたたびひたりたいものだ。

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