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モアイ奇譚

この国には昔からモアイの言い伝えがあってな・・・

山モアイの火

 晦、つまり月がこもる夜に山で青い火が見えることがあるじゃろう…ありゃな、山に棲むモアイの仕業じゃ。この辺りじゃ「やまモアイの火」と呼んじょる。

海モアイ

 海にの、石を投げ入れると光ることがあるじゃろ?アレもなぁ、海に棲む小さなモアイの仕業なんじゃ…。この辺じゃ死んだ「うみモアイ」の魂と信じられちょる。

川モアイ

 川での、普段見ない魚を釣ってしもうたときにはなぁ。ええか、近くにある大きめの葉っぱを使うてな、そうじゃ、葉っぱじゃ、そいでな、釣った魚を包むんじゃ。それをな、「モアイさま、かわモアイさま、お返しもうす」と言って川に戻すんじゃ。じゃないと尻子玉ァ抜かれるいう話じゃ。

沼モアイ

 この沼ァ昔は人っこ1人寄り付かなんだ。最近じゃ都市開発やらで人やら機械やらをよぅ見るようなっちょるがの。たがホントは人間さ立ち入るトコじゃないが。なんせ、ぬまモアイ様がおるけんの。危ないけん、もし夜中大きな影みたら目合わせちゃあかん。葡萄か二次元さ置いて逃げろ。

家モアイ

 知らぬ間に部屋の中にちぃーさな石ころが転がってることがあるじゃろ?アレもなぁ、最近は見かけんよぅなったがの、「いえモアイ」が持ち込んで遊んじょる跡じゃの。家ば栄えるわけでもないけぇ、ワサビでも盛っておきゃええと。

雪モアイ

 お客さ、また酷い吹雪の日に来たね。ここら、この時期こんな調子なんで。中々人さこねェ。来るといやぁ、人でなかもんじゃ。オラぁ今日もてっきりゆきモアイが来た思ぅたの。戸さ叩いての、外見たら戸の脇におるんだ。雪被っての。やけ、編笠さ被せてやるんよ。お礼?そんなもんなか。


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