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布団が好き


唐突だけれど布団はいい。
ベッドではなく、布団である。
場所を選ばないしそれを敷けばどこでも寝られるからだ。

私と主人と0歳児が住む分譲マンションは
昨年引っ越してきた。
きちんとしたベッドを購入しようと計画を立てていた中で子供を授かった。
妊娠中はさまざまなトラブルに見舞われ
ベッド購入どころではなくなり
計画は一時中止。

無事に息子を出産した。
3LDKの間取りをいかして
これまでの寝室を主人が使い
私と息子は和室で一緒に寝ることになった。

息子も生後5ヶ月にさしかかろうとしている時期
生活リズムを整えるために日中は自然の日光が入る寝室で息子にお昼寝をさせることにした。
和室は窓がないのだ。
昼間は明るく、暗くなってきたら夜なのだと
息子の体に覚えさせた。
まだ右も左もわからない息子は私たちの作戦に素直に従ってくれて
日中は主人の布団で寝ている。
むしろよほど寝心地がいいのか
ものすごく寝ている。

それはある日突然起こった。
18時に授乳したあとにいつもの通り
寝室の主人の布団で寝ていた息子。

22時に最終の授乳をして
朝までぐっすり寝るのがルーティンなのだが
全く起きない。

リビングからベビーモニターで様子は常に見ているけれど
それはそれは心地よさそうに寝ている。

次第に体をくねらせ頭を左右に振っていたのでそろそろ起きそうな様子ではあったが
私はその日頭が痛かった。

体調が悪いという感覚もなかったが
主人から早めに横になった方がいい、今日はそのまま息子と二人で寝室で寝たらいいと提案があった。
私は和室にある息子のベビー布団を持って寝室に入り、寝ている息子の横にベビー布団を敷いた。

息子は主人の布団ですやすや寝ている。

....私はすこし躊躇しながらも息子のベビー布団に寝そべってみた。

...小さい...思ったよりも小さい。
体を丸め出来る限り折りたたんでみたが
思ったとおりに小さい。

大きな布団でちんまり寝ている息子に対し
一生懸命自らの体を折りたたんで小さな布団に入り切ろうとしている私。

主人はこの光景を想像していたのだろうか。
いや、そんなはずはない
この状況を想像できていたのであれば
頭痛を抱える妻を寝室に誘導なんてしていないはずだ。

だとしたら問題は私にある。

息子の小さな布団の使い道を誤ったのだろう。

しかし何をどう考えても
私にはこの使い方しか思い浮かばない。

けれど布団は自由自在なのだ。
どこにでも敷けて
どこにでも寝られる。

私は布団が好きだ。

#キナリ杯

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