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雨音と洗濯機【R15】(2:0:0)

友情、雨、時々SEX。

⚠️R15声劇台本
⚠️苦手な方はご注意下さい

ジャンル:BL orNL
(BL主体で書いたけどNLでも読めます)
上演時間:20分〜30分
登場人物:2人(演者性別不問)
注意事項:R15(少しだけどベッドシーンあり)

芹沢 朔夜(せりさわさくや)…真面目。金持ち。
戸越 潤(とごしじゅん)…陽キャの苦労人。
※NLの時は名前とか語尾やりやすいようにどうぞ

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(あらすじ)
居心地の良い友人関係の芹沢と戸越。
ある雨の日、仕事帰りに合流した二人は酒を飲んで芹沢の家へ向かう。
そして酩酊状態の中で布団に入るといつもの様に…。

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台本「雨音と洗濯機」

0:シーツの擦れる音と吐息
潤:「芹沢…」

芹沢:(M)いつからこんな関係になったのか。
芹沢:きっかけはもうよく覚えていない。

潤:「芹沢…何だよ、考え事?」
芹沢:「ーああ、悪い」
潤:「いいよ、疲れてるんでしょ。もう寝る?」
芹沢:「いや、平気だ」
潤:「…そう?」
芹沢:「灯りを消そう」
潤:「うん」
0:電気を消して布団を被り直す
芹沢:「…洗濯機の音、響くな」
潤:「意外とね」
芹沢:「もっと早く回せばよかった」
潤:「仕方ないよ、酔ってたし」
芹沢:「そうだな…」
潤:「雨、だんだん強くなってきた」
芹沢:「今日は雨の予報じゃなかったんだがな」
潤:「ね。急に降ってきたから濡れたし」
0:潤の頬を撫でる芹沢
芹沢:「冷えてないか?」
潤:「……ちょっと冷えたかも」
潤:「なぁ…芹沢」
0:引き寄せてキスをする
芹沢:「ん…」
潤:「は…、あったまりそう」
芹沢:「私はまだ足りそうにない」
潤:「はは、それは大変だ」
潤:「もっと温めないと」
0:キスを深め、布団のなかで体を絡める二人

芹沢:(M)雨と洗濯機の音を遠くに聞きながら
芹沢:どちらかが疲れるまでSEXに興じる。
芹沢:こうする事が当然だと思える程、あまりに自然にこの関係は始まった。

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芹沢:潤は大学で知り合った友人だ。
芹沢:サークルの新歓で仲良くなった。
芹沢:初対面の時の印象は…『チャラい』。

潤:「あ、ここ空いてた?」
芹沢:「空いてるけど普通座る前に聞かないか?」
潤:「あ〜確かに。ごめんごめん」
潤:「今日の新歓、相当飲まされるって聞いてさ」
潤:「少しでも落ち着ける所に座りたくて」
芹沢:「…初対面なのに、落ち着く?」
潤:「うん、だって真面目そうだし」
芹沢:「…」
芹沢:「確かに、飲ませやすそうな顔してる」
潤:「はは!だよね。自覚はあるんだ」
芹沢:「あまり無理するなよ」
潤:「ありがとう」
潤:「戸越潤っていうんだ、よろしく」
芹沢:「芹沢朔夜だ。…よろしく」

芹沢:(M)案の定、潤は先輩達に沢山飲まされた。
芹沢:そして席が隣だったのを理由に、私が介抱を押し付けられるはめになった。
潤:「うーーん、もう飲めない…」
芹沢:「大丈夫か?だから無理するなって言ったろ」
潤:「したくて無理した訳じゃないってー、」
芹沢:「それはそうだろうが…水飲むか?」
潤:「うん、飲むー」
芹沢:「ほら、しっかりしろ」
潤:「ん…、はー生き返るー」
芹沢:「家は?近くなのか」
潤:「うんーそこー」
芹沢:「そこじゃ分からないだろ…ったく」
潤:「いーよおいてって、一人で帰れるから」
芹沢:「そう言うわけにもいかないだろ…」
潤:「平気平気、慣れてるからー」
芹沢:「分かったから今日はうちに泊まっていけ」
潤:「やったーーお泊まりだーー」
芹沢:「うわ、急に抱きつくな」
潤:「うーん愛してるぞー」
芹沢:「完全に出来上がってるな…」
潤:「初対面のヤツを家に連れ込むなんてやるなー!」
芹沢:「はいはい、全く」
0:引きずる様に家まで運ぶ
芹沢:「ほら、ついたぞ」
潤:「やったー布団だーー」
0:ベッドに飛び込んで横になる潤
芹沢:「水、ここ置いておくからな」
潤:「うーん…もう飲めらい……」

