人気の架空戦闘機

 まだCGが発達する前の戦争ものの映画などには、雪上車やブルドーザーを改造した戦車が登場していた。
 これは飛行機についても言えて、アメリカの練習機が塗装をグレーや緑に変えて零戦になったり、ジェット機に赤い数字や赤い星を描きこんで「ソ連機」にしたりしていた。

 これはこれで非常に興味深いが、文章による創作では割と自由にメカを登場させる事ができる。描写のセンスは必要だけどね。
 そんな中で色々調べているうちに、架空戦記ものその他において、旧日本海軍の試作した震電という戦闘機がよく登場している事が分かった。

 この戦闘機は試作止まりであったが、当時の戦闘機を前後逆にした、プロペラが後ろにくる形状をしている。スマートな形である。ただ、あまりこの「先尾翼機」というタイプの航空機は成功していない。実際の震電もプロペラで地面を引っ掻いたりしたそうだ。

 で、この「活躍できなかった」という所が、「だったら創作では活躍させてみよう」という考えに繋がるらしい。プロペラで地面を引っ掻くならジェット化して「震電改」とかにしてしまえば良いだろうとか。

 やっぱり創作の中でも数の少ない試作機とするのが一般的だろうか。戦闘機以外の使い方があるんじゃないかと個人的には考えている。

 震電と近い時期の、プロペラ機からジェット機に移行する頃の飛行機には、他にも現実には活躍できなかったものがある。
 日本海軍には他に閃電という双胴で後ろ向きにプロペラがある計画機が存在するし、旧ドイツ軍の、ヘリコプターとの合の子のようなジェット機トリープフリューゲルとか、アメリカ海軍の短距離離陸できる円盤翼機フライングパンケーキとか、創作では活躍できそうな飛行機がある。

 ジェット機だと前進翼機も創作には登場しがちだ。

 普通とは違った飛行機の創作での使い方には「ああこれ、異世界だから(あるいは「異世界・異文化の技術を導入したから」)」というのもある。現実世界とは物理法則やら大気が異なるから安定して飛ぶんだよという話にする方法だ。

 ガンダム世界における「ドップ」は地上とは異なる宇宙コロニーにいる人間が設計した設定らしく、推力で無理に飛んでる戦闘機のように見えるし、『風の谷のナウシカ』に出てくる「コルベット」も、一度文明が崩壊して飛行機の基本設計が失われた後の世界の人が設計したっぽく見える。

 これ強調するにはやはり、「地球(地上)側のまともな飛行機」も併せて出した方が説得力ありそうだ。

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