過去記事:我々は乃木坂46の中に何を見るか?

芸能界という世界は決して綺麗な成り立ちではありません。現在はかなり浄化されたものの、元は「芸」とはあくまで享楽。
利用され、踏み躙られる職業でもありました。
当然、利用する側の人間というのも綺麗なモノなんてそういません。欲望の渦の中で人を見て愉しむ。恐ろしい人間の裏側の世界。

そのことを橋本奈々未さんは賢さ故に痛感していたのでしょうか。
19歳にして芸能界入りを果たす全くの素人としての橋本さん。年下の13,14歳の子たちを妹のように愛で、時に運営に歯向かっていたと言われる姿は深川さんとはまた違った母性だったのでしょう。

自らは選抜落ちどころか福神落ちをすることもない一方で、俯瞰ができる人物。長い芸歴で自らの職能にも悩むことが多かったバナナマンのお二人にも認められるほどでした。
だからこそ、福神という下手すれば勘違いしかねないポジションでアンダーメンバーごとまとめて守ろうとしていたのだと思います。

乃木坂46が現在どの方向を向いているのか、その内情は私達は知る術はありません。しかし、確かにアンダー、選抜関係なく八面六臂の大活躍を見せる乃木坂46の土壌は伝説のアンダーメンバー永島さん、中元さん、伊藤万理華さん、そして橋本奈々未さん、深川麻衣さんなくしてありえなかったのです。

現在活躍する白石さん、西野さん、飛鳥さんを含むメンバーたち、卒業生の生駒さん同様にこの裏側の歴史と共にある人物たちが守ってきた場所が今の乃木坂46だと思うのです。

ここ一年、しばらく元気のなかった白石さんが橋本さんの分まで後輩の面倒を見ようと意識しているのが時折伝わってきます。

生駒里奈さんや永島聖羅さんは場の空気を読みながら、橋本さんとは別の方向で他者とのパイプとなったメンバーでした。

伝説のセンター、そして伝説のアンダー。

後者を語る時言葉は難しくなってしまいますが、彼女が結んだ縁が今なお続いているのを感じると伝説のアンダーと言わせて欲しいのです。

一方で、不人気メンバーと失礼なことを言う方々も世の中にはいます。
和田さん、川後さん、能條さんはその槍玉に挙げられてしまうことも多いのですがそうではありません。顔も美しく、立ち振る舞いも確かに乃木坂46です。

持ち前の明るさと鋭い観察眼、そして何より長けている誰かを笑わせるセンス。

冠番組を任される時、この3人が誰よりも功労者だったのです。出番は少なくとも確実に場を盛り上げ、そして他者を傷つけることがない。
一つ間違えば嫌われてしまうような女子集団の中で奔放に、そして繊細に生きる彼女たちを侮蔑することは許されません。

そしてこれはアンダー全体について言えることですが、何より、顔も可愛く、とてもスタイルがいいのですが、それ以上にライブパフォーマンスの面でも抜け出ています。
アンダーというのは本来選抜の下、即ち穴埋めとしてポジションを与えられる、という意味でした。

これを変えたのはアンダーライブの存在でしょう。永島聖羅さん、中元日芽香さん、伊藤万理華さんをはじめとして、たしかな「もう一つの乃木坂」としてのアンダーを作り出しています。
いや、むしろこれもまた「乃木坂46」の一部なのだと双璧をなす存在なのだと教えてくれます。

語り始めれば止まらない、いま表に出ない乃木坂46としての歴史は膨大かつ壮絶です。

ここにあるのは、アイドルというよりむしろごく普通の女子が描き出すヒューマンドラマでもあります。

秋元康さんの手の平の上と言えばそれまでですが、確かに彼女たちは生きているのです。

利用され消費され、また逆に商品として提供されゆく中で見えてくる、人間としての強さ、そして他者との関係。

乃木坂46が持つ歴史を辿りながら、今の乃木坂46を知ってくれる人が増えることを願って。
非常に雑ですが、伝えておきたいのです。

芸能界の中で逞しく、支え合って生きる彼女たちに賛辞を。
卒業しゆく方々に希望を。
これからも戦う人々に声援を。

これからもあなた方をただ応援していきます。

2018-11-09 twitterより