芹沢:(M)翌朝ケロっとした顔で起きた潤は
芹沢:うちにある食パンを2枚食べて出て行った。

芹沢:それから、私達はよく話す様になった。

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潤:「今度のBBQ行く?」
芹沢:「課題提出まで余裕がないから行かない」
潤:「相変わらず真面目だねぇ」
芹沢:「むしろこのタイミングでよくBBQなんて企画すると思った」
芹沢:「三年の夏なんて一番大事な時期だろ?」
潤:「だからじゃない?現実逃避したいのさ」
芹沢:「そう言うもんか…お前はいくのか?」
潤:「うーん、どうしようかな」
潤:「来年は流石に就活で余裕ないだろうし」
芹沢:「来年慌ててるヤツはもう後ないだろ…」
潤:「一緒にいこうよー」
芹沢:「いやだから私は…」
潤:「芹沢がいないとつまんないし」
芹沢:「私がいたところで変わらないだろ」
潤:「いや、心の安心感が違う」
芹沢:「人のこと介護ロボだと思ってないか?」
潤:「思ってないって」
芹沢:「そろそろ自分でストップかけろよ」
芹沢:「恋人に呆れられるぞ」
潤:「あーマヨちゃん?もう呆れられた」
芹沢:「もう別れたのか?」
潤:「うん」
芹沢:「…半年もたなかったな」
潤:「向こうもはっきりした性格だったしね」
芹沢:「全く本当にお前ってやつは…」
潤:「いいんだよ、お互い楽しんだんだから」
芹沢:「それはそうなのかも知れないが…」
潤:「恋人関係にはいつか終わりがあるもんだよ」
芹沢:「……」
潤:「あ、でも芹沢はずっとそばにいるよね?」
芹沢:「……それは、どうだろうな」
潤:「えぇ?そこは即答してよ。さびし」

芹沢:(M)…結局、BBQには参加した。
芹沢:出会った頃から恋人を作っては別れるを繰り返していた潤は、やはり想像通りにチャラかった。
芹沢:しかし、想像とは違った一面もある。

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潤:「あ、芹沢いたいた!」
芹沢:「随分急いでるな。どうした」
潤:「弟が学校で熱だしたらしくてさ、」
芹沢:「弟?」
潤:「うん、次男は試験中だから抜けられなくて」
潤:「急に迎えにいく事になったんだ」
芹沢:「え、今から行くのか?大変だな」
潤:「だから悪いんだけど、今日の飲み会パスって田原先輩に言っておいてくれない?」
芹沢:「田原先輩?それは別に構わないが」
潤:「ありがと!助かる〜!」
潤:「話すと絶対引き止められるからさ」
芹沢:「お前、あの先輩に気に入られてるもんな」
潤:「うん、あ、ヤバい!もう行かないと」
潤:「今度お礼するから!じゃごめん頼んだ!」
芹沢:「あ、ああ。またな」

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潤:「芹沢!この間はありがと、助かった!」
芹沢:「別に礼を言われるような事はしてない」
潤:「いや助かったよ。ギリ病院間に合ったし」
芹沢:「それは良かったが…。」
芹沢:「もう弟の具合はいいのか?」
潤:「うん。翌日にはケロッとしてさ」
潤:「子供の具合って、分かんないよなぁ」
芹沢:「いつもお前と次男で面倒見てるのか」
潤:「そう。両親は二人とも滅多にうちに帰ってこないから、親代わりしてるんだ」
芹沢:「それは…いつからなんだ?」
潤:「ん?もうずっと前からだから忘れたな」
潤:「あ、でも今は次男が手伝ってくれるから大分楽になったよ。昔は全部一人でやってたからさ」
芹沢:「そ、うなのか…」

