見出し画像

個人的モニタースピーカー選び 2023

ここ7〜8年くらい、ずっと自宅スタジオのスピーカーを買い替えたいと思ってて、いつもお世話になってる宮地楽器 RPMのSさんにお願いして、年に1〜2回くらいのペースで気になったスピーカーを試聴させてもらってきました。そしてこの度、ようやく本格的な買い替えを見据えて、お気に入りの機種を都合6機種(当日、飛び入りで1機種増えたけど)を手配していただき、同一環境で聴き比べ。その時の印象をここに残しておこうと思います。

外側から
IK MULTIMEDIA iLoud Precison MTM
NEUMANN KH 150
同 KH 80
外側から
IK MULTIMEDIA iLoud Precison MTM
KS Digital C8-Reference
同 C5-Reference
外側から
IK MULTIMEDIA iLoud Precison MTM
KS Digital C100
Focal Professional ST Solo 6

NEUMANN

まずはNEUMANNから。今回はメインのスピーカー選びのため、お目当てはKH 150。KH 80は今後、サブで導入するかもしれないので、一応。基本的にどちらも同じ傾向で、違うのはローの出方や音像の大きさだけという感じ。今回は補正を入れてない状態での試聴でしたが、過去に補正した状態の音は聴いてるので、その辺は想像がつく。音の特徴は、非常にモニター的というか、エンジニアが好みそうな音。派手さはなく、これといった特徴がないのが特徴というか(笑)。音に密度感があり、塊になって迫ってくるような押し出し感がある。横への広がりはさほどなく、奥行き方向の方が得意そう。近年、NEUMANNを導入するスタジオが増えてるのも頷ける。まさに「ザ・仕事の道具」といった感じ。ちなみに3WAYのKH 310も試聴したことあるけど、基本的なキャラは同じ印象。メーカーとして統一感がある。10年以上前(だったかな?)にNEUMANNがKLEIN&HUMMELを吸収してリリースした初代KH 120の時からそれは変わってない気がする。

KS Digital

KS Digitalは10年くらい前からずっと好きだったメーカーで、ディスコンとなったC5-Coaxは本当に買おうかと思ったけど、折悪く日本在庫が消滅してた時で買えず、振り上げた手の下ろし場所がなくなってECLIPSEに手を出してしまったり……💦まぁそれはいいとしてw、KSDは常に買い替え候補の上位に考えていた。一番小さなC5-Referenceは過去数年で何度となく試聴させてもらってきたけど、C8-Referenceと最新モデルのC100は、昨年のInter BEEでスタジオイクイップメントさんのブースで聴かせてもらったのが初で、今回の邂逅は1年ぶり。各モデルの印象はその時と変わらず。とにかく僕的にはC100がぶっち切りで優勝‼️レンジ感、広がり感や奥行き感、音像の輪郭がしっかり感じられる解像感、中域のしっかりした密度感、そして定位感、すべてにおいて最高のスピーカーだ。C8はそれに似た傾向だけど、少し中低域にモコッとしたピーク感を感じた。けど、間もなくリリース予定の新曲ピアノ曲を再生してみると、アタック感の再現性が非常に高く、KSDがアコースティックに向いていると言われるのも頷ける鳴りっぷりだ。C100もそうだけど、楽器の輪郭がよく見える。どちらもスタジオモニター的だけど、NEUMANNほど素っ気ない感じではなく、音楽的な楽しさや高揚感が感じられる音。C5はさらにその傾向が強く、低域の量感はサイズ的にもっとも少ないけど、そのぶん高域に少し明るさを感じるから、至近距離で程よい音量で聴くスタイルが合いそう。NEUMANNのような統一感はないけど、それぞれ個性が立ったアーティストのようなスピーカー。なので、僕みたいなアーティスト・エンジニアには、KSDのキャラはすごくしっくりくるのです。諸々の条件が許せばC100を導入したいところだけど、まずペアで100万超なので予算的に厳しい上に、重量もかなりあるから、それに見合ったスタンドの導入や、自宅の床の工事が必要(床が抜けるほど重いわけではないけど、うちはスピーカーだけは和室の畳の上にカーペット、そして御影石を敷いてスタンド設置してるので、この重量になると安定性に不安がある)になるため、未来のお楽しみとしてとっておくことにした🤣

