2023/06/06「『Braid』の紹介、そして組み紐と君の名は」

 今日はとても暑いので南極のペンギンたちの動画を見ながら授業を受けていた。私は南極に行ったことはないけれど、見ているだけで少し涼しく感じるので不思議だ。ちなみに、私の好きな動物はペンギンとひつじ!


「Braid」の画像

・最近プレイした「Braid」(2008)というゲームが面白かったので、今日はその感想を書くことにしたい。本当に楽しいゲームなので時間があればプレイしてみてほしい。(以下、若干のネタバレを含むので注意してください。)

・まず、ゲームの概要を説明してみようと思う。ゲームジャンルとしては、キャラクターを操作してパズルを解いていく「パズルアクション」である。アクションといっても基本的な操作は移動とジャンプだけなので直感的に操作することができる。この手のゲームで面白さの肝となるのは概してステージのギミックだが、本作のギミックは、動く床、鍵の付いたドア、単純な行動を繰り返す敵モブ、などなど多くの作品で取り入れられているようなありきたりなものがほとんどである。

・これだけ聞くと、何が面白いのかがさっぱりかもしれない。しかし、このゲームの特筆すべき点は、世界のあるシステム(ルール)によって、これらの単純な要素がパズル的な面白さに結びつき、斬新なゲーム体験をもたらす作品になっているところにある。

―――それは、「時間」を操作するシステム。

・これが本当にすごい。このシステムによってパズルアクション系のストレス要素を軽減し、同時にパズル要素の面白さを増やすことに成功している。

「1つの発想で複数の問題を解決しているのが良い……。その意味でミニマリスト系パズルゲームの手本といえるかもしれない!」

・以下、実際のステージをいくつか紹介しながら見ていきたいと思う。

ワールド1のギミック

・まず、最初のワールドのステージについて紹介したい。左上のキャラクターが主人公のティムだ。ここでは、大砲から発射されるイガグリのような敵モブを踏みつけて右上のパズルのピースを集めなければならない。しかし、かなりのスピードで発射されるためタイミングがシビアでむずかしい。どうすれば……。

・そこで「時間」のシステムが役に立つ。「時間」を巻き戻しできる能力を活かすことで、簡単にタイミングが調整できるようになっているのだ。いちいちステージの最初からやり直す必要はない。No stress……。

ワールド3のギミック

・つぎに、ワールド3のステージを紹介したい。このワールドでは、先の「時間」の巻き戻しのシステムに加えて、さらに新たな別のシステムが追加される。それは、「キャラクターが静止しているとき、時間は停止する。そして、キャラクターが右方向に進むと時間が進み、左方向に進むと時間が巻き戻る」というシステムである。少しややこしいので言い換えると、キャラクターの左右の位置が動画のシークバーのような機能を持っている、と考えてもらえば分かりやすいかもしれない。

・さて、このステージでは、直進するイガクリ君をすべて踏みつけて倒した上で右上のパズルピースを回収しなければならない。

「なんだよ、パズルとして成立してないじゃん!全部踏みつければいいだけでしょ!」

・私もそう思ってた……。しかし、右側から敵を踏みつけて左側に行くと、シークバーを右から左へ動かすと動画が巻き戻るのと同様に時間が巻き戻ってしまい、敵モブが即座に復活してしまう。さらに、段差を登るためには敵モブを踏みつけて大ジャンプをしなければならないため、左側にいる敵モブから順番を工夫して倒していく必要がある。私はここでかなり苦戦したが、時間の巻き戻し能力を使えば好きなところからやり直しができるので、試行錯誤が楽しかった。

・「時間」のシステムとパズル要素の面白さについてはここら辺にしておこうと思う。最後にBlaidのストーリー部分について紹介したい。Blaidはパズルアクションゲームでありながら、時間を絡めたメタフィクションとしての側面もあり、それがかなりの密度で描かれている。

・ストーリーの細かい部分に触れるとキリがないので、ここでは『Braid』というタイトルにのみ着目して、その魅力の方向性を伝えたい。blaidという英単語は「組みひも」という意味を持っている。そして、この「撚り合わされたもの」という意味がストーリー上、重要な役割を果たしている(と勝手に思っている)。

・たとえば、映画『君の名は』でも複数の糸を撚り合わせてつくられる「組みひも」は「時間」のイメージと結びつけて描かれている。

「よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それがムスビ、それが時間」

新海誠 映画『君の名は』 宮水一葉の語りの一部分

・このように、三葉の祖母の一連のセリフでは、組みひもが「撚り合わされたもの」であり、「過去」と「未来」を結ぶものであることが示唆されていた。他の作品でも「紐」は「時間」に関する重要なアイテムとして描かれることが多い。『Blaid』ではどのような「時間」が描かれ、物語られるのか、ぜひプレイして確かめてほしい。

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