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長野 小布施堂 朱雀を喰べに深夜の冒険

朱雀をご存知だろうか?それは非常に尊く選ばれしものにしか姿を表さない存在。まるで宗教のように人は吸い寄せられ、秋の始まりを感じさせる肌寒い早朝に震えながら、何時間も耐えたのちに得られる自己内に完結する眺望。

朱雀を食べられるのか不安にかられながら、毎年初めてネットを検索する、迷える人々のために、長野から小布施まで歩いていった記録を残しておく。ちいさな冒険にでる勇者たちへ。

このお話は前日の長野から始まる。佐久でのイベントの後、ボクは翌朝になったら一番電車で小布施に行こうと思っていた。6時に小布施につけば大丈夫だろうと。一度、漫画喫茶に入って仮眠をとって朝出ようと移動する。

ー漫画喫茶について荷物を片付け、一息ついた所でgooglemapを眺めるー

いつものクセで、現在地から現地まで「徒歩」での距離を調べてみる。なんだ〜漫画喫茶からだと10キロしか無いんだ。たった2時間!ちなみに長野駅からだと15キロ。所要時間は3時間。今は夜中の2時!のんびり歩いても5時には着いちゃう!もうこれは歩くしかない!なぜかやる気になったので、思い切って漫画喫茶を精算。少し涼しくなってきた信濃路をあるき出す。

千曲川を渡るまでは真っ直ぐ一本道。1時間歩いて、橋のたもとにコンビニが一軒。ここでトイレと飲み物を補充。後は北上するだけなんだけど、どのルートがいいのだろう。大きな道を行っても面白くないので、農道ルートを選択。高速道路の下をくぐって、真っ暗な道へ。

りんご畑が広がるエリアは長野ならでは。なんとなくりんごの香りがするようなしないような。楽しい〜。・・・といっても、これ真っ暗な中でリュック背負って、傍から見たら「りんご泥棒」っぽい!!!

急いでここを離れなければ!と思って、とりあえず路地に入って曲がったりを繰り返しているうちに、道がわからなくなる。それでも北に向かえば着くはず!と、思ってまた1時間半。のんびりぶらぶら小布施の街へ。

薄暗い早朝の小布施の街に、それでも人の影がちらほらと。・・・やっぱり朱雀を喰いに来た人達がいるんだな〜と思って小布施堂の入口前に到着すると・・・朝5時前の時点で100人ぐらいの行列!ハンパねぇ

はい、そこから寒空の中3時間以上待ちましたよ。さいわい常備してるレジャーシートと着替えがあったので、体にまとって冷たくなったお茶をちょいちょいのんで。そのうちに100人が300人ぐらいになって、難民キャンプみたいなガヤガヤ感。これが9月半ばから1ヶ月も続くのか。なんだかいい方法ないんでしょうか。と言うのは簡単ですが、もしかしたらこの修業な感じが朱雀を尊くしているのかも!という結論に達しました。

朱雀の整理券は8時30分、そこでお金を精算して、お土産用のお菓子を買う人達、またここで1時間30分もある〜。仕方ないので、葛飾北斎が晩年を過ごしたこの地に残る作品が展示してある北斎館へ。

オブセ牛乳飲んだり、ぶらぶらしたり。味噌を買ったり。そのうちにようやく朱雀の提供時間に。少し早めに行ったら、その時間の整理券を待っている人達でいっぱい。でも細かい順番はなくて、そのうちに名前が呼ばれ席へ案内される。いよいよ朱雀とのご対面。ここまで夜中の2時から約8時間。

朱雀を食べに小布施堂を訪れる人は、車であっても所要時間少なくとも4時間以上はかかります。その先に待っているのが、この山の風景です。これは果たしてモンブランと呼べるものなのか。そうではないのか。それはご自身で確かめてくださいませ。

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