IK MULTIMEIDA

今回用意してもらったのは、iLoud Precisionシリーズ3機種が発売された時に試聴して一番印象が良かった最上位のMTM。同軸好きな僕には仮想同軸のMTMは魅力的。IKのスピーカーは所有したことこそないけど、VIDEO SALONの特集記事を書くためにiLoud MicroMonitoやiLoud MTMをお借りして自宅で使ってみたことがある。特にMTMは小さいけど本体のみで音響補正がかけられ、その効果もすごく良かったので気にはなっていた。ただ、僕が買い替え候補にするのは30Hzくらいの超低域がしっかり見えるものというのが条件だったので、候補には入ってこなかった。けど、このPrecision MTMは流石の性能。今回試聴した中では一番上下のレンジの広さを感じた。補正を入れると低域の暴れなどがなくなり、見通しが良くなる。その音は、補正を入れたNEUMANN(過去の経験に基づく)に比べると押し出しが弱い代わりに、左右や奥行きの空間表現は上な印象。とにかく30Hzくらいまでしっかり見えるのが嬉しい。ただし、ウーファー2発とは言え5インチなので、KSD C100と比べると音像の大きさや密度感は劣る。突出した個性はないものの、すべてにおいての平均点が高いスピーカーだと思う。KSDのような強烈に惹きつけられる魅力はないけど、仕事に使う道具として考えると大きく不満に感じるところもないし、不安もない。イタリア製とは思えぬ安心安全感🤣

Focal Professional

本当は聴く予定じゃなかったけど、たまたまあったので聴いてみた😆Focalのスピーカーは過去にCMSシリーズやShapeシリーズ、Alphaシリーズなどを試聴してきた。CMSを聴いたのは初代NEUMANN KH 120と比較した時だから、もう10年以上前だろうか?とにかく女性ボーカルの輪郭がよく見えるという印象が強く残っている。近年人気になったShapeは、正直、中域の質感があまり好みじゃなかったけど、あまり派手ではない玄人好みな印象。Alphaは先代も現行も低域の鳴りっぷりがすごくて、全体的に派手。曲を作るときに使うとアガるだろうなって感じ。さて、今回のST Solo 6ですが、まず見た目が先代よりも大幅に安っぽくなってたのが非常に残念。音は、やはり高域が綺麗に聴こえる感じで、良い音。スタジオモニターというよりはHi-Fiオーディオの「良い音」に近いかな。低域は今回聴き比べた中ではもっともスッキリしてた(KH 80除く)けど、バランスは悪くない。サイズのせいもあってスケール感はKSD C5に近いけど、こちらの方が美音系。本職のエンジニアよりも作曲家やアレンジャー向けな気がする。これより上の3WAYのとかはほとんど聴いたことないのでなんとも言えないけど、全体的に僕の趣味ではないかもしれない。けど、実はAlphaシリーズの気持ちの良いドンシャリ具合は結構好きだったりする😁

総括

スピーカーは個別に聴いて良いと思っても、やはりそれらをまとめて同じ条件で聴き比べると、結構キャラの違いが大きくて面白い。今回はこれぞ!という機種はスピーカー位置も変えて試聴したけど、それだけで印象変わったりするので、そのへんもしっかり確認するのは大切。

というワケで、今回の印象をまとめると、質実剛健で職人気質なNEUMANN孤高の芸術家的なKSDなんでもそつなくこなす優等生のIK眉目秀麗なフレンチ美人のFocal、というのが僕の印象。で、今回はついにこの中から買い替え候補を決めました‼️それはまた後日😆


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?