時代劇は面白い?

 少し前、「忠臣蔵」の物語を小学生ぐらいの子が知らないという話題があった。もともと「忠臣蔵」(「仮名手本忠臣蔵」)というのは元禄の頃に起きた事件から(事情は察せられるが)色々改変して演劇にしたもので、例えば実際の事件での登場人物の一人は「大石内蔵助」だがそれをもじって「大星由良之助」になっている。設定されている時代もその頃よりずっと前、鎌倉時代の終わりから南北朝時代という事にしている。最初から「時代劇」で「パロディ」だった事になる。
 昭和の頃のテレビドラマなんかだと、「忠臣蔵」という名前は使って、時代設定は江戸時代という事にしている。

 よくあったドラマ版のストーリーは要約すれば、イベントの準備をしている所で取引先大企業の社長にバカにされた中小企業の社長がキレて、こいつに傷害を負わせる。傷害を負わせた社長は死刑、会社は解散させられる。で、一部社員がこの大企業の社長はムカつくから殺しちゃおうという話だ。少し違うかも知れないが、そんなにかけ離れていないだろう。

 この「忠臣蔵」の一部の場面をパロディコントにしたものが、昭和の頃にはよくやっていた。発端のバカにされて斬りかかる場面や敵討ちの為に屋敷に入って合言葉を交わす場面が多かったと思う。
 もっともこれらは見る方は元ネタなんか知らなくても笑えるように工夫されていた。大げさに憎々しい言葉を吐く志村けんとそこでキレてトドメまで刺しちゃう加藤茶とか。

 で、元ネタは面白いかって言ったら、これは人それぞれだよね。
 時代劇ってのはそういうのが多かった。

 例えば「水戸黄門」ってのは主な登場人物以外全くのフィクションだが、国の偉いさんが正体を隠して県政の調査に出向いたら、そこで不正が行われていたというのが基本パターンだ。毎週見ていると日本中不正だらけなんだから(現実社会もそうかも知れないが)呆れてしまう。一周回ってまた来ると別の不正である。
 コントでは正体を証すときに出すものを色々変えて笑えるものにしていたし、これを時代もののアニメにしたり、スーパーロボットもの(宇宙船で支配下にある惑星を巡る)にした作品もあった。

 主な登場人物だけ実在というと「遠山の金さん」というのもある。これは裁判長が毎回たまたま重大事件を目撃し、その重要な証人となるというのが基本パターンだ。被告は最初は気付かないが裁判長にはある特徴があってそこに驚くという話。いやはや、そんな偶然信じろって方が無理がある。これは志村けんが柄本明の裁判長の顔で気がついて「金さん、ごめんなさい!」「もう、これからいい所なのに~」というやり取りをするのが笑えた。

 昔はテレビが一家に一台有るか無いかで、観たくもない番組を観なくてはならない時もあった。時代劇好きな爺さんの相手をしてあげると、お年玉の額も違う場合があったしね。
 あと、「時代劇」ってのが荒唐無稽であっても、観てるとなんか偉い人という評価になるというのも聞いた事がある。「大人なんだからアニメはやめなさい」とか会社の偉いさんの趣味に合わせる感じだろうか。

 で、それは事情あって見ているんだけど、なんか気に入らないって人からは、「時代劇のパロディ」っての痛快な感じがしたものだった。自分に代わってバカにしてくれている訳で。

 ただ「時代劇」といっても色々で、自分は「必殺シリーズ」なんかはちょっと好きだった。これは毎回依頼を受けて殺し屋をするもので、現代劇としても成り立つ気がする。

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