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合気道の足踏み

武術研究家のモノノフです。

合気道の足踏みについて説明しましょう。僕が尊敬しまくっている合気道家塩田剛三先生が演武の時によくした技です。色々な説を言われる方がおられます。そのひとはそれでよくてあくまで僕の見解だ。

この痛がり方は経絡を突かれている痛がり方をしている。
塩田剛三先生はこの技のコツは

「集中力」

と言われている。
ここで言われている「集中力」とは何か?ということだ。

一般的に「集中力」と言えば、何かに深くグッと打ち込んだりすることを指すと思う。最大限に「集中力」が冴えている状態を「ゾーン」と言ったりすると思う。実はそういったことではない。

実際誰かの足を踏んでみたらいいと思うが(喧嘩になっても知りません)、足の親指と人差し指の付け根の少し足首よりのところ(手で言うと合谷ぐらいのポイント)を爪先でグッと押すと痛い。塩田剛三先生は相手の足の親指を掴むようにしていることもある。しかし、痛いのは痛いが、ここまで悶絶しない。なんなら相手を突き飛ばすぐらいの余裕があると思う。色々な塩田剛三先生の動画があるので見てもらうといいが、やられている弟子が必死な形相で自分の足を両手で引っ張っているような動画もある。しかし、抜けない。普通のひとが頑張って踏んでも、相手が自分の足を両手で引くと、ほとんどの技をかけている側のひとがバランスを崩して足を引き抜くことができる。しかし、塩田剛三先生にやられたひとは足を抜くことができていない。塩田剛三先生は155cm45kgという女性のような体格だ。もっとずっと大きいひとがやられていても外すことができない。これはどういったことが起きているのか。

うがったひとはヤラセだという人もいるかもしれないが、塩田剛三先生に関してはそれはない。断じてない。武術研究をしているが、僕の中では塩田剛三先生の術の理解とキレが抜群だ。

何故あの足は抜けることがなかったのか?
それは抜くより大きな力がかかっていたからだ。

体重が45kgしかない塩田剛三先生は物理的にMAX45kgの力しか上から下にかけることができない。落下してきたら別だが、この技の時は安定している。
その45kgが足の親指の爪先の1点にかかっていたのだ。
全部の身体の力を集約しているこれを塩田剛三先生は「集中力」と表現したのだ。

単純に片足で爪先立ちしたら重さが乗ると思っているひとは大きな間違いだ。実際やってみるといい。そもそも安定しないし、自分が思っているほど力は伝わらない。これに必要なのは僕がいつもいっている「正しい姿勢」だ。全身をつなげることができないとある程度しか痛くない。これは僕は自分でも割とできていると思うが、体重もあるので僕のはめちゃくちゃ痛い。

つまり、あの技はただおもしろおかしくやっているだけではない。「正しい姿勢」ができていないとできない、実は根幹に触るデモンストレーションなのだ。
合気道はそういった技が多くある。そんな技は実戦に使えないというひとがいる。そういうことではないのだ。身体の使い方を学ぶ上でできた方が理解できるという技なのだ。

僕は合気道は膨大な学問だと思っている。


モノノフ




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