「親日」という単純な言葉で済ませて良いのか?

 年末年始は台湾に行ってきた。その途中、飲食店で近くにいた男性が電話の相手に対し「バカヤロウ」と言っていた。私の台湾の友人は「待ち合わせ場所に相手がいなかったみたいですね」と言う。

 確かに「馬鹿」の語源は中国にあり、意味が通じるのでうっかり使わないようにとは聞いた事があるが、実際に使われているのは知らなかった。

 駅に降りてきた人の会話の途中に「オマエモナー」がはさまっていて、驚いた事もあった。

 台湾南部では、人の家に入れてもらう時や、途中で帰る時に「シッレー」と言う。もともとの言葉には無い。日本語の「失礼(します)」からきている。

「オジサン」「オバサン」は台湾でよく使われる言葉である。タクシーの運転手は「ウンチャン」と言う。今は使われないが飲食店の女性店員は「ネエチャン」と呼ばれた。「テンプラ」はややこしいがはんぺんの意味。九州の言葉から来ている。

「オイシイ」、「ウマイ」、「カワイイ」、「イチバン(日本と漢字は違う)」、「アリアト(ありがとう)」、「ライジョブ(だいじょうぶ、「落ち着いてね」ぐらいの気休めの意味らしい。「大丈夫」と漢字で書くと「うちの夫は元気だ」になる)」、台湾で通じる日本の言葉は結構ある。若い人は「アザース」も知っているという。

 旧暦の正月に親族で集まった時には、紅白歌合戦の再放送を観るという。

 台湾から日本への距離は物理的以外の意味でも近い。ただその一方、日本人が日本車よりBMW、キャデラック等の方を高く評価しているから、「高級車」というとまず欧米のクルマが出てくるという意見も聞いた。スカイラインやフェアレディは「でもルノーでしょ」と言われる(現在の日産がルノー傘下にある事は知られている)。「親日」かもしれないが、単純な「日本すごい」とは少し違うのではないかと思う。

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