2021/01/01 着物はじまり
「がらくた屋行くか?」
父がそう言って向かった先は、中古屋さん。
店内は広々としていて、古着、ガジェット、おもちゃ、タイヤ・・・、たくさんの品物が並ぶ。
で、ふと見かけた和服コーナー。
足が止まる。
自分演劇が好きで、観劇をする機会が多いのだが
いつも着物を着て会場にいらっしゃる方がいる。いつも綺麗な色の着物をまとい、帯も美しくびしっと締められている
「お高いんでしょう?」
そう、お聞きしたことがあった。
「値段はピンキリですよ。2,000円から買える物もありますよ。」
それを聞いたとき、着物は●●十万するもんだと思っていたから、どこで買うんだろなと思っていた。
でもいつか、自分もお出かけで着物を羽織れたらどんなに素敵だろうな、
観劇のとき
少し遠出をするとき
気合いを入れたいとき
そんなとき、着物を羽織る選択肢が自分の中にあったら
着るということ自体が私の人生に色をつけてくれる
豊かにしてくれる気がした
そんな思いを胸に
いざ、目の前の和服コーナーに戻る
靴を脱いで、簡易的な畳の上をひたひた歩く
おそるおそる手に取った着物の値札を見てみると4,000円
驚いて、となりにあった羽織の値札をめくる
1,100円
ほう・・・。
見つけたと言わんばかりに次々に試着していく。
着物なんて合せたことがないから、好きな物をひたすら手にとってどんどんどんどん重ねていく。和服コーナーには人が集まらないようで、大きなテーブルはもう、自分専用の着物置き場だった。
これかわいい
これ素敵
これはちがう
これは身体に合わない
この組み合わせ最高
どんどん自分の中で生まれてくる感情に腕が追いつかない
久しぶりにこんなに高揚した気持ちになった。
服選びがこんなに楽しいことだったとは。
着物選びから20分後。買い物を終えた父と母がやってくる。
そろそろ、退店の合図。
目の前に並んでいる油絵のような色のおき方をしている水色の着物と
黒と青の羽織
一目惚れだったえんじ色のバック
最後に決まったオレンジ色の帯を手にとってレジに向かう。
なんだか誇らしげな気持ちだった。
自分自身の好きが目の前に形になって存在してる。
はやく着物を羽織って出かけたい。
自分らしく生きられる第一歩のような。私が私らしくいられる最初のきっかけになった気がした。
家に帰ったらすぐさまユーチューブを開いて、帯を締めて見る
「わけわからん!先生!スタートが分かりません!ちょっと待って下さい!!」
そんなことを良いながら
笑いながら
不器用に帯を折り返して、くぐらせて
それはもう悲惨な形になった。ほんと、先生にも帯にも申し訳ない形だったが、自然と顔からは笑みがこぼれる。
あー、楽しい。
元旦に発見してしまった、自分の好きなこと。
この一年、本気で好きなことをやっていく一年にしようと決めた瞬間だった。
どんな形であれ、貫いていこう、2021年。
自由に、美しく、自分らしく生きてみる。
あけましておめでとう。
よろしくお願いします。
ものくろ