芹沢:(M)あっけらかんと話す潤を前に、私は言葉を失った。
芹沢:人は見かけによらない。
芹沢:こんな苦労をしているなんて知らなかった。
芹沢:戸越潤は、想像以上に奥深い人間だ。

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潤:「んじゃ就職おめでとーって事で乾杯」
芹沢:「ああ、お互いにな」
潤:「一時はどうなることかと思ったよ」
芹沢:「その割に、強かに滑り止め受けてたろ」
潤:「本命にはフラれるタチなの。だから保険をね」
芹沢:「変わらないな」
潤:「芹沢は凄いよ、大手だし第一希望でしょ?」
芹沢:「私はここが最終目標じゃないからな」
潤:「実家が会社経営してるんだっけ」
芹沢:「ああ」
芹沢:「元々大学を卒業したら地元に戻れって言われてたんだが、それだと七光だなんだ言われそうだから」
潤:「ふーん、お金持ちも大変そう」
芹沢:「面倒なことは多いな」
芹沢:「最終的に家業を継ぐ事に変わりはなくても、少しは実力で掴み取ったと言いたいだろ」
潤:「相変わらず…芹沢はえらいね」
芹沢:「…そういうお前は、まだ弟の面倒見てるんだろ?」
潤:「うん、末っ子がこれから中学生」
潤:「就職すれば親の負担は少し減るんじゃないかな。生活面で次男には苦労かける事になるけど」
芹沢:「そうか…。大変だな」
潤:「お互いさまだよ」
芹沢:「…そうだな…」
潤:「就職してからも、たまには会おうな」
芹沢:「ああ、もちろんだ」
潤:「芹沢といるとなんか落ち着くんだよ」
芹沢:「それは…私もそうだ」
潤:「タイミングが合う時だけでいいからさ」
芹沢:「お互いに忙しくなるだろうしな」
潤:「うん。それに…」
潤:「あんまり一緒にいすぎると、他の事がキツくなりそうで」
芹沢:「…そうだな」
芹沢:「ここは、居心地が良すぎる」
潤:「ふふ、そう」
芹沢:「おまえとは、たまに会う位が丁度いい」
潤:「うん。…息抜きにね」
芹沢:「…ああ」

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芹沢:(M)宣言通り、社会人になってからも互いに都合があう時に時々あっていた。
芹沢:適当な居酒屋で飲んで、どちらかの家で寝る。
芹沢:社会人になってから変わった事と言えば、そこにSEXがプラスされるようになった事くらいだ。

0:ベッドを軋ませがら絡み合う二人
潤:「は、芹沢、もう結構キツい」
芹沢:「…ああ、私もだ…、」
潤:「ん…、洗濯機、終わったみたい、」
芹沢:「干さないとシワになるな…、」
潤:「今はダメ、終わってから」
芹沢:「この状態で、行けるわけないだろ」
潤:「はは、そりゃそっか、…ね、芹沢キスしよ」
芹沢:「ああ…」

芹沢:(M)やる事はやるが、恋人ではない。
芹沢:お互いにその気がないのは分かってる。
芹沢:ただセフレというには仲が良すぎる。
芹沢:この関係に名前をつけるなら『友人』。
芹沢:それしかないのだ。

