甚六さんのクルマとは

 昔は、いや、「昭和のある時期までは」と言った方が良いが、自分が自動車免許を持っておらず、子供に免許を取らせて運転手代わりにする。クルマが空いている時は自由に使って良いことにする。

 という親が存在していた。少しステイタスが上の層である。

 アニメ「サザエさん」の伊佐坂先生の息子の甚六さんがクルマを持っている。洗車したりしている。というのは(暗黙のうちに)この例だと意識できるが、そういう世代も滅びつつあるのだろう。

 伊佐坂先生、小説家だが、カーマニアの石原慎太郎辺りより少し上の世代だと思う。忙しいと「弟子」や「書生」に手伝いさせるような。

 甚六さんの(実質所有者は伊佐坂先生だろうが)クルマの車種って何だろう? フォルクスワーゲンタイプ1? ルノー4CV? モーリスマイナー(ミニじゃない方)? この年代にはこの手のスタイルが多かったが、ワーゲンだけが後まで残った。

 フロントエンジンのようだから、ワーゲンとルノーは候補から外れる。モーリスか?

 そこで、もう1つの候補が見つかった。トヨペットSAである。トヨタの戦後初の乗用車であったが、意欲作にして、当時の日本の工業水準に合わず、道が悪くて耐久性も足りなかったので、あまり売れなかったという話である。

 伊佐坂先生の元弟子辺りがクルマのセールスになって、売れないので買ってくれるよう伊佐坂先生に懇願した。人の良い伊佐坂先生は買ってしまった。という事なら可能性はありそうだ。

 いや、もしかしたら「似たもの一家」にエピソードがあるかも知れない。

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