二次創作は便利だ

 自分の創作の前段階として考えると、2次創作はすごく便利だ。何しろその作品の世界がどんな構造をしているのか。登場人物はどんなやつで、関係性はどうなっているのか。乗り物やアイテムは何があるか。その他諸々を説明する必要がない。

 その世界の構造を説明するのってなかなか難しく、下手すると登場人物に不自然な発言をさせてしまったりする。「ここは太陽系の第3惑星の地球という星で、大気の成分は~、重力は~」なんて普通は言わないでしょ。登場人物が何かの拍子で気付くか、地の文で書くか、前書きで説明するか、後書きで種明かしした方がいいか、こういう事を考える心配がない。

 ただ、「お約束」みたいな「共通認識」はある。円盤みたいな飛行物体が出てきたら「違う星からの宇宙船かな」とか、ゴジラみたいな怪獣が出てきたら「こいつと戦う事になるな」とか、「織田信長」という名前のキャラが出てきたら「こいつ、偉いけど気性が荒いだろうな」とか。

 もちろん、時代劇の話の時に書いたように「お約束」はいつ忘れられるか解らない。
 江戸時代のキャラに「豆腐小僧」というのがいるが、こいつがどこから出てきたのか、今ではよく解らない。
 だから、今から400年ぐらい経つと「なんでトラックに轢かれて転生する話が沢山作られたんだ?」って事になると思う。

 轢かれてで思い出したが、いわゆる「死亡フラグ」なども便利だ、最終決戦での「ここは任せてお前は先に行け」(生き残るやつもいるけど)とか、「この戦争が終わったら、故郷でオヤジの農場を継ぐんだ」とか、「冥土の土産に聞かせてやろう」(言ったやつが冥土逝き)とか。

 ジャンルとしての「このジャンルではこういうお約束だろう」というのもあるが、永く続くとそこをひっくり返す作品がいくつも出ている場合がある。「戦隊の赤いやつは男で熱血なリーダー」なんてのはもうギャグ作品ならともかくお約束では無くなっているし、「主人公は番組のタイトルになっているロボット1つで番組の終わりまで戦う」というのももう無い。
 ついでに言うと、この「番組タイトルではなく、ギャグ担当でもない、主人公の乗る新たなロボット」というのは、「戦闘メカ ザブングル」が最初のように思われがちだけど、「ジャンボーグA」(1973年)という特撮作品に「ジャンボーグ9」という2号メカが出てくる(交代ではなく主人公が両方乗る)。他にも例があるかも知れない。

 お約束ではないけど、これは使いたいって場合もある。「鉄腕アトム」の「ロボットが設計者の意図に沿わないのでサーカスに売ってしまう」(本当にアトムはサーカスに売られたんだってば)ってのはそれだけで笑える。「究極超人あ~る」が有名だけど、たまにギャグ作品にはこれが出てくる。「フリップフロップ」の「モモ」とか。

 お約束が時代に合わなくなるのも時にあって、国民的アニメ(?)「サザエさん」の「イササカ先生」など、いまだに原稿用紙にペンで書いていて、編集部の人が原稿の催促にくる。結構お年を召した大御所の先生だから成立するんだけど、今の時代だと60歳ぐらいでもパソコン使うのが普通だよね。
 そうそう、パソコン使う人がマウス使わずに全部キーボードでやろうとするのも、まだたまにある。

 こんな事を書いていて思い出したのが、山本弘さんのホームページにある「二次元世界の日常」だ。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/2jigennonichijo.htm

 普段作品を見ていても気付かないような「お約束」もあって、ひっくり返って笑ったもんである。

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