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潤:「あー、シワ伸びるかな」
潤:「明日着てこうと思ったのに」
芹沢:「うちのシャツ着てくか?」
潤:「サイズが合わないんだよ」
芹沢:「そうだったな」
潤:「まぁ最悪ジャケット脱がなきゃいいか」
芹沢:「この時期は蒸し暑いからな」
潤:「そうなんだよねぇ…」
潤:「芹沢は明日仕事?」
芹沢:「いや、休みだ」
潤:「おーいいね」
芹沢:「仕事なら無理しなくても良かったんだぞ」
潤:「たまにはいいだろ〜まだ遊んでたいの」
芹沢:「たまにはな」
潤:「そ、たまに」
芹沢:「…潤」
潤:「んー?何?」
芹沢:「来年、実家に帰る事になると思う」
潤:「え?そうなの?」
芹沢:「ああ、今の会社は充分成果を上げたし」
芹沢:「これ以上いたら辞めづらくなる」
潤:「ふーん…そっか」
潤:「芹沢は、これからが本番か」
芹沢:「そうだな」
潤:「うん。…頑張って」
潤:「応援してるよ」
芹沢:「ああ、ありがとう。頑張る」
潤:「実家、遠いんだっけ」
芹沢:「ここからだと、飛行機で2時間くらいか」
潤:「引っ越しとか大変だね」
潤:「手伝えることあったら言ってよ」
芹沢:「ああ、分かった」
潤:「2時間か…そっち行ったら美味いもの教えて」
芹沢:「…来るつもりか?」
潤:「え?ダメ?」
芹沢:「いや、それは構わないんだが」
潤:「まぁ予定組めればね。ああ都合が合えば?」
芹沢:「あ、ああ…。そうだな」
芹沢:「水がいいから、美味いものは色々ある」
潤:「いいね。酒がすすみそう」
芹沢:「お前が好きそうな旅館もある」
潤:「お、楽しみ」
芹沢:「…もう少し動揺するかと思った」
潤:「え?だって芹沢、前から言ってたし」
潤:「むしろ楽しみが増えたと思った方が得でしょ」
芹沢:「……」
潤:「ここで関係が切れる訳じゃないし」
潤:「今だって年に1.2度会う位じゃない」
潤:「どれだけ時間が空いても変わんないよ、多分」
芹沢:「…お前は…」
潤:「ん?何?」
芹沢:「…いや、そうだな」
0:肩の力が抜けたように息を吐く
芹沢:「どのみち、こっちに支社があって往復する予定だから、荷物も殆ど移動しないんだ」
潤:「何だ。尚更今と変わんないじゃん」
潤:「芹沢がこっち来た時も、また会おうよ」
芹沢:「ああ。…ふ、」
芹沢:「号泣して別れを惜しむと思って黙ってようと思ったんだが、予想が外れた」
潤:「え?そんな事すると思ったの?」
潤:「わかってないなぁ」
芹沢:「何年一緒にいたって、相手の全部がわかる訳じゃないだろ」
芹沢:「そこが予想できなくて面白いんじゃないか」
潤:「…はは、そうだね。それはそうだ」
潤:「芹沢のそういう所好きだよ」
芹沢:「私はお前のさっぱりしてる所が好きだ」
潤:「ふふ、そっか」
0:満足げに布団に横になる
芹沢:「…もう寝るか?」
潤:「うーん、目が覚めちゃったな」
芹沢:「お前、明日仕事だろ」
潤:「いーの、まだ若いから」
芹沢:「同い年の筈なんだがな…」

0:布団を被り直す
潤:「芹沢は、もう眠い?」
芹沢:「…いや、雨の音で目が覚めた」
潤:「そっか。じゃあもう少しだけ」
芹沢:「…ああ」
0:雨の音に紛れるように唇を重ねる二人

芹沢:(M)いつからこんな関係になったのか。
芹沢:きっかけはもうよく覚えていない。
芹沢:でもこれからも私達の関係は続くのだろう。
芹沢:そう思える夜が、何だか愛しかった。

芹沢:これは決して恋では無い。
芹沢:だからこそ私達は変わらずにいられる。
芹沢:もし、この現象に名前をつけるなら…。
芹沢:そうだな…雨宿りって所か。

0:終幕

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お疲れ様でした。
ここまで読んで頂き有難う御座います。

「またね」の先が、あってもなくても。
「また会える」と信じて別れた気持ちは胸に残る。
この二人にとって、その可能性がある事が
今日を、明日を生き抜く力になるのではないか。
そんなちょっと大人の物語でした。

(ベッドシーンの盛り上げ方はご自由にどうぞ〜)


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